個人的な見解になりますが、
癌を含めた多くの疾患では、何よりも疾患自体が改善してくれば、
不安やうつなどの精神症状も改善してくる可能性が高いと思います。
逆に、疾患が増悪すれば、
当然、精神心理状態も悪化する可能性が高くなることは容易に想像できます。
それでも、精神心理状態は、
免疫反応やホルモン産生などに影響を及ぼす脳機能の一つととらえまして、
少しでも改善するように工夫することには意味があると思われます。
精神心理状態の改善により、疾患自体の改善もできれば、
大変素晴らしいことでしょう。
2017年5月6日、9日のブログでもご紹介いたしましたように、
健康維持に悪影響を与える可能性のある精神心理状態は、
癌に対する免疫反応を低下させ、
癌の発症や進展を促進し、予後を悪化させる場合があるかもしれません。
ご自身の癌や体調を悪化させる可能性のある精神心理状態や、
もしくは過去のご経験より、それらを悪化させたと思われる精神心理状態を
回避するか、それらに対する対策を講じることが、
癌対策としても役立つ可能性があります。
そのような好ましくない可能性のある精神心理状態につきまして、
今回から3回にわたってご紹介させていただきます。
1)精神心理状態のコントロールによる消耗
不安定な自我に対する防衛のために生命活動エネルギーを費やすほど、
癌と闘うためのエネルギーが減少してしまい、
癌が増大してしまうという考えが提唱されています。
(J Proj Tech 1957;21(4):331-40)
ご自身の精神心理状態をコントロールすることに膨大な労力と時間を費やすことは、
癌に対抗する免疫力を作るためのエネルギーを減少させてしまう可能性が
あるかもしれません。
2)精神的苦痛状態での防御性・平静、不安、抑うつ
急速に進行した癌患者さんの研究では、
深い精神的な苦痛状態での高い防御性か平静さの出現や、
軽減できない不安や抑うつ、
行動を介して不安を軽減することが極端にできないことが、
癌の急速な進行に関連しているという報告があります。
(Pshychosom Med 1954;16(4):277-86)
ご自身の精神的な苦痛を押し殺さずに周囲のヒトに伝えることや、
不安や抑うつに対して専門医などの治療を受けること、
不安を軽減できるような行動を探して試してみること、
が有用となる可能性があります。
2017年1月6日~8日のブログでご紹介させていただきました、
深呼吸や運動、手当て、マインドフルネスなども役立つかもしれません。