【技術士試験対策】PPP/PFI | 新見一郎

新見一郎

合格と成長をナビゲートする勉学講師

『新下水道ビジョン加速戦略』

以下の9項目が計上されています。

(1)人口減少・少子高齢化の進行

(2)汚水処理施設の整備状況

(3)老朽化施設の増大

(4)地方公共団体における下水道担当職員の減少

(5)下水道事業の経営状況

(6)PPP/PFIの動向

(7)省エネ・創エネ、資源利用の状況

(8)世界水ビジネス市場規模

(9)災害リスクの増大及び防災・減災対策の実施状況

 

こらについて、解説してみたいと思います。

今日は、(6)PPP/PFIについてです。

 

PPP・PFIはなぜ必要なのか?

人口減少により、下水道の使用水量が減少します。自ずと収入が減少します。さらに、下水道に従事する技術者が減少し、組織力の弱体化します。

そこで、収入不足、技術者不足を補う方法として、民間の活力を積極的に活用する「官民連携」がクローズアップされています。

PPPとは、パブリック・プライベート・パートナーシップ、つまり、官民連携のことです。「官」とは国や地方自治体です。「民」とは民間企業です。官民連携とは、「官」と「民」が連携して、「官」の仕事を「民」に託すことを意味します。

 

PPPの方法としては、以下のようなものがあります。

 

①業務委託(例えば、下水処理場の運転管理、ポンプ場の保守点検、管渠の浚渫、庁舎清掃等、それぞれの業務を専門業者に委託する方法。)

②PFI・DBO(施設の建設工事から運転・維持管理の業務までを一貫にして1つの専門業者に託す方法。平成30年にPFI法が改正されている。)

③コンセッション(施設だけを「官」が保有して、その経営は全て「民」が実施する方法。「民」は固定資産税を払わずに経営できる点がポイント。平成31年施行の改正水道法において、水道事業運営権(コンセッション)に関する規定が新設されている。)

 

PFI法改正、水道法改正に見られるように、国が、官民連携推進のため法整備を進めています。こうした背景を勘案して、『新下水道ビジョン加速戦略』では、下水道を取り巻く環境の変化の1つとして、PPPを掲げているわけです。

それから、下水道ビジョンの「施設再生」という取組の中で、「下水道施設の新規整備と改築更新、維持管理を一体的に立案する事業マネジメントを導入し、社会ニーズの変化に十分に対応できるような事業展開・運営を実現することを基本とする」と明示されています。これは、PFIそのものです。このため、技術士の必須科目対策においては、PPPの中でも、特にPFIは重要な取組になるので、勉強しておいてください。

特に、下水道については、浜松市でコンセッションが導入されているようです。要チェックですね。ただ、必須科目という視点では、改正水道法の施行が平成31年の夏以降ですから、平成32年度の技術士試験で出題される可能性が高いのかなって思っています。

 

 

 

 

PPPの課題

PPPの推進により、国や地方自治体は、事業の管理・運営を直営でやるのか、民間に任せるのか、選択肢が増えるわけです。これはいいことだと思います。

それから、事業の管理・運営を民間に任せることで、コスト縮減を期待できます。

ただしです。そもそも、官民連携がクローズアップされるようになった原因は、人口減少・少子高齢化です。人口減少・少子高齢化というのは、官に限ったことではなく、民にも言えることで、これは官民共通の課題です。

そして、民間に任せた結果、管理・運営レベルが下がり、サービスが低下するという事態は避けたいところです。一定レベルの管理・運営を堅持するためには、官でも民でも同じくらいの人員が必要になってきます。

つまり、PPPを法制化しても、現在、これを担える最適な業者が存在するとは限らないんです。同時に、民間に任せることでコスト縮減を実現できるかどうかもわからないんです。

 

PPPとセットで考えるべき取組

そう考えると、PPPを成功させるためには、新たな取組が必要になります。

まずは、業務規模の拡大が必要です。これは下水道や水道の事業統合、市町合併、道州制等の広域化の推進を意味します。事業規模が大きくなれば、スケールメリットが生じ、その結果、コスト縮減が可能になるからです。

また、人口減少・少子高齢化は日本人が抱える課題ですが、人口が増加している国も存在します。こうした国の優秀な外国人を民間が雇用して、効果的に登用することが可能になるかもしれません。

それから、ICTに関する技術革新です。民間に任せることで、新技術の導入が期待できます。特に、AIですね。AIによる施設の自動運転技術や会計処理が進めば、管理・運営の高度化と省力化を同時に実現することが期待できます。

というわけで、PPP、広域化、外国人労働者、AIの普及をセットにして、総合的な検討を進めることが重要になってくるわけです。

 

PPPに対する個人的な意見

先述したとおり、民の活用により、管理・運営に係る人員確保、高度化、省力化といった効果が期待できます。

その一方で、会社というのは、契約途中であっても経営状況が悪化すれば、債務不履行になる可能性があります。それから、関連銀行の経営悪化による融資ストップ、関連会社の倒産によるドミノ倒産等のリスクも存在します。

上下水道というのは、住民が健康・生命を維持するために存在するわけです。官であると、民であろうと、この目的を常に達成することが第一です。

このため、官による直営のままでは人員不足が生じてしまい、上下水道の目的を達成できない状況であれば、PPPを実施するのが有効です。その一方で、PPPに完全移行した場合、債務不履行、倒産というリスクが現実化したら、上下水道の目的を達成できません。

こうしたことから、それぞれの地方自治体が、直営とPPPのリスクを整理する必要があります。官による直営を堅持するのであれば、早期に、人材確保と人材育成に努めるべきです。PPPを導入するのであれば、完全移行なのか、部分移行なのか、その実施範囲を決定するとともに、会社が倒産した場合の対策を検討しておく必要があります。

 

 

●新下水道ビジョン加速戦略関連

※「老朽施設の増大」については こちら をどうぞ。

※「人口減少・少子高齢化」については こちら をどうぞ。

※「汚水処理施設」については こちら をどうぞ。

※「新下水道ビジョン加速戦略」については こちら をどうぞ。

 

●必須科目対策に必要な下水道の基礎

※「持続と進化」については こちら をどうぞ。

※「資源の循環」については こちら をどうぞ。

※「水の循環」については こちら をどうぞ。

※「下水道による排除・処理」については こちら をどうぞ。

 

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