日曜礼拝とイタリア人と日本人
僕達旅行者が見学する歴史的に有名な教会のほとんどは、現在でも神聖な教会として
普通に使われています。
気軽に立ち寄った教会で、ひざをついて静かに祈りをささげている人をよく見かけるし、
ある教会で聖人の墓にすがりつき、泣きながら懺悔している人々を見て
衝撃を受けたこともあります。
カトリックが国民の90%以上を占めるイタリアの多くの人にとって
教会は大切な心のよりどころなのです。
僕は旅行に行くと、日曜日の午前中、その時滞在している街の教会にミサを見に行きます。
歴史的な教会で、パイプオルガンの音色と共に人々が歌う讃美歌は、
何とも言えず僕の心を落ち着かせてくれます。
僕は、教会などの内部の写真を撮るときは、必ず撮影禁止かどうかを確認してそれを守るし、
カトリックでもなんでもないので、決して彼らの邪魔をしないように、椅子には座らず
一番後方に立って雰囲気を味わいます。
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イタリア人は男性も女性もかっこよくてきれいな人が多いし、小さな子供にいたっては
ほんっとに愛くるしい。
電車のコンパートメントなどで家族連れと同室になって、アジア人の僕に興味を持って
お菓子をくれたりちょっかいを出してくる子供などは、抱きしめて日本に連れて帰りたくなります(笑)。
だけど僕には、彼らや彼らの親に気持ちを伝えて許可を得るだけの語学力がないので、
かわいい彼らの写真は撮れません。
イタリアにはいろんな国からの旅行者が来ますが、教会でも子供のことでも、
ルールを守らずに怒られているのは、残念ながら圧倒的に日本人が多いです。
日本人はツアーで旅行する人が多く、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」だし、
「旅の恥はかき捨て」とも言いますが、恥と失礼は違います。
静かに祈りをささげている時にフラッシュをたいて写真を撮られたらどう思うか、
一緒にいる子供に外国人が何も言わずに近づいてきて、近距離からパシャパシャと
写真を撮られたら親はどう思うか。
旅をするなら最低限のルールは守らなければと、僕は思います。
4世紀末に、ローマ帝国から迫害を受けて殉教したキリスト教徒を弔うために
聖アンプロージュが建てたのがこの教会(現在の建物は10世紀に再建されたもの)。
ちなみに「ミサ」という言葉は、歴史上聖アンプロージュがはじめて使ったそうです。
旅のプランニング/ミラノダービー
僕が一番足繁く旅行に出かけたのは、新卒で入社した会社に在職中でした。
その会社は、超多忙で普段の休みがほとんど取れない代わりに、
ほぼ1年に1度、2週間程度の連続休暇を与えられていました。
その休暇をいつも旅行に使ううちに、だんだんと僕なりのプランニング方法ができてきました。
今回のフランスを使って、少しご紹介してみます。
今回のフランスは、「パリー12日間」の、航空券とホテルの予約のみの
パッケージツアーで行きました。
ヨーロッパは移動に往復で3日間取られるので実際動けるのは9日間。
僕だけかもしれませんが、どんなに見所の多い都市でも、
1都市に4日以上滞在すると必ず飽きます。
飽きるというより慣れると言うべきかもしれませんが、新鮮さが確実に薄れます。
だから僕は3日単位でグループ分けをし、隣のグループとは違う場所に移動するようにします。
次に、一つ一つのグループの中にハイライトの日を作ります。
今回の場合ハイライトの1日になりそうで楽しみだったのは、
1.シャルトル+ヴェルサイユ、2.ロワールの古城、3.モン・サンミッシェル。
これの他にパリに3日間いるとしても3日余るので、じゃーどっか近くで面白いトコないかな~と
調べてみると、ヨーロッパ中が注目するサッカーの試合「ミラノダービー」があるじゃありませんか。
ミラノまで飛行機で行っても味がないので、せっかくだから乗った事がない「夜行列車」で行こうか。
じゃ~ミラノからの帰りは、これまた1度は乗ってみたい「TGV(フランス版新幹線)」で帰ってこよう。
こうやってだんだん予定を決めていきます。
1日目:パリ→シャルトル大聖堂&ヴェルサイユ宮殿(日帰り) ←グループ1ハイライト
2日目:パリ→ロワールの古城めぐり(日帰り) ←グループ1ハイライト
3日目:パリ市内観光&夜行列車にて移動
4日目:ミラノ市内観光&「ミラノダービー」観戦 ←グループ2ハイライト
5日目:ミラノ→パルマにてサッカー観戦 (日帰り)
6日目:ミラノ→パリへ移動
7日目:パリ観光
8日目:パリ→モン・サンミッシェル(日帰り) ←グループ3ハイライト
9日目:パリ観光orオランダorベルギーまで電車で行ってみる
ねっ、楽しそうでしょ?
