<ドラマ 燦爛たる黎明 찬란한 여명>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
161.江華島条約
 
 
 
 
 
通常、東洋史では開国を近代史の起算に数えます。
中国ではアヘン戦争、日本ではペリーの黒船来航などです。
 
しかし、朝鮮では国内での資本主義的な生産関係が発展した大院君執権期で有る1860年代を起点とし、事件的にはシャーマン号の撃退事件からその始まりを数えます。
 
<ドラマでの辛未洋擾>
 
一方、ご存知の通り開国は日本との1876年江華島条約で、この時から日本による半植民地が開始され、開国と従属がセットになって居ます。
 
今回はこの様に我が国のその後の運命を決めたと言える江華島条約について詳しく見たいと思います。
 
<雲揚号事件と江華島条約 地図>
 
江華島条約は1876年(高宗13)2月に江華府で朝鮮と日本の間に締結された条約です。
条約の正式名称は『朝日修好條規』であり、江華条約または丙子修好條約とも呼ばれて居ます。
 
1868年王政復古、天皇親政体制を携え明治維新を断行し、近代国家の体裁を整えた日本は
朝鮮との近代的な国交関係を結ぶ為に交渉しました。
 
<雲揚号>
 
しかし、朝鮮は国書の書式が「皇」「勅」など従来と異なっており、対馬宗氏の肩書きが違うなどという理由で受取りを拒否。
 
これらの書契の問題が絡んで交渉は一時難航に陥りました。
その間西郷隆盛「征韓論」木戸孝允らの「国内重視派」との政策の違いで内戦も没発して居ます。
 
<雲揚号事件の錦絵>
 
しかし、興宣大院君の下野、閔氏戚族政権の登場により新しい転機を迎えました。
 
政府内で領議政李裕元と右議政朴珪寿などの重臣は「もはや通交を拒絶する事は国家の利益に役立たな​​い」と開国論を提案し、交渉に影響を与えました。
 
 
当時、大院君の失脚により国内の政治的雰囲気も徐々に鎖国政策を積極的に支持する「衛正斥邪勢力」の影響が弱まり、北学や西学の影響を受けた朴珪寿吳慶錫などの対外開放を主張する「開花勢力」が育って居ました。
 
一方、は日本の「台湾征伐」などの情勢から朝鮮のフランス、米国との国交を勧告しており、対日本政策の転換を促す事を朝鮮政府にも要請しました。
 
 <ドラマでの異様船(黒船)>
 
日本は朝鮮現地の事情を偵察しこれら朝鮮国内の情勢変化に便乗、朝鮮の開国に失敗したアメリカの援助も受け、
武力示威による国交促進の方策を提案した森山茂の勧告を受け入れ雲揚号など軍艦3隻を派遣、
1875年9月釜山港前で艦砲射撃の練習をするという口実で朝鮮政府に間接的な圧力を加えました。
 
<江華島 防塁>
 
また、その足で朝鮮王朝首都の玄関口で有る江華島に出動、9月21日沿岸砲台の砲撃を誘発させる軍事挑発を起こし、砲撃攻撃及び沿岸掠奪事件
「雲揚号事件(江華島事件)」を起こしました。
 
そして、それを口実に1876年1月再度江華島に軍艦7隻で出没し強権交渉を図りました。
 
 
全権大臣シンホン申櫶はこの様な日本の軍事威嚇行動を断固として糾弾し、
日本側の特命全權辦理大臣黒田清隆の謝罪を引き出すなど毅然とした態度で交渉に臨んで居ます。
 
<シンホン申憲>
 
朝鮮王朝実録に交渉過程が具体的に載って居ますので、韓国データベースに接触可能な方は読んでも面白いです。
 
朝鮮政府内では条約締結を巡り甲論乙駁が繰り広げられますが、結果的に『準備の無い開国』を選択しました。
 
 
いよいよ陽暦1876年2月27日12条からなる条約を締結しました。
 
重要な内容は
①朝鮮は自主の国で日本と平等な権利を有する(第1条)
②両国は15ヶ月後に使者を派遣して交際事務を協議する(第2条)
③朝鮮は釜山に加えて、2港を20カ月以内に開港して通商をする(第5条)
④朝鮮は沿岸航海の安全のために、日本の航海者による海岸測定を許可する(第7条)
⑤開港場で起こった両国の間の犯罪事件は属人主義に立脚して、自国の法律により処理する(第10条)
⑥両国の商人の便宜を図るために、今後通商条規を締結する(第11条)
などです。
 
 
第1条は朝鮮と清との事大関係を弱体化させる意図で挿入されたと言われて居ます。
歴史修正主義者たちはこの条項を指して「日本が朝鮮の独立を助けた」と主張して居ますが、元々独立国で有り何ともナンセンスです。
 
第5条で後に元山と仁川を開港にする事になりますが、これは政治・軍事的意図が内包されたものでした。
 
第7条では朝鮮沿岸測量権を得て、軍事作戦時の偵察の道を開きました。
 
第10条では領事裁判権を認めた不平等条約であった事が分かります。
 
↓↓以前の記事を参照して下さい。↓↓↓

 

その年の7月付録と貿易規則など細部が確定しました。
ここで
❶釜山の東西南北10里に通行権
❷開港場での日本貨幣流通許可
❸日本製品の無関税
❹朝鮮穀米の無制限輸出の許可
などが決まりました。
 
<江華島条約 条約文>
 
❸❹、特に❸はアメリカが日本に強要した「関税自主権の放棄」よりも数倍か悪どい「関税の放棄(つまりは無関税)」で、朝鮮王朝政府の国際関係の無知につけ込んだ条項でした。
 
この様に朝鮮王朝はこの江華島条約により準備の無い開国と、その無知につけ込んだ日本の『悪意』により急速に国際社会に引きずり込まれ、深刻な社会的矛盾の中で国家の消滅にひた走る事となります。
 
 
以上の様な日本植民地主義的侵略の出発点となったこの条約は近代初の不平等条約として、我が国の近代史において重要な位置を占めました。
 
<参考文献>
한국민족문화대백과사전
나무위키 
국사편찬위원회  한국의 역사 
조선왕조실록


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