藤田医大が約3000万から2000万に学費を下げますね。
※予測シミュレーション計算では、学費は端数処理せず、正確な金額で計算しています。
昨年11月の駿台偏差値は58ですが、どのくらい上がるでしょうか。
予測モデルで数学的に予測してみましょう。
モデルは上記記事のモデル(Adjusted R² 0.84達成モデル)を用います。
藤田医科大学
2026年度入学者からの学費変更に伴う予測偏差値シミュレーション
使用するモデルの回帰式(再掲)
「Adjusted R² 0.84達成モデル」の回帰式は以下の通りです(係数は説明のため丸められています)。
予測偏差値 = 95.5 - 0.0215 × 学費 + 10.5 × 東京ダミー + 8.1 × 大阪ダミー + 6.5 × 御三家ダミー - 5.0 × 寮生活ダミー + 6.0 × 慶應ブランドダミー + 16.0 × 奨学金国立並み・地域枠ダミー + 3.5 × 東京近辺低学費ブーストダミー + 2.8 × 科目数少ないダミー - 3.5 × 現女子大ダミー - 0.0028 × (学費 × 東京ダミー) - 0.0035 × (学費 × 大阪ダミー) - 0.0018 × (学費 × 御三家ダミー) + 0.0000026 × (学費)²
藤田医科大学のダミー変数の値
藤田医科大学に該当するダミー変数の値は以下の通りです。
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東京ダミー (TD) = 0
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大阪ダミー (OD) = 0
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御三家ダミー (G3D) = 0
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寮生活ダミー (寮D) = 0
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慶應ブランドダミー (慶應BD) = 0
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奨学金国立並み・地域枠ダミー (奨国地D) = 0
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東京近辺低学費ブーストダミー (TVLTB_D) = 0 (藤田医科大学は愛知県に所在するため、このダミーは適用なし)
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科目数少ないダミー (科少D) = 0
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現女子大ダミー (現JD) = 0
藤田医科大学に適用される予測偏差値の式
上記のダミー変数の値を代入すると、藤田医科大学の予測偏差値を計算するための式は以下のように簡略化されます。
予測偏差値 = 95.5 - 0.0215 × 学費 + 0.0000026 × (学費)²
藤田医科大学の現在の状況(モデル対象時)
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分析時の学費: 3041万円
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分析時の実測偏差値: 58
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このモデルによる分析時の学費(3041万円)での予測偏差値:
予測偏差値 = 95.5 - 0.0215 × 3041 + 0.0000026 × (3041)²予測偏差値 ≈ 95.5 - 65.3815 + 24.045386 ≈ 54.16
学費が2150万円になった場合の予測偏差値
藤田医科大学の学費が2150万円になった場合の予測偏差値を計算します。
予測偏差値 = 95.5 - 0.0215 × 2150 + 0.0000026 × (2150)²
予測偏差値 = 95.5 - 46.225 + 0.0000026 × 4622500
予測偏差値 = 95.5 - 46.225 + 12.0185
予測偏差値 ≈ 49.275 + 12.0185
予測偏差値 ≈ 61.2935
このモデルを用いた時の現状の藤田医大の予測偏差値は、実測偏差値と4異なる(実測偏差値の方が高い)ので、東京の低学費大学に対してブースト処理を行ったように、愛知県の地域特性が多少あるのでしょう。
おそらく藤田医科大学は愛知県で1番学費の安い私立ということで、地理的に考えて、多少名古屋市立や浜松医大落ちが流れてくるのでしょう。
しかし、これを予測モデルに組み入れると、対象が藤田医科大学のみになってしまうので、一般的なモデルではなくなってしまう可能性があります。
これを考慮して、藤田医科大学については、試算された予測偏差値に1ほど加えるのが現実的と言えるでしょう。
予測される偏差値: 62 (ただし学費下げ初年度は60~61となる可能性が高いと考える)
シミュレーション結果の解釈と注意点
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シミュレーション予測偏差値の上昇: このモデルによれば、藤田医科大学の学費が3041万円から2150万円に引き下げられた場合、予測される偏差値は現在の実測値58、および分析時の予測値約54.16から、偏差値は約61.3へと上昇する可能性が示唆されます。
藤田医科大学は、もともとシミュレーションと偏差値が乖離のある(実際の方が高い)大学ですので、補正して実測偏差値を予想していきましょう。
シミュレーション偏差値をベースに、
・例えば関西医大(今回の藤田医大の値下げ後の学費と近い金額)が学費の割に偏差値が大阪医科薬科と同じ62となっていること
・藤田医大の場合は今回の学費の変更で愛知医大と学費の乖離があまりにも大きく、実質的に地理的な対抗馬がないこと
を踏まえ、
予測される偏差値は62としました。
ただし、学費を下げた初年度については、受験生の様子見で60~61となることを有力視しています。再来年以降、62へと上昇していくでしょう。
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東京近辺低学費ブーストダミーの非適用: 藤田医科大学は愛知県に所在するため、「東京近辺低学費ブーストダミー」は適用されません。このダミーは、東京またはその近辺に所在し、かつ学費が2300万円以下の大学(慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学、国際医療福祉大学)を対象としてモデルに組み込まれたものです。
(ただし、このモデルについては国際医療福祉は外れ値とした方がより良いという結果になっています。)
関西医大の例を鑑みて、東京近郊に所在する場合のみ適用することとしています。
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モデルの適用範囲と限界: このシミュレーションは、特定の統計モデルに基づいた計算結果です。Adjusted R²が0.8425と非常に高いモデルですが、それでも偏差値の変動の全てを説明できるわけではありません。実際の偏差値は、学費以外にも教育の質、研究実績、ブランドイメージ、入試制度の変更、他の大学の動向、そして今回の学費大幅引き下げというニュースが受験者層に与える心理的影響、入試日程など、非常に多くの要因によって影響を受けます。
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大幅な学費変動の影響: 学費の大幅な変更は、モデルが学習した過去のデータ範囲から大きく外れる可能性があり、予測の不確実性が増すことがあります。また、このような大きな変更は、他の大学の戦略や受験生の行動パターンにも影響を与え、市場全体の状況を変化させる可能性があります。
このシミュレーションは、あくまで現行モデルが捉えた学費と偏差値の関係性に基づいた一つの試算であり、実際の偏差値変動を保証するものではありません。
今年は、入試日程が例年と異なり多くの大学が日程被りとなるでしょう。これも予測を難解にする一因です。そして、この影響は避けられないので、あくまでも、去年までのように日程被りがなかった場合のシミュレーションとなりますから、実際と異なる可能性はおおいにあります。