こうすると、例えばミラノが全然面白くなくても、「まだモン・サンミッシェルがあるさ」となります。
わざわざヨーロッパまで行って、「はいはいまた教会ね。。。」となるのがもったいなくて、
こんな方法で予定を立てています。
ちなみに、「ミラノダービー」は最高でした。
選手入場の前。ゴールの大きさと比べるとどれだけ大きいか分かります。
特にイタリアでは、地方間の対立が今でも根強く、
街を代表して戦うサッカーはまさに「現代版戦争」。
そして一つの街にヨーロッパを代表する強豪2チームがあるのはミラノぐらい。
だから、「ミラノダービー」はイタリアでも特別な試合です。
人、人、人。通路も階段も人だらけなので、試合が終わるまで身動きが取れません。
観客はなんと8万人を越えます。彼らのパワフルな息の合った歌や応援や
ブーイングを聞くだけで入場料分の価値があります。
ハーフタイム。火事ではありません(笑)。発炎筒を使った応援です。
写真でも分かるとおり、彼らの応援は何でもあり(笑)。
観戦の際の禁止事項だらけの日本には、まったく無い文化。
だけどそれが、たまらなくおもしろいんですよね。
旅のことば
ここまでご覧になった方は、思うでしょう。
「こいつイタリア語しゃべれるの?」
お答えしましょう。
「僕のイタリア語の知識は、ほぼゼロです。」
よく、「ヨーロピアンラテンの国々は英語が通じないからな~」と言っている方がいますが、
そんなことは僕には関係ありません。
なぜなら僕は、英語の知識もほぼゼロなので。
言葉ができなくて困ることは山ほどあります。
言葉ができない僕は、体の大きい赤ん坊です。
でもハプニングが起きたときは死活問題なので、一生懸命情報を集め対応します。
何とかなっちゃうんです。
そして苦労しているから、僕は旅先の事をよく覚えています。
いい思い出として。
僕は旅行に行くと、いつもその土地に住んでいる人々の事を想います。
普段日本で生活している僕とはまったく関係ないこの場所で
一生を送っている人々がいて、何かの縁でこうして僕の人生と交わっている。
そのことを考えるだけで、僕の心は震えるのです。
左側の建物が、サンマルコ広場にあるドゥッカーレ宮殿の裏側です。
ドゥッカーレ宮殿は、それはそれは豪華な宮殿ですが、中世の時代に裁判所として
使われていた過去があります。
そして、当時右側の建物に牢獄がありました。
裁判所で判決を受けた受刑者が、牢獄に行く前の最後に見れる外界が
この2つの小窓からの風景だったので、この橋の名前を「嘆きの橋」といいます。
ヴェネチアで一番華やかなサンマルコ広場の裏側で、夢破れていった人々。。。
言葉をしゃべることはできないけど、旅は心で感じるもの、僕はそう思います。
ただ、こんな僕なので、このブログに書いていることが正しい情報なのか
まったく責任は持てませんが(笑)。