台風21号に続き、北海道地震。

その前は西日本豪雨被害。

 

台風や地震といった災害が相次ぎ、今年はおかしいという声が目立つ。

しかし、地震はともかく、気象変動に関しては、

世界はもう危機感待ったなしで動きだしているのに、

日本が無自覚なだけのことだと思う。

地球温暖化=大気の熱エネルギーが上がる

=水蒸気(雲)の運動エネルギー(熱)が上がる

=水を蒸発させる力も強くなる

=気体の変動が激しく起こる

・・・なのだから、台風の風が強くなるのも、一気に集中豪雨化するのも

竜巻が起こりやすくなるのも、理屈としては当然だと思う。

水分が一気に蒸発して雲になるのが早いから、

ゆっくりと形成されて、その間に大陸内部まで移動して運ばれる前に

その地域でたまりすぎた雲の水(雨)を、空に貯めきれず、地上にどっと落としてしまう。

おかげで空から降る水は、一気に落ちてくる(雨が降る)ところは激しくなり、

海で蓄えた水蒸気がさっさと落ちてしまって届かない内陸部では

何年も雨も雪も降らずに干ばつで、水もなく、農業もできず

土地が干からびたら、経済難民にでもなるしかなくなったりもするだろう。

今回思ったのは、台風って巨大な竜巻が起こって

それが海水の水分を巻き上げているんだなということ。

理科で習ったことを現実に当てはめて考えてみないと

何のために習ったんだか、わからないというのに

ピンと来てなかった。

 

日本人は地球の気象異常に危機感が薄い。

その原因は、世界がそういう本当の問題に邁進している間、

日本ではモリカケモリカケ安倍おろしみたいなことを、ずっと一年以上もやり続けて

本当に知るべきことから目を逸らされていたからに過ぎないと思う。

テレビの押しつける問題は、国内の、言ってみればささいなことで、

本当の問題に比べれば、人同士の礼儀や態度や扱いかたで変えられる程度のことに過ぎない。

なのに、異常気象や地球環境の危機を報道するメディアはほとんどなく、

報道しても視聴者の関心は薄い。

日本は海に挟まれていて、雨も淡水も豊富。

水に不自由するわけでもなく、渇水で命の危険があるわけでもなく

山火事で町ごと家ごと焼失したわけでもなく、

農業が干ばつで壊滅したわけでもないから、

「世界のどこか」の話は「関係のないこと」という気楽さで、馬耳東風を決め込んでしまえる。

災害がおこれば、目の前の被害のことで頭がいっぱいだ。

しかし、日本メディアがモリカケを騒ぎ続けていたこのゴールデンウィークにも、

世耕大臣をはじめとする閣僚たちは、世界を飛び回ってエネルギ―問題(脱化石燃料と

エネルギー政策の転換)について、世界のキーマンたちと話をするために飛び回っていた。

それを報道したメディアは一切なかったはずだ。

世耕大臣の個人発信のSNSで見たくらいだ。

記事はまとめきれなくて、出してなかったはずだ。

日本人が大したことのない問題を針小棒大に騒いでいたころ

世界はどうにかして温暖化を食い止めるために動いてきたらしい。

意識的にニュースを探せば、これだけ見つかるが、

意識に上らないことは検索しない。

そこがネットのコワイところ。

この株売り圧力の話も、たまたま外出先で見かけた新聞の一面にあったから

世界が動いていることに気づいたのだった。

日本のマスコミの近視眼はどうすれば是正されるのだろうか。

日本人全体がそうだから、そういうマスコミしかいなくなっているのだろうか。

しかし、水利用に関して、水を無駄にしない新技術に邁進する日本のベンチャーの

番組も、二つ続けてあったので、知らないわけじゃない。

でも、やはり身近では水に困ったりはしないから、

食いつきは悪いのかもしれない。

 

 

脱化石燃料へ株売り圧力
世界900超の投資家表明 事業転換促す餌

2018/9/5付

日本経済新聞 朝刊

 

