成功確率を1%から99%に高める方法 | igetahisayukiのブログ

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詐欺に騙されないようにしよう。
そのためには、情報リテラシーを高めておく必要がある。
 
先日、タイトルにあるような内容の動画を観る機会があった。
一見、信じそうになるこの話には大きな穴がある。
それに気付ける人になろう。
多くの人がこのテクニックに騙されて、鵜呑みにして信じてしまう。
 
そのテクニックとは、最初に真理を突くような「目から鱗」のような話をして信じ込ませたあとに、根拠のない話をして続けて信じ込ませる方法である。
 
実は私もこの動画に出て来る例と似た話を講演で話すことがある。
 
私が話す事例はこうだ。
起業して10年続く会社は、わずか6.3%だという統計データを題材にしている。
つまり100人が起業にチャレンジしても、10年後まで生き残っている人はわずか6人だし、94人が失敗するという悲しい現実だ。
しかし、成功する人は、失敗を織り込み済みで、チャレンジし続ける。
わずか6.3%の成功率、つまり93.7%の失敗率でも、もし50回チャレンジする気概があれば、失敗率はわずか3.9%まで下げられることが出来るのだ。
諦めないで「打席に立つ」ことが大事だよという教訓を算数を利用して説明している。
 
同じ原理で説明した動画が、成功確率を1%から99%に高める方法という例題で載っていた。
答えは、459回チャレンジし続ければ、99%になるという、これも単純な算数の話である。
 
ここまでは問題なかった。
目から鱗の人もいただろう。
しかし問題はここからだった。
 
この動画では、「実際には人間は失敗経験から学んで改善を計っていくので、もっと少ない回数で成功させることが出来る。私の体感では、3?4回で成功するものだ。」と論理の飛躍をさせたのだ。
最初の1%の成功率でも459回続ければ99%の成功率になる話は正しいし、人間はミスから学ぶからもっと早い回数で成功することも正しいだろう。
しかしここで「3?4回で」と飛躍させてしまっていることに違和感を感じられる感性を私たちは持ちたい。
このリテラシーを持たないと、ちまたの詐欺に簡単に騙されてしまうことになる。
なぜなら、詐欺師たちは、このテクニックを存分に使って来るからだ。
 
この「3?4回で成功させることが出来る」の嘘を見破るには、同じ算数のロジックを使えば簡単に証明出来る。
失敗率0.99の459乗という計算式の代わりに、エクセルを使って、毎回改善率を加味して掛け算していけばいい。
もし毎回1%の改善率だとすると、成功確率99%になるためには、30回チャレンジ続けなければならないことがわかる。
459回と比べれば、大幅に少ない回数で99%の勝率に達する。
しかしそれでも30回はかかる。
もし人間の学習能力が高いと想定して、毎回10%の改善率だとすると、勝率99%になるためには、11回チャレンジ続けなければならない。
並の実力の人間なら、このぐらいの改善率が限界ではないだろうか。
この動画では、「何事も10回はチャレンジする覚悟で頑張ろう」と言えば問題なかったのだ。
 
動画では3?4回と言っているが、多めに見て5回で勝率99%にするために必要な改善率を計算してみる。
答えは毎回200%以上の改善をしないとならない。
つまり毎回失敗確率を半分に減らしていくというのは凄いことだ。
毎回2倍の改善が出来る人というのは、一般的に当てはまる話ではなくて、かなり有能な人に限られる話だろう。
 
では並の人が5回のチャレンジで勝率99%になるためにはどのくらいの確率の案件を狙ったら良いかという、逆の計算もしてみた。
つまり、一般の人なら毎回10%程度の改善率までなら可能と仮定し、5回までのチャレンジ覚悟で成功させたいなら、勝率何%の勝負に挑むべきかという逆算だ。
答えは52%である。
つまり、丁か半かみたいな勝率が半分のものよりも高い勝率のものにチャレンジしても、勝ちを確実にするためには5回はしなければならないということがわかる。
 
要約するとこうだ。
並の人は、半分以上の確率で勝てるものを狙うのが妥当で、それでも5回はチャレンジする覚悟は持たなければならないし、もし確率1%くらいのかなり難しいものをチャレンジしたいなら、10回は続ける覚悟が必要だということだ。
逆に言えば、5回くらい続けるくらいなら、10回はやる覚悟を持とうよということでもある。
 
この事実を隠して、「成功確率1%のものでも3?4回で成功出来る」と公開動画で言ってしまうのは、あまりにも無責任な話で、この時代は、やはり聞き手にも情報リテラシーがないと騙されるということなのだろう。
 
似た話はたくさん溢れている。
数字は嘘を言わないが、嘘を言わない数字を使って誤魔化して、嘘を隠すことが出来る。
見えていない部分を見るまでは安易に判断せず、常に視野の広さと度量を持った人間になろう。