第11話 「離れゆく心 —その夜から変わってしまった夫婦の距離—」
これは、私が年下夫に突然離婚を宣告され、悩みを手放し幸せを取り戻すまでの実話です。夫婦関係や自己肯定感に悩むあなたが、心を軽くし前に進むヒントをお届けします。第11話「離れゆく心 —その夜から変わってしまった夫婦の距離—」その晩のことは、今でも鮮明に覚えている。夜の闇に包まれた寝室で、横たわる夫の背中を見つめながら、私の中で何かが音を立てて崩れ落ちていくような感覚があった。数週間前から、夫の様子が少しずつ変わっていることには気づいていた。笑顔が減り、目が合わなくなり、何気ない会話にも間が空くようになった。私はそれを見て見ぬふりをしていた。気のせいだと、疲れているだけだと、自分に言い聞かせていた。子供は別室で眠っていた。私たち夫婦だけの空間。シーツの冷たさが私の緊張を高めていた。「なんかさ、最近様子が変じゃない?仕事でなんかあった?」言葉を発した瞬間、自分の声が妙に高く聞こえた。夫はうつむき、視線を落とした。その仕草だけで、何かが起きていると確信した。胸の奥が締め付けられるような痛みを感じたが、表情には出さないようにした。「別に何にもないよ」その言葉に嘘が混じっていることは明らかだった。夫の声には力がなく、肩は少し震えていた。「でもさ、最近やっぱり暗いし、なんか変だよ?」私は追及した。どこかで真実を知りたくない気持ちがあったにもかかわらず、問い詰めずにはいられなかった。今思えば、その時の私は刑事のように夫を尋問していた。答えを引き出すことに必死で、その答えが私の世界を崩壊させるかもしれないことには目を向けていなかった。夫の沈黙が部屋に満ちていく。私はさらに質問を重ねた。心臓の鼓動が早くなり、手のひらに汗をかいていた。そして、夫が口を開く直前、彼がつぶやいた言葉が今でも耳に残っている。「みゆきに知られたらおしまいだ」その瞬間、私の中の何かが凍りついた。何がおしまいなの?夫は私と目を合わせることなく話し始めた。まるでダムが決壊するように、言葉が溢れ出した。そして私の心も、同じように崩壊しようとしていた。***「実は…」夫はポツリポツリと話し始めた。第二子が欲しくて夜の生活を再開した半年前あたりから、気持ちがなくなってきたこと。夫婦なのに、子供を作るためにこうしないといけないことが嫌だったこと。そして、彼の口から出た言葉。「正直、セックスするのが嫌だった」その言葉は刃物のように私の胸を貫いた。でも、私は表情を変えなかった。ただ、内側では激しい痛みが広がっていた。息をするのも苦しくなるような痛み。「それからだんだんと、手を繋いだり、スキンシップするのさえ嫌になってきた。みゆきの発言も、振る舞いも…」私は自分の耳を疑った。この人は本当に私の夫なのか?あの優しかった人は何処へ行ったのか?頭の中が真っ白になりそうだった。しかし、私は冷静さを装い続けた。自分を守るために、感情に蓋をして。「ただ、息子は可愛いし近くで成長を見たい。両親や親戚も悲しむだろうから、自分さえ我慢すればいいと思ってた」夫の言葉には、諦めと自己犠牲が混じっていた。それでも私には、彼の本当の気持ちが見えた気がした。私への愛情の消失。それは否定できない現実だった。そして彼は先日の出来事について語った。二人でラーメンを食べた時の私の何気ない一言。「わたしのことを大事にしてくれない男なんていらない」その言葉が夫の心に突き刺さったらしい。「このままでいいのか?そう思ったんだ」私はどこか人ごとのように夫の話を聞いていた。身体は同じ部屋にあっても、心はどこか遠くに行っていた。今ならわかる。当時の私はすでにこの時から感情に蓋をして、思考で理解しようとしていた。もともと私は感情に蓋をする傾向があったのだろう。でもそれが、この出来事でさらに強化された。自分を守るための本能的な反応だったのかもしれない。「なんで?どうして?」私は夫に詰め寄った。妊活のことだって、ちゃんと夫に確認して進めていたはず。許可を取っていたから大丈夫だと思っていた。でも、「許可」と「本心」は違うものだったらしい。私は心のシャッターを、傷つかないように下ろした。でも内側では様々な感情が渦巻いていた。なんで?どうして?幸せだと思っていたのに、どうして?なんでいつも私は幸せになれないの?心の叫びが頭の中でこだましていた。同時に、どこかで「やっぱり」という気持ちもあった。無意識のうちに、夫の変化に気づいていたのかもしれない。***その夜、私はほとんど眠れなかった。横にいる夫。背中を向けて寝る夫。物理的には近くにいるのに、心はとても遠かった。結婚してから少しずつ、心の距離が離れていって、気づいた時には戻れないところまで来ていた。窓から差し込む月明かりが、シーツの上で揺れていた。時計の針の音だけが、この重く沈んだ時間の中で響いていた。私は天井を見つめながら、これからのことを考えた。この先、どうすればいいのか。自分を立て直すには何が必要なのか。夫の寝息を聞きながら、私は自分の人生の再建を考えていた。そこからが、私の模索の始まりだった。翌日から、私は必死に情報を集め始めた。インターネットで検索し、本を読みあさった。そしてまんまとGoogleから、心理学師匠のブログにたどり着き、その言葉に救われた。いわば「捕獲」されたのだ(笑)。当時の私は、物凄い量のブログを必死に読みあさっていた。そして「嫌われる勇気」を引っ張り出して再読した。そして奇妙なことに、私の大親友も同じ時期に離婚の危機にあった。私が話を聞いて力になりたいと思っていた矢先、私自身にも同じ危機が訪れたのだ。ここまでシンクロするものなのかと驚いた。でも親友がいたからこそ、私は励まされた。息子と猫との新しい生活でも、必死に頑張れたのは、彼女の存在があったからだ。私はたくさんの人に助けられていた。今でも本当にありがたいと、心から感謝でいっぱいだ。あの夜から始まった私の人生の変化。それは苦しくも、新たな自分を見つける旅でもあった。心の中の光を見失いかけた時、意外なところから差し込んでくる光もある。そんなことを、私は学んだ。続く📢 このブログの続きは毎週 月・金 更新!📢 各種メディアでも発信中✨📢 自身の離婚を乗り越え、カウンセラーとしても活動中!📍 カウンセリング →https://ichimiyu.com/session/📌 SNS・他のメディアはこちら!📍 HP&ブログ →https://ichimiyu.com📍 スタンドFM →https://stand.fm/channels/67c7b60c9dcfb50335101ce3📍note→https://note.com/miyuki_ichimizu📍 Twitter → https://x.com/Miyuki_Ichimizu📍 YouTube→https://youtu.be/L05Pw_jRxB8📍 公式LINE →https://lin.ee/le9jWZhp