 世界的に異常気象が相次ぐなか、気候変動リスクの回避へ投資マネーが動き出した。化石燃料などに関連する企業の株式や債券を売却すると決めた投資家は世界で900超、資産規模は約700兆円にのぼる。融資を停止する動きも広がっている。気候変動を助長する事業を手掛ける企業は、規制などの関係で業績悪化の可能性がある。そうした企業を避けると同時に、市場の圧力で事業転換を促していく狙いもある。

 

環境の観点から保有する株式などを売却することを「ダイベストメント(Divestment=投資撤退)」と呼ぶ。環境負荷の高い企業を「買わない」だけでなく、積極的に「売り切る」ところまで踏み込む新しい判断だ。

 アイルランド議会は2018年7月、「化石燃料ダイベストメント法」を可決。政府系ファンドが石炭や石油など化石燃料企業に関連する資産を5年以内にすべて売却すると決めた。対象は17年6月時点で約150社、残高は3.2億ユーロ(約400億円)で運用総額の3.6%に相当する。

 米ニューヨーク市の年金基金も18年1月、化石燃料企業からの投資撤退を決めた。米エクソンモービルやシェブロンなど約190社、50億ドルが売却の候補となる。日本企業も例外ではなく、中国電力や北陸電力など電力6社の株式をノルウェーの公的年金が売却した。石炭火力発電の比率が比較的高いためだ。

 環境団体ダイベストインベストによると、環境負荷の高い企業からの投資撤退を表明した世界の投資家は18年8月時点では900超と過去5年で7倍強に増加。運用資産は合計6.3兆ドル(約700兆円)にのぼり、エネルギー関連企業の保有比率などを考慮すると、2~3%程度(15兆~20兆円程度)が実際に売却される可能性がある。

 異常気象や自然災害が世界で多発するなか、気候変動が経済成長を下押ししかねないとの懸念が投資家の間で強まっていることが背景にある。環境負荷の高い企業は将来の規制強化による業績悪化も懸念されている。

 融資を凍結する動きも相次ぐ。欧州金融大手の仏BNPパリバやオランダのINGなどが17年中に採炭や石炭火力発電への新規融資の停止を決定。日本でも18年に入り、三井住友信託銀行が石炭火力発電事業向け融資を国内外で原則やめる方針を打ち出している。

 市場や企業活動への影響は強まっている。世界の株式相場は14年末比で約25%上昇した一方、エネルギー関連株は小幅安と低迷する。米エクソンモービル株は同期間に1割強下落した。

 ダイベストメントには「気候変動リスクにつながる産業を縮小させる狙いもある」(日本総研の足達英一郎理事)。こうした影響もあり、米ゼネラル・エレクトリック(GE)は火力発電を含む産業用ガスエンジン事業の売却を決定。英豪資源大手のリオ・ティントも石炭事業から撤退した。

 「(市場の圧力による)事業転換は続く」(環境関連投資に詳しいニューラルの夫馬賢治社長)とされ、再生エネルギーなどへの参入が活発化しそうだ。一方、安価なエネルギーを必要とする新興国などにとって石炭・石油産業は不可欠といえ、関連企業の株価が過度に割安になる場面では一定の買いが入る可能性がある。

 

 

ダイベストメント 本来は「売却」の意味。投融資の世界では近年、環境に悪影響を与える可能性のある企業などの株式売却や融資の引き揚げ・停止を意味することが多い。日本では「投資撤退」と訳すのが一般的。2015年に地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されたのが弾みとなって普及した。

 

 

〈FT特約〉化石燃料投資に撤退圧力

経済性なき政治主張

2017/10/11付

日本経済新聞 朝刊

気候変動がもたらす経済的、環境的、人的被害を抑えることは現代の難題の一つであり、世界の化石燃料への依存を減らす必要がある。この事実を踏まえると、化石燃料の探査や採掘、販売を手掛ける企業への投資は難しい問題となる。

 英ケンブリッジ大学は、化石燃料関連産業からのダイベストメント(投資の引き揚げ)を求める活動家の強い圧力にさらされているが、方針を検討する上で、一連の厄介な問題を解きほぐさなければならない。

