「生きていて良かった。」

私がそう口にした時、

ユウジさんの目から涙がこぼれ落ちた。

これまで21年間の人生を生きてきたが

楽しいことだけじゃなく

辛いこと

苦しいこと

たくさん経験した。

今まで人生において最も辛いと
感じたこと

それは、

自分という存在を認めてもらえない、

見てもらえない、

孤独。

だからこそ、

自分自身の生き様を感じてもらい

それに涙を流してもらえたことが

ただただ嬉しかった。

ヒッチハイクの旅を通して、

お互い初めて顔を合わせたもの同士
だったにも関わらず

何の隔たりも感じなかったのだ。

ただそれが

不思議な瞬間でもあった。

どうして

初めて出会った得体の知れない
大学生2人を車に乗せてくれ
家にまで
泊めてくれるのか。

どうして
焼肉やらお酒やら
次から次へと優しさを
与えてくれるのか。

こんなにも胸が一杯になる程
優しさを受けた時

人はその瞬間を理解することが
できない生き物だと悟る。

大人に近づく程
夢を口にすることを恐れ

賢く生きることを求められる現実。

あれこれ理由をつけて
主張する言葉も
自分には偽りでしかなかった。

ただ楽しいから

好きだから

していたサッカーも
純粋に楽しむことさえできなかった
あの頃。

理由など何もなく
ただその瞬間を楽しく生きることが
できていた幼き頃。

この出会いが
本当の意味での幸福というものを
思い出させてくれたのだ。

ただそこにあった

不思議。

その瞬間
自分を自分たらしめてくれた
暖かい想い。

それが
生きるということなのだろうか。


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