米城です。

訃報が流れた。「フジヤマのトビウオ」と呼ばれた古橋広之進さんがお亡くなりなった。

古畑さんといっても、水泳連盟のドンとしての側面ばかりがクローズアップされ、千葉すずさんのオリンピック選考時の問題でかなり叩かれていたというイメージばかりだった。

でも、よくよく調べると凄い人だった。

1928年静岡県生まれ。
戦時中の勤労動員で作業していた際に、左手の中指を挟まれ、指先を切断するという事故に遭っている。スイマーとしては致命的な怪我である。

ただ彼はあきらめなかった。


努力を重ね、トップスイマーとしての地位を固め、タイムとしても世界トップランクの記録をつくっていた為、オリンピックに出場すれば金メダル確実と言われていた。

だが、戦後のロンドンオリンピック。
日本は敗戦国としてオリンピック出場を認められなかった。

ここからが凄いのだ。

このとき、日本水連はオリンピックの水泳競技の決勝と同日に日本選手権が開催した。廣之進は400m自由形4分33秒4、1500m自由形で18分37秒0を出しロンドン五輪金メダリストのタイムはおろか当時の世界記録をも上回った。

敗戦とその後の混乱で意気消沈していた日本国民に、夢と希望を与えたことは想像に難くない。

今年の世界水泳開催の地、ローマでお亡くなりになったことも(賛否両論はあると思うが)、古畑さんの水泳にかけた思いが感じられる。

凄い人でした。
ご冥福を祈ります。