9月4日(土)
――いよいよ、結婚式の日がやってきた。
朝は簡単に食事を済ませ、私はママと車に乗り込んだ。
今から街へ行き、ブーケを引き取りに行くのだ。
そこまでは、まぁしょうがないとしよう。
今日は結婚式当日。
なのに、ママはなんと
「みんなの食事用にバゲッドを買ったりと買い物があるから、一緒に買出し行こう!」
と言い出したじゃ、あ~りませんか!!!
(えーっと…あたし、準備が…)
と、心の中で思いつつ、とっさに出てこなくてつい、Ouiと言ってしまった昨日の夜…
私は今朝、思い切って
「準備がしたい」
と言った。
「Oh là là! Tu mes combien du temps pour te maquiller??(化粧にどのくらい時間かかるの?)その時間までには戻ってくればいいじゃない」
ハッキリ言って、そんなのわかんないけど、そんな気になれないのだ。
なんで花嫁が、みんなの食事買いに行くんだよ~!!(心の叫び)
フランスって…皆そうなの?!
なんか圧倒されたまま、ちょっと佇んでいると、夫の友人夫妻が言ってきた。
「ねぇ、誰の結婚式なの?!なんでそんなに花嫁働いてんの、朝から」
私にもわからんです。
でも、そう言ってくれるだけで報われるわー…少なくとも、フランスでそれが当たり前…って訳ではないんだということがわかったから。
結局、私は、純粋にブーケだけを取りに先ずママと車で街へ出て、その後はバゲッドだけをママが買って、とりあえず一度ジット(宿)に戻っていいことになった。
――花屋さんに、本当なら行く前に電話して、もうブーケは出来ているかと聞きたかったんだけど、何度ママが電話しても誰も出ず…直接車を走らせることにしたのだ。
私達が着くと、丁度、花屋さんはオープンしたらしく…(週末だけ営業時間が変わるらしい)入り口付近に置いてある鉢植えに、お姉さんが水をやっていた。
「Bonjour!!」
「ブーケ、出来てますか?」
「えぇ、どうぞ入って!」
注文したのは、白い花と、グリーンの葉っぱの、シンプルなブーケ。
(詳しくは前日・9月3日のブログをどうぞ)
思ったより、綺麗に仕上げてくれてホッとした。
「ありがとう!」
「気に入った?」とママ。
こちらで40ユーロくらい。
日本じゃありえない値段である。
私が財布を出そうとすると、
「ノーンノンノン!!これは私からのプレゼントよ!!!」
と、ママが言った。
ママのぶっきらぼうだけど、優しい気持ちが心に染み渡った時、今まで張り詰めていた気持ちや、夫の家族に対する言葉や文化の壁、色んなストレスがあったけれど、それが本当は不必要なものだったんだって、そう思った瞬間、涙が出てきた。
「ありがとう!!!」
店員さんも喜んでいる私達を見て、ホッとした様子で笑みをこぼした。
「これ、記念にどうぞ!Bon mariage!!!(良い結婚式を)」
渡されたのは、店名が入ったボールペン、2本だった。
そのお花屋さん、どこまでも親切で、ブーケのスタンドまで貸してくれた。
「葉っぱのグリーンの色がドレスに移らないように、少し離して持つのよ!」
ママが車の中で言った。
そのブーケが倒れないように大事に支えながら、ママがパン屋さんで焼きたてのバゲッドを買ってくるのを待った。
――ジット(宿)に戻った私達。
私はそわそわしながらも、招待客の食事の準備をするママの周りをウロウロ。
結局手伝わないわけにもいかず――式は午後1時30から。
写真撮影はその30分前にすることとなっていたので、皆昼食を済ませてからの準備となったのである。
ジットの入り口にある、ベンチとテーブルに椅子をいくつか足し、皆が座れるようにした。
ミネラルウォーターや、コップ、フォークにナイフ…全部用意して、昼食は朝買ったバゲッドで簡単にサンドイッチ。各自がハムやサラダ、コルニッション(ピクルス)を取り、思い思いのままにサンドイッチを作った。
大勢集まると、会話も弾み・・・
私以外は。
――私はそわそわしてしまって、上の空。
大体、みんなのハイスピードなフランス語についていける気もしなかったので、最初からあんまり聞こうともしていなかった。初対面の人も大勢いる中で、なんだかひとりぽっちになった気すらしてきた。
…そして、昼食が終りジットに戻ると、なんだか心細くなって、突然涙がポロポロ、こぼれ落ちてきた。
「どうしたの?!」
ビックリしている夫に、色んな思いをぶちまけた。
「僕がいるでしょう?」
優しく肩を寄せた夫に、慰められ、気を取り直して準備を始めた。
――そう、こんなに情緒不安定なのは、色んなこともあるけれど、きっとあのせいに違いない。
今日から女子の日に当たってしまったのです…ゴーン…
(そりゃないよ~
)
ギリギリどうかな、とも思っていたけれど
まさかまさかの人生一番の大舞台で、一番お腹の痛む日に当たり…。
何が一番心配って、トイレに行ったり、ドレスが汚れたりしないかって![]()
――夫に言うと、トイレ行く時一緒に行ってあげるから、と大きく頷いた。
そして、ゆっくり準備をするように…なんかあったら外にいるからね!と、友人達の所へと行った夫。
朝からの仕事で汗だくになっていた私は、シャワーを浴び、ゆっくりと準備をし始めた。
つづく。
結婚式当日に…こんなことやるなんて思わなかったし、

