裁判員裁判で3連続無罪獲得!!ーTBSドラマ「99.9」を地で行く5か月ー | 弁護士高橋裕樹のニュースな法律問題ブログ

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平成28年5月19日、完全無罪判決を獲得しました!

今年1月に危険運転致死等事件の裁判員裁判で無罪判決

(危険運転致死は成立せず無罪)

今年2月に殺人事件の裁判員裁判で無罪判決

(殺人については無罪⇒承諾殺人罪が成立)

これらに続き

わずか5か月の間に裁判員裁判で3連続無罪判決を獲得できました


これはかなりすごいことです(手前味噌)

現在、日曜夜9時からTBS系で「99.9-刑事専門弁護士-」というドラマが放映されているので

無罪をとることの難しさは理解してもらえるかなと思い

友人に話しましたが、全くピンと来ない様子


日本の有罪率は99.9%

(平成26年の司法統計では有罪率99.79%)


これを3連続で取ったんだから10億分の1の可能性を勝ち取ったんだ!

と言っても全然ピンと来ず



「3試合連続ノーヒットノーランみたいなもの」と言ったら

やっと「すげぇじゃん」と言ってくれました(笑)



今回の事件は

千葉地方裁判所平成27年(わ)第1162号 覚せい剤取締法違反・関税法違反被告事件

いわゆる覚せい剤密輸の裁判員裁判事件でした。


起訴されたのはタイの男女2人です。

2人が姉のように慕っていた女性から、

「いい仕事があるから日本に行ってもらいたい」と言われ

荷物を託されたところ、その荷物の中に、覚せい剤が巧妙に隠されていたという事案でした。



僕の依頼者は、荷物に覚せい剤が隠されているなんて知らなかったと一貫して主張していました。

しかし、検察官はその訴えを聞かず、起訴しました。


検察官が提出する証拠は、僕の依頼者が有罪になれば、もう一人も有罪になってしまう証拠構造

2人分の責任という強いプレッシャーの中、法廷に臨みました 


裁判の最後に僕の行った最終弁論

証拠を緻密に検討し、検察官の主張が不合理であることを一つ一つ潰していきました。



そして、判決



驚きと嬉しさで判決内容のメモが全く取れませんでした


ただ、僕が最終弁論で指摘した検察官請求証拠の不合理さと

僕の依頼者が何も知らなかったことを裏付ける事情が、判決にはかなり多く取り込まれていました


僕は、刑事専門弁護士ではありませんが

裁判員裁判の法廷は20件以上経験してきました

(多分、全国的にみたらかなり多い方)



その中で悔しい思いはたくさんしてきました。

それだけに今回の判決は本当にうれしかったです



先輩に以前、刑事弁護はドリカムの「何度でも」の歌詞みたいなものだと教わりました

♪10000回ダメで へとへとになっても

 10001回目は 何か 変わるかもしれない


本当にその通りだなと思います


今回の事件でも、その前の殺人事件でも

本人は「覚せい剤が入っているなんて知らなかった」「夫に殺して欲しいと言われたから殺した」

と一貫して話しているのに


検察・警察に作る供述調書には、

「覚せい剤が入っているかもと思っていた」「無理心中を図った」という内容が書かれていました。


このような無理な取調べや調書作成で、冤罪が作り出されてしまうことがないよう

弁護人は常に気を付けなければなりません


また、何度も言いますが、僕は刑事専門弁護士ではありません(笑)

民事事件のご依頼の方が圧倒的に多いです



しかし、証拠を緻密に検討し、

法廷での弁護技術を駆使して

国家権力を背景にした検察庁に連勝したという経験とメンタリティは

民事事件でも当然役立っていくものと思います



『戦う弁護士』として

これからも依頼者のため

全力を尽くして裁判に取り組んでいきたいと思います。



追伸

検察官は、案の定控訴してきました。

そして、依頼者らを再度身柄拘束しようと勾留請求を東京高等裁判所にしました



有罪にひっくり返った時点で、もし依頼者らがタイに帰っていたら

刑務所に入れるために連行しなければならないからでしょう



しかし、僕の働きかけもあり

高裁は勾留請求を却下しました



依頼者は今週、一年ぶりにタイに帰ることができます

ちょっと嬉しい後日談です



追伸2

持つべきものは、良き妻です



僕の声がよほど嬉しそうだったんだと思います

家に帰ったら準備していてくれました



頑張ってよかった!!


市川船橋法律事務所