2008年5月12日:パート5

 今年の1月末から2月にかけて、永田町に「電子投票法案」に関する「不可解なファックス」が出回った。 発信者の欄に「ある人物」の名前が付されているそのペーパーの表紙には「参院民主党提案の電子投票『技術基準のアメリカ化に反対』」というタイトルがあり、その下には「昨年12月に衆議院で可決された電子投票法は参院民主党の修正項目が原因で中断している。その修正項目は日本の電子投票を廃棄してアメリカの業者に日本の電子投票市場を独占させる売国利権だ」と書いてあった。 この表紙に続いて「民主党提案の修正がなぜ悪いのか」が3ページ半に渡って詳細に記されていた。
 
 なるほど、民主党の修正案は「売国利権」だったのか?! こういう文書が自民党議員のもとに送付されていたことを、参院民主党の関係者(たとえば政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会の委員長や民主党の理事)は果たして知っているだろうか?
 
 先月、参院自民党の政策審議会で「電子投票法案」が議論された。 その際、このファックスを受け取った某参院議員がこの文書のコピーを手にとって、「こんな文書が私の事務所にも送られて来ました。これは一体、どういうことなんでしょうか?」と(あきれ顔)で言った。 その言葉を聞いていた回りの議員が口々にこうつぶやいた。 「何だよ、この法案。誰かの利権争いみたいのが絡んでるみたいじゃないか。うさん臭い法案だなあ」と。
 
 山本一太は、参院自民党の中で(一貫して)「電子投票法案」に慎重な立場をとって来た。 もともと、前述の「不可解なファックス」を発信した「ある人物」と参院自民党の間には「長年の軋轢」がある。 青木幹雄前参院議員会長も、片山虎之介前幹事長も、「この人物」には激しく怒っていた。 対立が決定的になったのは昨年の夏。 参院選挙の前に、この「電子投票法案に深く関わっている人物」が、参院選挙の情勢分析で「事実と異なる情報」を流した。 そのことに怒った参院自民党執行部が、「この人物」に対して(参院自民党幹事長名で)正式に抗議したのだ。 公党として、「党に不利益を与えたと判断した」人物が強く推進して来たプロジェクトを「より注意深く扱う」のは当然のことでしょう。
 
 が、しかし、「電子投票法案」をめぐる「不透明な部分」や「参院自民党内の事情」については、もうゴチャゴチャ言わない!(*そんなこと、もうどうでもいい!) この法案に反対するのは、法案の内容に「あまりに多くの問題」があるからだ。 この続きは「電子投票法案に反対する理由:その2」で。
 
追伸:雑誌「世界」の6月号に「国政選挙に電子投票はいらない」(北野和希)という論文が掲載された。 「何よりの問題はデータ改ざんの恐れが消えないことだ」という指摘は100%正しいと思う。


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