 第1に、ダイベストメントは偽善ではないかという問題だ。ケンブリッジ大も今後何十年かは化石燃料に頼り続ける。化石燃料の使用が明日で終われば、経済に壊滅的影響が及ぶ。活動家もこの点は否定しない。投資引き揚げの最大の動機は、化石燃料の需要を減らす施策の緊急性に政府と市民の関心を引き付けることだ。

 第2の問題は、エネルギー業界の経済状況を変えられるかだ。ダイベストメントが広がって化石燃料関連企業の資本コストが増し、グリーン投資へ傾斜するのだろうか。その効果は小さいだろう。資本を必要とするエネルギー企業向けには、環境に無頓着な低コスト資本が潤沢にあるのだ。

 第3に、再生可能エネルギーの競争力が高まるなかで、ケンブリッジ大のダイベストメントには純粋な経済的理由もあるのか。答えはノーだ。財務目標と政策目標を混同すべきではない。

 第4に、ダイベストメントを検討する大学がエネルギー産業から大きな寄付を受け入れることは問題なのか。答えはイエスだ。寄付を受け入れた大学は、しがらみなしに投資撤退を決められない。(2000年、英BPはケンブリッジ大に研究センターを寄贈した)

 最後に、環境責任を企業に求めるには、株主として圧力をかける方がよくはないか、という難問がある。アクティビズム(行動主義)に見込める効果は、少数株主による行動には限界があるという事実を踏まえなければならない。

 ダイベストメントは、投資戦略でも企業に経済的圧力を直接かける手法でもない。政治的声明なのだ。

(10日付、社説)

=英フィナンシャル・タイムズ特約

 

経産省が恐れる「ダイベストメント」
金融取材メモ

2018/5/8 16:20

日本経済新聞 電子版

 

「エネルギー転換・脱炭素化に向けた資金循環メカニズムの構築」――。経済産業省はこのほどまとめた2050年に向けたエネルギーの長期戦略にこんな文言を盛り込んだ。日本のエネルギー関連企業に対し、金融セクターとの対話を加速し、同分野への投資を呼び込む努力を強化するよう促した。

 同省が危惧するのは投資家による世界的な「ダイベストメント(投資撤退)」の潮流だ。長期投資を手がける欧米の機関投資家を中心に、投資判断の際「ESG(環境、社会、企業統治)」を重視する考え方が進展。一方で化石燃料関連企業への投資比率を下げる動きも出てきている。

 16年にはノルウェー政府年金基金が石炭火力発電の比率が高い中国電力や北陸電力など電力6社から資金を引き揚げ、業界に衝撃が走った。

 日本は引き続き化石燃料などを使う火力発電を重要な電源として活用する方針。再生可能エネルギーを将来の「主力電源」に育てることをめざす一方、安価で安定した電力の供給を維持する上で、火力の利用は当面、不可欠との考えだ。経産省は自らの「現実主義」に自信を持つが、最近のダイベストメントへの警戒感も強める。

 経産省がエネルギー企業に求めるのは、投資家への積極的な説明だ。なぜ火力を用い、再生エネにどれだけ投資し、将来はどんな事業ポートフォリオを描くのか。投資家に理解を求め、投資の維持・拡大につなげる狙いだ。同時に政府も、様々な電源・技術を最適に組み合わせることで最終的な脱炭素化を目標にするエネルギー戦略を国内外に発信し、同分野への資金供給をめざす。

 経産省がモデル事例の一つと見るのは、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルだ。将来のエネルギー情勢のシナリオやリスクを分析し、それに備えたビジネスモデルを実行しているとプレゼンテーション資料などで明確に説明する。こうした海外勢に比べ「グローバル市場で投資家と対話する経験が少ない日本のエネルギー企業も多く、取り組みはまだまだ」(経産省関係者)。国内事業に目が向きがちなエネ企業をめぐる論点としてこれから一層、注目されそうだ。(辻隆史)

 

 

温暖化対策、中印急ピッチ ゴア米元副大統領に聞く
日本は石炭火力支援やめよ

2017/11/11 23:30
情報元
日本経済新聞 電子版

ドイツのボンで開催している第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)で、温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」のルール作りが本格化している。温暖化に警鐘を鳴らし続けてきたアル・ゴア元米副大統領に対策の現状と課題を聞いた。

