2015年4月26日~5月2日:パート9

 5月12日の夕方。 議員会館でパソコンを起動させた。 次の日程まで少し時間が空いた。 すかさず、総理訪米同行レポートの続きを書く。

 本日は午前10時から昼12時45分まで財政金融委員会があった。 午後は、2回、総理官邸に足を運んだ。 13時40分から菅義偉官房長官に、15時25分から安倍総理に会った。

 菅長官には訪米の報告をした。 内閣官房長官の2つの必須条件は(1)イメージが清廉なことと、(2)危機管理能力に秀でていることだ。 改めて強く思った。 官房長官として、これ以上、適任のひとはいない、と。 というか、他にこの大役をこなせるひとの顔が思い浮かばない。 激務の連続で本当に申し訳ないが、菅官房長官と谷垣自民党幹事長には、安倍長期政権の最後まで(内閣と党の要として)総理を支え続けて欲しい。 個人的にはそのことを強く願っている。

 安倍総理には訪米に同行させてもらったお礼を申し上げた。 その他、何を話したのかは書かない。 総理は、いつものように優しく耳を傾けてくれた。 でも、やっぱり鋭いな。 物事の本質をズバッと突いてくるもの。 とにかく密度の濃い15分だった。

 ヨーグルトドリンクを一杯、飲んだ。 さあ、ロサンゼルス編の続きを始めよう。

<ロサンゼルス編:No.2>

 5月1日の昼から翌日の午前中にかけて、総理は精力的にロスでの日程をこなした。 全ての日程に同行した。 日米交流関係者との昼食会、JETRO主催による日米経済フォーラム、在留邦人・日系人等との懇談に続けて顔を出した後、日系人部隊(ゴー・フォー・ブローク)記念碑を訪問。 全米日系人博物館にも足を伸ばした。

 最も印象的だったのは、日系人部隊記念碑と全米日系人博物館。 総理がこの2つを訪問先として選んだのは、日系人のひとたちが様々な困難を(日系人の誇りを持って)乗り越え、米国社会はもちろん、日米関係の発展にも大きく貢献してきたことに敬意を払い、謝意を表するためだった。 

 日系人部隊の記念碑に献花し、集まった日系退役軍人の方々一人一人に声をかけ、握手を交わしていた安倍首相。 日本のリーダーの思いは十分に伝わったのではないか。

 なぜ、1万6千人を超える名前の刻まれた日系人部隊の記念碑を「ゴー・フォー・ブローク」と呼ぶのか? それは、第二次世界大戦に従軍した日系2世兵士たちのスローガンが「Go for broke!」(当たって砕けろ!」だったからだ。 欧州戦線の最激戦地で戦い、数々の勲章を受けた。 多くの戦死者も出した。 米国への忠誠を示すための決死の戦いだった。

 全米日系人博物館は、「日系米国人の歴史と文化的アイデンティティー」を後世に伝えるために設立された。 総理夫妻はこの「日系米国人の体験を伝える唯一の博物館」を丹念に見学した。

 同日の夜のレセプションには、全米各地から日系人リーダーたちが集まった。 この会で最も強烈な印象を残したのは、ロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティ氏だ。 容貌も立ち振る舞いも、ほとんどハリウッドの映画スターだった。 それもそのはず。 俳優で大学教授、ジャズピアニストなんて市長は(世界のどこを探しても)なかなかいない。(笑) 

 2度のスピーチで、ガルセッティ市長は、ロスと日本の長い歴史を強調していた。 安倍総理に対する手厚い対応が嬉しかった。 

 夜の打ち合わせの最中に、何度か気を失った。 が、眠い目をこすりながら、「やるべきこと」を最後までやり遂げた。  

 翌日、5月2日の9時30分。 安倍総理の強い要望で、日本政府の青少年交流事業「KAKEHASHI Project」に参加した南カリフォルニア州の高校生や大学生との懇談が行われた。

 総理の冒頭の挨拶を受け、参加者全員が訪日時の経験や現在の日本との関わり等について語った。 総理は、「これからも日本との縁を大事にして欲しい」と呼びかけていた。 何度も笑いが起こった。 とても雰囲気のいい会合だった。

 あ、そろそろ行かないと。 訪米同行レポート:その10に続く。    


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」