組合新聞 2010年2月号 | 国際ビジネス情報協同組合

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組合新聞の一部をご紹介します。

2月は中国の旧正月)
 今年の旧正月2月14日(春節)期間の旅客輸送量が延べ25億人に上るとの予測が明らかにになり、旧正月期間中は各地で学生や出稼ぎ労働者などが帰省や観光客の移動で交通機関の混雑が毎年起きています。(2010年の旧正月輸送期間は、1月30日~3月10日までの40日間。)
 なんと今年の旅客輸送量は前年比7.7%増の25億4100万人に達する見込みだそうです。経済成長に伴う生活水準の向上により、飛行機利用者の増加が著しいものであります。

 日本の正月は『おせち料理』がメインですが、中国の旧正月においても縁起を担いだ様々な食べ物が食卓を彩ります。『ゆとりある豊かな生活を』との願いをこめて、「余」と同じ発音の「魚」を食べたり、昔に流通した通貨と形が似ている水餃子を食べて金運上昇に期待を込めるほか、「長寿」を意味する麺類や、「子宝に恵まれる」と言われるナツメを食べるなど多岐にわたります。

 さて、今月のテーマは日本と中国の経済状況の違いについてお話したいと思います。


日本と中国の経済状況)
 日本は不況の影響もあり各業界の企業は四苦八苦しています。いっぽう中国は?
現在中国では景気が過熱しインフレが進行しています。食物は数十パーセント値上がり、不動産は、10年前の10倍以上の値上がりをしています。この加熱を抑えるため、中国政府は金融の引き締めを始めました。

 今回見聞きした中で、山東省青島市の不動産状況を少しだけ書いてみます。(これが全てではありませんが、中国の経済状況を象徴しているかもしれません。)

 現在マンションの価格は、1㎡当り10,000元から30,000元です。日本円換算を1元14円としますと、140,000円から420,000円ということになり、坪計算すると1坪約463,000円から1,300,000円となります。

 更に中国と日本とではまだまだ違いがあります。
 一つは共用部分もこの買取り面積に含まれ、約75%が日本で言う利用可能な面積です。もう一つは、新しいマンションは全く内装工事が成されていません。

 従って、内装をしていないマンションの価格は日本風に計算をしますと、一坪約617,000円から1,730,000円となり、更に内装はこの価格に20%程度が必要となります。
そうすると1坪当たり約740,000円から2,000,000円程度の費用になるわけで、仮に30坪のマンションを買うとなると、22,200,000円のお金が必要となります。
 その上マンション業者は、設計段階で売却することを禁止されたのを良いことに売るのを控え、更なる値上がりを待っています。
 一方、大学卒の初任給は1,500元(約21,000円)前後ですが、果たしてこのようなマンションが将来買えるのでしょうか?

 最近、売却されたマンションは実際に入居されている(夜に電気が灯っている部屋)率は10%程度と言われています。これは広東人、上海人、台湾人など、ごく一部の金持ちが投機で取得している場合が大多数であります。
現に中国人のお金持ち王伝福は5230億円、28歳の女性で美人の楊恵妍は5000億円の資産を持っているなんて聞くと驚きます。これが本当に共産国なんて・・・

 さて、いかが考えますか?
 これを中国経済の過熱と判断するか、それともこれが当然だと考えますか?
 中国の経済、不動産は今年5月から10月末まで開催される上海万博までにバブルが弾けると言われたり、内需が旺盛でまだまだ発展が続くと言われたりしています。
 ただ我々が言える事は、日本人が考えているよりも圧倒的な速さで道路や高層ビルなどが建設され、発展し続けていることは事実です。
 例を挙げて言いますと、青島市近郊の陸と陸を結ぶ海に架ける3キロメートル橋を、現在まだ工事に着工していないのに来年の9月まで完成させるという話があります。
これは日本人的考え方で言うと、「賭博性があるものが好きだ」、「良いものはすぐに実行し、実行後に問題点を考える」という中国人特有の『決めることが早い、すぐに実行をしなければ他に取られてしまう』という考えからかもしれません。

中国人の仕事感覚)
 日本人は「目は口ほどに物を言う」「ツウと言えばカア」「奥さんにオイと言えば、はい新聞」という具合に相手のことを考え、抽象的な表現でも何を求めているかを悟り、これを「よく気がつく人」なんて表現をします。
これは長い間に島国の中で、日本人が独特の文化を育てあげてきたということです。ところが昨今のグローバルな世の中で異文化と接し、日本独特の「あいまいな表現」は全く通じず、許されないと言っても過言ではありません。

 勿論、中国からの研修生に「言われなくても気を回して仕事をやれ」と言っても通じません。彼らから言わすと、「私の上司が無能だ」「上司としての資格がない」「責任を回避しているのだ」と取られかねません。これは研修生ばかりでなく国際社会どの国でも当てはまります。

 明確な表現で「○○を□□□の方法で△時まで仕上げなさい」ということが大事です。
 中国人は『経過や方法を大事にせず結果だけを大事にする』性格を持っているからです。

 また彼らは自己主張が強いため、「自分独自の仕事方法を取る」場合が多く、均一の製品を作り続けることが不得意です。これを回避するためには、やはりハッキリと明確な言葉で仕事を指示さえすれば良い結果が得られるわけです。


春節のお願い)
 新暦2月14日(日曜日)は中国最大の祝日であります。
中国ではこの日ばかりは故郷に帰省し、久しぶりの家族と共に夜通し食事をします。テーブルには魚料理や餅、餃子は欠かすことができません。

 一方、日本で研修に励んでいる子たちは、そう簡単には故郷へ帰ることができません。研修生を受入れされている企業様で、何らかのお心使いを願えれば彼らもきっと喜ぶと思います。


記:国際ビジネス情報協同組合 新聞編集部