 

――パリ協定の発効で世界は変わったか。

 「インドや中国の動きが急だ。インドは炭鉱の閉鎖や、新たな石炭火力発電所計画を凍結することを決めた。太陽光発電の大量導入を進め、2030年までにすべての新車・トラックを電気自動車(EV)に切り替える計画もある」

 「中国の変化にも目を見張る。太陽光パネル、風力発電機、EV、電池などの製造で世界をリードすれば経済成長と環境改善を同時に実現できると気付き、着実にその方向へ進んでいる」

 「習近平(シー・ジンピン)中国共産党総書記は気候変動や経済の分野でリーダーシップを発揮したい考えで、国際交渉で存在感が増すだろう。中国の出方は日米のアジア政策に影響するので、注視する必要がある」

 

 ――日本にはどんな役割を期待するか。

 「途上国の石炭火力発電所建設の最大の資金拠出国になっており、改めるべきだ。最先端の石炭ガス化複合発電も発電効率は従来よりも約5%高いだけで、大気中に汚染物質を出し気候変動を悪化させる点は変わらない」

 「東京電力福島第1原子力発電所の事故が日本のエネルギー政策を難しくしたのはやむを得ない。しかし、日本政府は途上国の温暖化ガス排出の大幅な増加と気候問題の悪化を招く石炭火力に税金を使ってよいわけではない」

 「半導体、携帯電話などで我々が経験した劇的なコスト低下と同じことが、いま太陽電池や省エネ製品で起きようとしている。日本はこれらの技術開発やイノベーションで強みを発揮すべきだ」

 

 ――米国のパリ協定離脱がもたらす影響は。

 「トランプ大統領に離脱をしないよう説得を試みたが、駄目だった。幸い、追随して離脱する国はない。逆に『我々はパリ協定とともにある』という声が多くの国からあがった」

 「米国内でもカリフォルニア州、ニューヨーク州をはじめ多くの州や市、産業界の指導者がパリ協定を尊重すると表明した。米国が協定に基づいて提出した(短期の)削減目標を達成できるのは明らかだ。大統領は孤立し、世界の気候変動対策だけでなく、米国の政策にもほとんど影響力をもてなくなっている」

 

 ――世界の気温上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑える長期目標は実現できそうか。

 「現状では達成は難しいが、協定は参加国に2つの義務を課す。一つは透明性だ。自国の削減状況は他国の目にさらされる。もう一つは5年ごとに目標を改定することだ。来年以降、各国の目標引き上げが始まる。それが野心的なら2度目標を達成できるチャンスはある」

 「世界は『持続可能性改革』へ足を踏み出し、経済成長しながらも温暖化ガス排出量が増えないデカップリング(切り離し)が起きている。政策の変革と技術進歩によって温暖化ガスをさらに急激に減らせると楽観視している」

 「私は改革の担い手として気候変動問題について語り、行動するリーダーを育てることに力を注いでいる。トレーニングの集会を米国やカナダをはじめ、中国、インド、インドネシア、ブラジルなど各国で開いてきた。日本でも近く大規模な集会を計画しており、世界で活動を続けていく」

 

 Al Gore 米下院、上院議員を経て1993年からクリントン政権下で副大統領を8年間務めた。2000年の大統領選で接戦の末ブッシュ氏に敗れた。気候変動問題への取り組みで07年ノーベル平和賞を共同受賞した。テネシー州在住、69歳。

 

 

気候変動対策、後れ取る日本 ビル・マッキベン氏
米環境ジャーナリスト

私見卓見

2018/6/26 2:00

日本経済新聞 電子版

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32188410V20C18A6SHE000/?n_cid=SPTMG002

 

 1997年、京都の国連気候変動会議(第3回気候変動枠組条約締約国会議、COP3)で、地球温暖化を食い止めようと日本の指導者たちが京都議定書採択を熱心に進めていたことを私は覚えている。ところが、近年の日本は、気候変動対策を推し進める世界に取り残されているようにみえる。国際環境NGO(非政府組織)である「350.org」の創設者として、最近日本で感じたことを記したい。

