今年の元旦に羽田空港で起きた航空事故をきっかけに、航空機に関して色々と学びました。




航空機のパイロットは機種毎に免許が必要なのですが、一機種しか免許を持てません。


車であれば普通免許ならトヨタだろうがホンダの車だろうが運転できますが、航空機パイロットはボーイング787の免許を取ったら、その機種しか運転できないわけです。


ボーイングの大型機全般とかではなく、たった一機種なので、多くの航空会社は航空機の種類を統一しないと行けませんし、人の運用に苦労したりもします。


特に同型機しかないローカル航空会社だと、機種変更する際には、旧型機のみのパイロットと新型機のみのパイロットになってしまうことから、減便しないとシフトをこなせなくなってしまいます。




ではなぜそうなっているかというと、機種によって色々なものが異なるからです。


最新型のほうが便利な機能も増えていますが複雑化します。


それに機種によって重さ、パワー、積載量とかも異なるので、787と777では別物のように異なるわけです。


重さが違えば着陸時の速度や高度も変わりますし、パワーが異なれば、離陸距離も異なります。


それを計算して、当日の今の滑走路の状況から最適化するのを操縦しながら求められるので、2機種運転できたら、確実にデータを勘違いしてしまうでしょう。


これが横風やら悪天候になると更に複雑化するので、たぶん三機種操縦していいよとかなっても、パイロットがやりたがらないでしょうね。




また空港により地上設備も異なります。


羽田とかならば駐機場から長々と地上を走行して滑走路前で一時停止して、ようやく滑走路に出て離陸ですが、ローカル空港だと誘導路がないので、滑走路をUターンして駐機場に向かったりします。


ILS等の着陸を支援する機器もあったりなかったりですし、空港運用時間に滑走路付近で工事していたりもします。


管制官側の情報不足によって、工事の為に閉鎖している滑走路に着陸させられた事案もあります。




管制官も大変です。


どれくらい大変かというと、管制官が管制塔で航空機に指示を出す仕事は連続1時間までとなっているくらいです。


ようは1時間以上は集中力が保たないからだめということで、実際に国内で管制官が1時間以上超えて業務をしていたが為に、航空機同士の接触事故が起きそうになったりしました。


1時間は仕事しているとすぐに経過しますが、それくらい神経を使う業務なわけです。



また管制官は大きな空港だと、滑走路の離着陸を管理する人と、空港の地上走行部分を管理する人に別れます。


駐機している飛行機が出発したいときの許可も、滑走路に入りたい許可も管制官が出しますし、許可がなくてはやってはいけません。


着陸だと経路、高度、速度、侵入滑走路、着陸順も全て管制官が決めます。


1日1往復とかのローカル空港だとそもそも管制官がいませんが、結構細かく指示しないと過密な空港をさばくことができません。


その為、結構焦るようで、特に朝ラッシュ時には誰にも急かされていないのに急かされている気持ちになるそうです。


特に羽田と成田は近くてしかも横田が管制している関係から、千葉県上空を飛び交うので、非常に航空機が多くなります。


過去には羽田発と成田発で航路が重なり、高度が一緒だったら衝突していた問題も起きました。




管制官も人間なのでミスをします。


それに管制官とパイロットのやりとりは英語が基本です。


それは国内空港で、国内線国内航空会社日本人パイロットと日本人管制官だったとしてもです。


13と30を聞き間違えたりもします。


LレフトとRライトを聞き間違えた事案は、流石に管制官としてのリスニング力としては致命的では?と思いましたが、英語のやりとりなので、間違えやすいです。


とはいえ、国際ルールで管制官の指示をパイロットはリピートしますし、その無線のやり取りは必ず記録されるので、誰が言い間違えたか聞き間違えたかというのは必ずわかります。


そして、人間なのでつい省略しちゃったりします。


パイロットが今ここらへんと伝えて、管制官が出発準備はいい?と聞き、OKならば、滑走路状況を確認した上で離陸許可を出すのですが、パイロットが早く滑走路に出たいと言ったときに出発準備はいい?と聞かなかった為に、離陸機は滑走路内で出発準備をして、着陸予定機を2機もゴーアラウンドさせた事案もあります。




センサーやレーダー情報から機械的判断して、素早く指示を出す管制官はAIに任せたほうがいい?ということもありそうに思えますが、ほぼ毎日柔軟な運用変更があり、その応用力もないとAIはサポートにしか回れないでしょう。


わかりやすいのが着陸順です。


各航空機の位置や進路からその滑走路に来る航空機の順番と離陸機を挟む順番を管制官は決めていくわけですが、ここに一機緊急の病人がいる飛行機が来たとします。


すると、管制官はこの機の為に他の飛行中の機に一旦退去させ、離陸機は滑走路前で渋滞させます。


たった10分といえば短いですが、羽田空港で10分も滑走路が静かになることは珍しいそうなので、こうやって緊急機の為に余裕を取ることが出来るのは人ならではで、AIだと緊急機を優先させるだけで余裕を持たせることは難しいでしょう。