自慢じゃないが、フランス語の試験勉強は真面目にやった例がない。
いわゆる、教材を買って満足するタイプだ。
しいて言うなら、7年ほど前に受けていた個人レッスンで、DALFの試験勉強を――当時はレベル分けのシステムが変わったばかりで、きちんとそれに対応した教材もなく――先生のオリジナル・スパルタレッスンを受けたことくらいだろうか。
…と言っても、仕事終了後に通学していた私は、いつもきまって濃いめに淹れてもらったコーヒーと、苦し紛れのフリスクをモリモリ(!)食べながら、肩を右へ左へ揺らし、睡魔と闘う為に行っていたようなもので、勉強の効率としてはかなり低いレベルだった。
仏検なんて、本こそ持ってはいるが、勉強しようと心に決めるのは試験日の夜、答え合わせをしている時だけだ。全般的に、文書作成や口頭試験など、自分から発する科目は得意分野だが、単語の穴埋め・特に動詞活用や時制を合わせての穴埋めは苦手の一言につきる。
こんなぐうたらな私に、語彙があるはずもなく…
試験勉強に決まって登場する"Le monde"紙(フランスの新聞)の記事も、社会面ならよしとして、政治・経済面になるとお手上げだ。(大体、フランスの政治について今私がわかっているのは、大統領が代わったことくらいだ。)
そもそも、日本語でだって政治・経済は学生の頃から苦手だった。(おいー)
そんな私でも、フランス人と結婚し、特に問題もなく今のところ生活していたが、パパ(義父)が日本にやって来てからというものの、私の頭はすっかり試験勉強体制へと変わっていったのだった。一日、学校にいるような気分である。
パパは、前項でも記したように、日本語は全くしゃべれない。
夕方…ニュースがテレビで流れ始めると、私の試練が始まる。
「C'est qui?(これ誰?)」 ←橋下知事が登場した場面で
「この人は何で毎回テレビに出てくるの?」
「この人達は中国人?韓国人?」 ←各地で広がるデモの模様を見て
「この島は中国ともめてるのか?何でこんなにもめてるのか?」 ←島の問題で二つの島が連日テレビに流れていたので
たまに「J'en sais rien!!(知らないよ、そんなのっ)」と叫びたい気分になる。
こんな時は、今では使うことのなくなった電子辞書がフル回転!
そう…忘れてた。
フランス人って、こういう社会問題にやたらと詳しくって、フランス人が集まるとそんな話で盛り上がったりするんだった…
人口・面積・ここからあそこまでは何キロか…天皇は何歳か。
日本の労働基準法について。年金について。医療・福祉問題について。
歴史について…
パパの質問攻めにあい…気が遠のく私…
。
あぁ、池上彰さん、私を助けに是非うちにいらしてくださいっ!みのさんは年金問題担当ねっ!あ、あの紙芝居みたいなやつ持参でお願いします!
(もう遅いけど)
いやぁー。本当にあの時は大変だった。パパはパパで、遠い国で息子が頑張っている様子を見て、色んな事が心配だったんだろうけれど。
それでも、これらのフランスの事情について勉強になったから良い機会だったともいえるかも
。
フランスの労働時間は週に35時間ってのは知っているとして…パパの会社では残業したらその分が有給休暇となり、その有給休暇は貯めることはできなくて、すぐに消化しないといけないから、定期的に週5日労働が4日になったりするらしい。アタシは…フランスで働いたとき、そう言えば日曜出勤すると給料が上がったな…。
同僚の人が日曜に大目に入っていたのは、きっと稼ぎたいからよと、別のスタッフが言ってたのを思い出した。
朝早くに働けば手当がつくし、日曜に働いても手当がつく。
医療費は歯医者と眼医者以外(たしか)はタダ。
医者はまずかかりつけの医者に診てもらい(自分であちこちと変えられない)、そこから専門家の処置が必要なら紹介してもらうという仕組みで、そうしないとあっちこっちの医者に行って、薬も2重、3重にもらって、海外に住む自分の家族に送ったりする人が出てくるからとか…
そんな小話をいっぱい聞かされた。
私も、今はないにしても、遠い将来、フランスに住むことにならないとも言えないので、この辺はキチンと勉強しておかないといけないな…なんて改めて思ったり。
もうすぐ娘も生まれるし…娘にフランス語、追い抜かされないようにしないとねっ!
がんばろーっ