 現在日本は新規の石炭火力発電所の建設を35基ほども計画している。石炭火力発電事業に対する世界の投資額で、トップ5の銀行の中に日本の3大金融グループが含まれている。この事実を見れば、日本の将来の発電は石炭による火力発電が主だと考えられても仕方がない。これでは過去に逆戻りである。

 というのも、日本以外の世界の大国は、火力発電所を閉鎖し、再生可能エネルギーを利用する方向に切り替えているのだ。トランプ大統領の米国でさえ、今年に入って新規に建設された発電所の98%が再エネ発電だ。中国も太陽光や風力を利用した発電所の建設を急いでいる。

 機関投資家の考え方も急速に変化してきた。18世紀以来の古い発電方法に対して投資を続けるのは有効でなく、21世紀の技術を生かしたエネルギー開発こそ投資に見合う利益を生むと考えるようになってきたのである。

 私は2012年から企業家や銀行、地方都市・政府機関に化石燃料からの投資引き揚げ(ダイベストメント)を呼びかけてきた。石油発掘で財を成したロックフェラー財団は将来性があり利回りの高い再エネへの投資に切り替えた。フランス大手保険会社のアクサや世界第2位の資産規模を持つノルウェーの政府年金基金も投資撤退に動いた。

 気候変動による天候被害は急増し、今までにない強い嵐や激しい雨、気温上昇などで世界中で人間生活が脅かされている。これから気候変動の進行を食い止めるのはますます難しくなっていく。

 米国や欧州、中国だけでは気候変動問題の解決は困難だ。世界第3の経済国である日本の積極的な参加が必要だ。日本の技術革新を生かす最大のチャンスが今だといっていい。日本でも第一生命保険が海外石炭火力への新規融資を中止するといった変化の兆しが出てきた。日本の政治家・企業が共に協力して同じ目的に向かって進むよりほかに道はないのだ。

 

 

当欄は投稿や寄稿を通じて読者の参考になる意見を紹介します。〒100-8066東京都千代田区大手町1-3-7日本経済新聞社東京本社「私見卓見」係またはkaisetsu@nex.nikkei.comまで。原則1000字程度。住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記。添付ファイルはご遠慮下さい。趣旨は変えずに手を加えることがあります。電子版にも掲載します。

 

 

豪東部に50年で最悪の大干ばつ、

絶望する農家 シャワーは3分以内

2018年8月9日 16:39 発信地:マラルンディ/オーストラリア [ オーストラリア アジア・オセアニア]

 

【8月9日 AFP】オーストラリア東部がここ50年あまりで最悪の大干ばつに襲われ、牧畜産業が大打撃を受けている。雨が降る見通しは当面なく、経済的・精神的に追い詰められた農場経営者らは絶望の淵に立たされている。

 過去にも大干ばつに見舞われてきたオーストラリアは、国民の干ばつへの対処能力の高さでも知られているが、今回の異常気象は東部一帯に壊滅的な影響を及ぼしている。今週初めにはわずかに雨が降ったが、記録的な大干ばつの前には焼け石に水で、牧草地や農耕地の大部分が枯れ果てている。

 農家は飼料や牧草を他地域から仕入れざるを得ず、羊や牛を生き永らえさせるためだけに毎週、何千ドルもの費用負担がかさむ。干上がった大地に草が育たないため、毎日何時間もかけて手作業で家畜に餌をやり疲れ切った農家や、飢えた牛を殺処分するほかなくなった農家もある。多くの農場経営者たちが、先祖代々住み続けてきた家を放棄しなくてはならない未来に直面している。

 ニューサウスウェールズ(New South Wales)州当局は8日、州全域が干ばつ被害に見舞われていると公式に宣言した。北隣のクイーンズランド(Queensland)州政府も、6割近くの土地が干ばつの影響を受けていると発表している。

 豪政府は先週末、苦境にある農家への緊急救済措置として1億9000万豪ドル(約157億円)の拠出を表明した。農家への資金援助に加え、カウンセリングなど精神的な健康を支える各種サービスへの支援も含まれている。市街地から遠く離れた農場で暮らす孤独感と相まって、干ばつに由来するストレスや自殺の懸念が高まっているためだ。

