多度津のまちには若者が少なかった。

教習所の待合室はいつものメンバーで、高校を出たばかりの女の子とリストラされて多度津に帰ってきたおじさんと3人で。

たばこを吸いながら彼女が言う。
『神戸みたいな都会がうらやましい。みんな都会へ行ってしまう。ここではデートといっても潮干狩りぐらいしか行くところがない。』

潮干狩りなんて、そんなのとてもステキじゃないか。

瀬戸内海は本州側から見るとキラキラと輝くが、四国側は深く青い。
反射せずに静かにしみこんでいく。

すべてを捨ててやり直すなら、やはり四国がいい。