2018年1月15日

 

 20時過ぎ。高崎〜東京間の新幹線の車中にいる。今日は群馬2区と3区(太田、館林方面)を中心に回った。合間に、午前11時からの伊勢崎商工会議所新年互礼会、16時の館林商工会議所新年懇談会、18時30分の藤岡青年会議所、19時の高崎青年会議所の新年会等をハシゴした。

 ある場所で同じテーブルに座った某国会議員の秘書(代理出席)が言った。「一太先生の行動範囲、異常に広いですね!(驚)」「うん、神出鬼没でしょう?!(笑)」と応じた。

 昨日の富岡賢治・高崎市長の後援会が主催した「新春の集い」、北群馬地域(赤城地区)の山本一太後援会幹部会の様子は後ほど書く。その前に、昨朝の「新報道2001」での発言に関するブログの続編を記しておきたい。

 直感的に言うが、安倍総理が平昌五輪に参加するために訪韓する可能性は十分ある。いや、かなり高いのではないかとさえ思う。(ため息)もしかすると、既に肚を固めているかもしれない。もし安倍総理が訪韓するとすれば、あらゆる要素を総合的に勘案しての戦略的判断だろう。が、自分は「今回は行かないほうがいい!」と考えている。

 昨日、出演した「新報道2001」で、「韓国政府が日韓慰安婦合意を有名無実化した(韓国メディアの表現を借りれば「事実上、破棄した」)状況の下では、安倍首相はとても平昌五輪には行けない。また、行くべきでもない!」と発言した。その真意をもう少し丁寧に説明しておきたい。

 自分が安倍総理の訪韓に反対しているのは、「今、総理が韓国に行けば、世論の納得はとても得られない!」(=総理が批判されて内閣支持率が落ちる)と思っているからではない。

 ましてや、「韓国側の新方針なるものは、日本として到底、受け入れられない!ふざけるのもいい加減にしろ!」と憤慨している(=感情的になっている)からでもない。(もちろん、不愉快極まりない、かつ不条理な対応であることは間違いないが…。😡)

 本日、公表された読売新聞の最新世論調査によれば、日韓慰安婦合意に関する韓国政府の追加要求を拒否した安倍政権の対応を「支持する」声が8割を超えた。ムン・ジェイン大統領の方針には、86%が「納得できない」と答えている。

 こうした国内のムードを無視して安倍首相が訪韓すれば、国民の一部から厳しい批判が巻き起こることは容易に想像出来る。が、逆に「大局を踏まえた決断だ」と評価する意見も出るだろう。総理の平昌五輪参加が「安倍内閣の根幹を揺るがす」とは考えていない。

 韓国政府は今回も「ゴールポスト」を動かした。いくら進歩系の政権とはいえ、ムン大統領の一連の言動を見るにつけ、「この国と本当に外交交渉が出来るのだろうか?」と思ってしまう。(ため息)

 が、それでも、日韓関係が重要であることは言を俟たない。あくまで冷静なアプローチが求められる。北朝鮮の核の脅威に対処するための日米韓の連携を重視しているからこそ、日本政府も強行な手段(駐韓日本大使の再召喚等)は控えている。カナダの外相級会合では、日韓外相会談も行われる予定だと報道されている。

 安倍総理が、なぜ感情的な表現を抑えつつ、「合意に関する追加措置は認められない。韓国側には合意の履行を求める!」と繰り返しているのかはよく分かる。日韓が離反すれば、金正恩委員長を喜ばせるだけだ。

 もう一度言うが、内閣支持率低下の懸念や感情論で「安倍総理は訪韓するべきではない!」と主張しているのではない。「訪韓しても、けっして日韓関係のためにならない」と感じる幾つかの明確な理由があるのだ。

 第一に、安倍首相がこのまま平昌五輪の開会式に出席するようなことになれば、「日本政府は『日韓合意の事実上の破棄』を実は重く受け止めていない!何をやっても韓国との関係を優先せざる得ない!」という誤ったメッセージを韓国政府に送ることになる。

 韓国側は総理の訪韓をどう捉えるだろうか?ムン大統領の唱える「歴史問題と未来志向の関係(安保、経済協力等)は分けて考える」というあまりにも自分たちに都合のいい「ツートラック・アプローチ」(日本への「甘え」)が通用するという錯覚を抱くだろう。

 第二に、このタイミングでの訪韓は、国際社会に対しても「安倍政権は韓国による慰安婦合意の有名無実化を結局は容認せざる得ない!韓国側の方針転換にも一理あるのかもしれない!」という印象を与えることになる。この影響は深刻だ。

 第三に、安倍首相が訪韓してムン・ジェイン大統領と会談し、「日韓合意の誠実な履行」を求めたところで、今の韓国政府の基本方針が変わる可能性は極めて低い。

 にもかかわらず、政府内(官邸の一部?)には、「それでも、大局を見て、総理は訪韓すべきだ。ムン大統領が窮地にあるからこそ、手を差し伸べることに意味がある。ここは恩を売っておく(?)のが得策だ!」という意見があると聞いた。永田町では、こうした側近(?)の見方に「総理が傾いている」という見方が広がっている。

 要はリスクに見合う外交上のメリットがあるかどうかの判断だ。自分は「この時期の首相の訪韓」は、メリットどころか、上述したようなデメリットのほうが大きいと思う。安倍総理が「ある程度の支持率低下」を覚悟して訪韓したとしても、ムン政権は「安倍総理から恩義を受けた」とは感じないからだ。

 考えて見て欲しい。国際社会から「韓国政府が日韓慰安婦合意を実質的に破棄した」と見られている中で、安倍首相が平昌五輪に足を運んだとしよう。ムン大統領は演説で「感謝の意」くらい述べてくれるかもしれない。でも、総理の好意は、けっして韓国国民には届かない気がする。

 そもそも韓国メディアが、「安倍首相が国内の反対意見も押し切って平昌五輪の成功に協力してくれた。だから、慰安婦合意では韓国も譲歩すべきだ」などという報道をしてくれるだろうか?それはあり得ないと思う。

 想像して欲しい。安倍総理が平昌五輪の成功を後押しするために訪韓したからと言って、韓国国民の安倍総理に対するイメージが好転し、「安倍首相がここまで助けてくれた。『最終的かつ不可逆的な解決』を確認したのだから、慰安婦問題をこれ以上、煽るのはやめよう!」と思ってくれるだろうか?それも(残念ながら)絶対にない!(苦笑)

 過去の体験がある。97年、韓国の通貨危機に際して構築された金融支援パッケージにおいて、日本の宮澤政権が100億ドルの拠出をコミットした。このことは、韓国の危機克服に大きく貢献した。金大中大統領は率直に「謝意」を表明してくれたが、その後の政権で「日本への感謝」の言葉はほとんど聞いたことがない。

 加えて言うと、安倍総理の訪韓が「日米韓の連携から韓国が離脱するリスクを軽減する」とは、どうしても思えない。

 そうだとすれば、ここは韓国政府による「慰安婦合意の実質的な有名無実化」に対して、断固たる態度を示すべきだ。そもそも前回と違って、日本政府は、韓国政府に対して「何らの新たな対抗策」も打ち出していない。せめて、「総理の平昌五輪参加を見送る」くらいの姿勢は見せて欲しい。

 政治家・山本一太は日韓関係重視派だ。「日韓関係なんて悪化しても構わない」などとは全く思っていない。が、安倍総理が平昌五輪のために訪韓することには、どうしても賛成出来ない!(キッパリ)

 あ、間もなく東京のアナウンス。