 農場の人々を物資で支える市街地も苦しんでいる。シドニーから北に300キロほど離れた町マラルンディ(Murrurundi)では、今年の降雨量が170ミリ未満にとどまり、飲料水が数か月中に底をつく恐れがある。地元当局が給水車の投入を検討する中、住民はシャワーを3分以内に済ませ、衣類の洗濯は週2回までといった厳しい制限の中で暮らしている。(c)AFP/Glenda KWEK

 

 

洪水で106人死亡=「100年に1度」の豪雨-インド南部

 

 

【ニューデリー時事】インド南部で降り続く雨期の豪雨による洪水被害が相次ぎ、AFP通信は16日、ケララ州で死者が106人に達したと報じた。地元メディアによると、同州で15万人以上が家を追われ避難所に身を寄せているという。周辺州でも死者が出ているもようだ。

 地元民放NDTVは、住民が屋根や木の上に上り、ヘリコプターで救出される様子を放送。地元紙ヒンドゥスタン・タイムズによると、ケララ州では39カ所のダムのうち33カ所が、貯水能力の限界に近づいたことから放流を開始した。

 インドは例年、雨期に大きな被害を受けるが、今年は「100年に1度」(タイムズ紙)の豪雨が南部で降り続いている。ケララ州のコーチン国際空港は26日まで運用を停止する。

 

スウェーデンで未曽有の猛暑・干ばつ、

牧草育たず家畜処分する農家も

2018年7月20日 13:16 発信地:ノルテリエ/スウェーデン [ スウェーデンヨーロッパ ]

 

【7月20日 AFP】スウェーデンで未曽有の干ばつが発生している。国土の広い範囲で牧草が育たず、一部の農家は家畜を処分する事態に追い込まれている。

 首都ストックホルムの北に位置する町ノルテリエ(Norrtalje)で農業を営むヤコブ・グスタフソンさん(47)は、恵みの雨を降らせる雲を探して空を見上げながら、「これまで経験した中で今年は最悪だ。60年農業をしている父でさえ、こんなのは経験したことがない」と語った。

 スウェーデンは過去1世紀以上で最悪の猛暑にあえいでいる。5月初め以降は、6月中旬に13ミリの雨が降った以外は降雨量がほぼゼロだ。

 スウェーデン気象水文研究所(SMHI)のスベルケル・ヘルストロム(Sverker Hellstrom)氏は「スウェーデン南部と中部で5月は異常な暑さだった。最南端の6月は、この100年以上で最も暑かった」と語った。

 消防隊員らによると、スウェーデン全土、北極圏内でさえも森林火災が起きており、ストックホルム周辺では毎日20~30件の消火に当たっているという。

 気象予報によると、スウェーデンの大部分とデンマーク、ノルウェー南部とフィンランド北部は現在、猛暑に見舞われており、この暑さはすぐには収まりそうにないという。

 猛暑と干ばつの影響で、家畜用の牧草などが例年通り育たないため、農家はこの季節の作業を中断せざるを得ない状況に追い込まれている。

 グスタフソンさんは、高さ10センチあるかないかの牧草を指さしながら「例年の今頃は、30~40センチくらいに育っているはずだ」とAFPに語った。妻のアネッテさんと共に乳牛100頭以上を飼育するグスタフソンさんは、家畜を「生かすため」に冬用に蓄えておいた牧草を与えているが、新しい草が育っていないため「冬はどうなるか分からない」と不安そうだ。

 水不足に加え、牛乳も大きな懸念となっている。牛に十分な餌を与えられなければ、牛乳の品質も悪くなるからだ。グスタフソンさん一家の損失は、20万クローナ(約250万円)以上になると予想される。

 この未曽有の危機に対処するため、スウェーデンの農業組合は、消費者に対しては「スウェーデン製品を購入」し、生産者に対しては「スウェーデン人に販売」するよう呼び掛けている。(c)AFP/Helene DAUSCHY

 

 

