詰将棋アンソロジーと著作権 | 不況になると口紅が売れる

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あの武島広秋氏が「スマホ詰パラ好作選 2014-2016」をまとめられた。
スマホ詰パラの好作150局を収録、208ページの大著で、巻末には「スマホ詰パラ年表」も収録。

1月20日(土)からDL販売を開始するという。

詳しくは武島氏のブログ「詰将棋を斬る!!」をご覧になってほしい。

しかし本書の刊行を前に、「作者全員に許可を得てから発刊すべきではないか」といった(これはもう、予想手順ではあったが)、クレームのようなアドバイスのような横槍のようなものが入っている。

それに対して武島氏はご自身のブログとツイッターで、「掲載されたくない人はご連絡を」とパーミッションをとっているが、それでもああだこうだという話が出ては消え…の状況にあるようだ。

そこで今回のケースについて、ちょっと自分なりに整理してみた。

あくまで私見であり、まあ反論もあるだろうが、この件について論争をする気はないので、それを前提にお読みいただければ幸いである。

 

①詰将棋は著作物か? (1歩譲っての議論)

 まず、「作者に許可」とのことだが、そもそも詰将棋は著作物なのか、という問題がある。長年議論されてきた話なので今更蒸し返す気もないが、これまで「詰将棋は著作物」とされた判例はない。

 著作物の定義=「思想又は感情を創作的に表現したもの」かというと、そういうケースもないことはない、という程度だろう。また、コンピュータソフトによって「発見」された配置と手順は誰の著作物なのか、という今日的テーマも踏まえて考える必要もある。仮に無数の「詰む配置」をネットに「発表」し、これは全て自分の著作物だから引用する際には許可をとれ、とする無法者が現れたらどうするのか、という問題も(ないだろうけど)想定しなければなるまい。

 そもそも「作品」と呼ぶから著作物のように聞えるのであって、詰将棋の何たるかを知らない人にはそれ自体、笑い話かも知れない。

 私見では「詰将棋は創作的プロセスを経て構成されるパズルであるが、著作物といえるだけの根拠はない」ということ。創作物だが、著作物として権利を主張できるものではない、と考える。

 むろん、著作物としての認定と、創作物としての価値とは別次元の話である。

 

②本書は、いわゆる「アンソロジー」か? (10歩譲っての議論)

 では、仮に「著作物」だということにしてみよう。そこで考えたいのは、今回の出版物がどのような性格のものなのかということだ。

 「特定ジャンルから複数の作品をひとつの作品集としてまとめたもの」をアンソロジーと呼ぶ。ただ詰将棋のアンソロジーは、エッセイや音楽CDのアンソロジーのように、作品を一定のテーマに基づいて並べ直したものとは異なる(とはいえ、これらのジャンルでも編集著作権というものが発生する)。

 詰将棋のアンソロジーでは、作品の図面や手順だけでなく、必ず解説が伴うわけだし、その解説にむしろ比重が置かれることが多い。変化や紛れの手順に加え、詰め手筋の価値、過去の同系作品、作者の作風など、作者も気づかなかったような指摘が作品価値を上げることもある。例えば「嗚呼君知るや9九飛」(山本民雄氏作)のような、解説者の名言で記憶される作品だってある(そういう意味では、詰将棋学校の担当者全員が門脇賞でもいいと思う)。

 よって、本書においては、解説が主、作品は従の関係にあると解釈する。前作を踏襲するとすれば、恐らくそうした著作物になるのは間違いない。

 つまり本出版物の著作者は武島氏自身であり、原作を改変しない、作者名・媒体等を記載するといったルールを守れば、「引用」の範囲にとどまる。きちんと作者に敬意を払った形での引用であり、そうであれば事前に作者に許諾を得る必要はない。

 私なんかは、自作でさえまともな解説ができないのに(スマホ詰パラの解説欄!!)、武島氏は作家としてだけではなく、解説者、編集者としてのセンスも素晴らしい。その武島氏の解説(視点や選考基準など)を読みたいから買うのであって、作品を見たければ無料サイトであるスマホ詰パラにアクセスすればいいわけだ。

 

③仮に「作品集」だとすれば… (100歩譲っての議論)

 それでもまだ、「好作選」だから作品集だろう、という言い草もある。また、スマホ詰パラに投稿した作品は、本誌への掲載水準に達しないものだから、何度も人目に晒したくないという人もいる?かもしれない。

 そのために今回、慎重にブログとツイッターでパーミッションをとったのであり、その措置でもう十分と考える。

 「ブログとツイッターだけでは見ていない人もいる」とはいうが、それ以外に伝達手段があるとも思えない。もともとスマホで投稿した詰将棋であり、作者自身のネット親和性が高いと解釈すれば、これは適切なメディアミックスの対処だと思う。実質的に詰将棋ポータルである「おもちゃ箱」にも掲載されるはずの記事だし…。

 

 というわけで収録作家の方は、局地的な議論はとどめて、まずは刊行の意義に共感をお示しいただければと思う。

 仕事ではぐちゃぐちゃと気持ち悪いことが多いのだから、趣味の世界では気持ちよく、粋な姿勢で臨みたいものだ。

 

 なお本書は、1月下旬に開催される「スマホ詰パラを語る会」では、格好のテキストになるはずだと思って、めちゃくちゃ期待している。

 



武島氏のブログによれば、収録作家は以下の通り(五十音順)。

掲載したくない人は1/17までに要ご連絡とのこと。まあ、そんな人はいないと思いますが(笑)。


〈英数〉
19枚目の歩・23571113・634634634・bonnginn・Comet_Lulin・divD・enoki・EOG・fuuuchan・hakoumi・i@hiro・kisy・munetoki・nono_y・nthigh・osumo3・serisiu・sint・sunrisepa・telnarn・town・umanoko・valentineshogi・YOIOY
〈あ行〉
あたまかな・天の川・有山 隆・有吉弘敏・あーるともまや・アンダーカレント・大橋宗角・園城寺怜@咲-Saki-
〈か行〉
柏木・かんかんのう・黄色・幻想咲花・現ノ証拠
〈さ行〉
佐口盛人・さざんが・下谷曲希・すみしん・世阿弥・千年回廊・蘇鉄の木・園川彼方・そば茶
〈た行〉
茶碗蒸し・黄楊の輝き・爪将棋・テンクウ・電子れいず・冬 柿
〈な行〉
虹色のルモ・二次元世界の調教師・のぞえり
〈は行〉
パスファインダー・バビル3世・原田椅子・盤上の狼・引田守・左馬・ヒロジロウ・瓶子吉伸・変寝夢
〈ま行〉
まつをっぽいよ・みつかづ・妙法蓮華経 釈迦佛一番の教え・三輪 勝昭・宗岡博之・メソッド・もラン
〈や行〉
夜神ココ・やきのり
〈ら行〉
らうーる・ラガト・リヴァロ
〈わ行〉
わかば

 

 

スマホ詰パラ好作選2014-2016 表紙

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