対して、優秀だと言われる日本の官僚の頭の中はこういうものだという座談会記事が出た。

官僚は、事務処理に忙殺されすぎるのか、世間が狭すぎる。

本当だったら、もうこういう近視眼とセクト主義の人間には任せておけないから、

官邸主導になるのも解る気がするし、でも、麻生さんが消費税増税をプッシュするわけは

よく解らないままだ。

「税を上げても大丈夫だ」と言う代わりに、

「なぜどうしても上げなければならないと考えるのか」を

読めたためしがない。

 

「官邸で一番の嫌われ者は…」

4人の現役官僚が本音トーク〈週刊朝日〉

9/6(木) 7:00配信


AERA 

 

事実上、次の首相を決める自民党総裁選を控え、ザワつく霞が関。国会で連日、論議された防衛省の日報問題、財務省の森友文書改ざん問題、文科省を揺るがした加計疑惑、局長らの収賄事件と、官僚の不祥事も続く。安倍政権に仕える現役官僚たちが語る本音と現実とは──。

【A氏 文科官僚(30代)、B氏 財務官僚(30代)、C氏 防衛官僚(40代)、D氏 内閣府官僚(50代)】

*   *  *
──9月7日に総裁選が告示されます。

内閣府D:安倍政権はずっと「経産省内閣」なんで嫌な感じですよ。もう5年以上になるので代わってほしい。ただ、一番代わってほしいのは、取り巻きの「安倍忖度グループ」の人たち。経済産業省出身の今井尚哉首相秘書官を筆頭に、幹部官僚人事を決める内閣人事局長の杉田和博官房副長官(警察庁出身)、和泉洋人首相補佐官(国土交通省出身)。この人たちは、パワハラと言われてもおかしくないレベルで他省庁の官僚を官邸に呼びつけ、上から目線で怒鳴るので評判はよくありません。あと経産省出身で国会議員になった西村康稔官房副長官も最悪。とにかく官邸が言うことは「今すぐ何が何でもやれ」とごり押ししてくる。指示も細かく、偉そうなので嫌われています。

文科省A:わが省は総裁選はほとんど気にしていません。一番気になるのは、改造で次の大臣が誰になるかということだけです。大臣によって、これまで丁寧につくってきた計画や、積み上げてきた行動が、ひっくり返されてしまう可能性があります。継続してきた仕事が、トップの一声でがらりと変わってしまうことは、勘弁してほしい。

財務省B:参院選、オリンピックが終わるまでは、安倍さんでいいです。でも、消費増税を先延ばししてばかりの安倍さんのままは困る。やっていけないだろうなという感覚です。今、財政赤字が相当なことになっているので、とにかく消費税を上げたい。一昔前は、日本人が国債を買っているから問題ないと言われていたんですけど、最近は国債の1割は外国人が買っています。

防衛省C:わが省は経産省内閣と相性がいい。武器輸出、輸入などの政策にも力を入れてくれるので、大きな防衛計画の見通しをつけることができ、助かります。防衛通といわれるけど経済に弱そうな石破さんに比べると、安倍首相のほうがいいかなと思う。ただ、安倍首相の“お友達”は防衛省より極右で時々、怖くなる。安倍首相でなくてもいいけれど、安定した自民党政権がいい。防衛外交に関しては、野党はコネクションがないから機能しない。政権交代だけは勘弁です。

文科省A:確かに、民主党政権は思い出したくない……。アメリカの二大政党制とはわけが違いますからね。理想を掲げることは大切ですが、実現の可能性が低い政策は、事務方の仕事がはかどらない。現実的な路線が必要です。

内閣府D:鳩山、菅両元首相、前原元外相、長妻元厚労相、蓮舫内閣府特命担当相(事業仕分け)などはひどかったですよ。ただ民主党政権下は財務省の天下でしたが、安倍政権下では凋落が目立ちますね。

文科省A:ここ数年の経産省の躍進はすごい。

■経産省に人事で完敗した財務省

財務省B:官邸における立ち位置で差をつけられているのは事実ですが、若手職員は財務省と経産省のパワーバランスについてはそもそも興味がないですね。上の人たちは、「われら旧大蔵省が国家を主導するのだ」と思って仕事をしていたから、苦虫を噛みつぶすような気持ちだと思いますよ。ただ、いくら経産省だって予算で制御できるわけだから、全体的には世間で言われているような差はないですし、気にしていないですね(笑)。

内閣府D:今、うちが草刈り場になっている。この7月人事でも首相直轄の経済財政諮問会議、一億総活躍、働き方改革など看板政策を官邸と組んで仕切る内閣府経済財政部局の政策統括官(局長級)のポストをまたもや経産省に取られました。財務省が将来の内閣府事務次官に送り込んでいた官房審議官は競い負け、そのポストが取れませんでした。内閣府プロパーに回ってくるポストは官邸から疎まれているものばかりですよ。

 

文科省A:首相直轄の総合科学技術会議を仕切る内閣府の科学技術・イノベーション担当の政策統括官も経産省に取られました。これまでポストはうちの旧科技庁系が座っていたのに……。東京医大の汚職事件で局長らが逮捕されるなど不祥事続きなので仕方ないですけど。官邸に近いポストは必ず介入してきますし、さすが経産省内閣というところでしょうか。

内閣府D:今井秘書官とべったりなのは、安倍首相だけでなく、菅官房長官もそう。ただ、官房長官周辺の指示はわれわれにもわかりやすい。政策重視の的確な指示が多く、「あ、これは菅さんの指示だな」というのがよくわかる。その一方で、首相周辺は、「首相のご意向」と言う割には、「本当に安倍さんが言っているのか?」「自分たちに都合よく忖度して言っているだけだろう?」と勘繰ることが多いですね。

財務省B:安倍内閣は安倍首相、菅官房長官ら政治家主導と言うけど、実際は官邸主導ですよ。安倍内閣になって、これまで各省庁が縄張り争いをやりながら、バラバラにやっていた政策を官邸に入った官僚たちが「首相の意向」を錦の御旗にして優先順位を決め、やりたい放題にやる官邸主導に変わったという言い方がしっくりきます。

内閣府D:しかし、政治案件の不祥事も多かったです。  

防衛省C:うちの日報問題は、内部でも真相はよくわかりませんよ。稲田元防衛相が国会でないと言ったおかげで、全く関係ない私たちの部署でも日報の書類が机にないか捜せと指示され、ずっと捜させられました。こうして仕事が滞ることはおかしいです。ただ、普通、文書なんて捨てませんよ。隠し通せるはずがありません。結局、稲田さんが辞め、小野寺防衛相になったけど、ダメージはそんなにありませんでした。その後、安倍昭恵首相夫人の森友疑惑で財務省が火だるまに、さらに加計学園の疑惑で文科省に飛び火し日報問題は埋没していったので、仕事に影響が出ず、助かりました。   

 

財務省B:森友問題に関しては、関係する理財局と、理財局以外では空気がまるで違いました。財務省の中でも理財局は当事者で、なんとしてもこの難局を一丸となって乗り切らなければという空気でした。一方で、問題をごまかしてはいけないという気持ちはありました。少なくとも室長より下の人は。課長より上はわからないけど(笑)。理財局以外、例えば主計局とか、主税局とか、税金を扱う部署は「何してくれているんだ」と思っているはずです。さらに、これで麻生財務相が更迭されでもしていたら、頭を抱えたと思います。財務省の立ち位置が下がるし、麻生さん頼みでここまで何とか官邸に対抗してやってきたので。ただ、今回の問題では安倍首相のために文書改ざんまでしたワケだから、大臣が更迭されるのも理不尽な話です。

内閣府D:それにしても、あの近畿財務局の、あれだけ昭恵夫人や政治家の名前を書き込んだ決裁文書って普通じゃまず考えられないですよね。これを言ったら問題になりそうだけど、公文書ってあそこまで詳細に書かないです。公文書以外に、備忘録メモとして別の紙に残すことはよくあります。それなのに保存期間が設けられている公文書にあれだけ書き込んだということは、よっぽど近畿財務局は、安倍首相、夫人案件について頭にきていたのでしょうね。文書に怒りが込められていたような気がします。自殺者も出ました。

(構成 本誌・田中将介)

※週刊朝日  2018年9月14日号