こんにちは!

 

茨木元町どうぶつ病院です。

 

横隔膜ヘルニアとは、胸部と腹部を分ける横隔膜と呼ばれる膜に穴が開いてしまい腹部臓器が胸腔内に入り込んでしまう疾患と定義されます。

 

横隔膜は、胸部と腹部を隔てる膜であると同時に、呼吸時に使われる筋肉組織でもあります↓↓

 

従って、この部分に穴が開くと、横隔膜の運動性、脱出した腹部臓器の肺への物理的圧迫から、呼吸困難の症状を呈します。

 

 

 

 

今回、横隔膜ヘルニアの猫ちゃんが呼吸困難の症状で来院しました。

レントゲンで明らかな横隔膜ヘルニアが確認されました↓↓

1歳時に来院された時には、呼吸困難の症状はそれほど悪くはありませんでした。

しかし、歳を取るに従い呼吸の症状が悪化していきました。

最終的に胃も胸腔内に入り込んでしまい(呼吸が悪化しやすくなる)、緊急手術を2歳時に実施することになりました。

 

 

術式は、胸腔内に逸脱した腹部臓器を腹腔内に戻し横隔膜の穴を閉じる(縫合する↓↓)、という術式になります。

一部臓器の癒着がありましたが、無事に剥離することができました。

そして上の図のように非吸収性の糸で縫合しました。

 

 

 

術後のレントゲン写真です↓

術後は胸腔内にチューブを入れて管理をします。

 

現在(2023)手術から3年経過していますが、呼吸は全く問題なく元気で過ごせています。

 

横隔膜ヘルニアの発生率は犬より猫の方が高く、決して珍しい病気ではありません。

 

レントゲンを撮影すると、すぐに診断できる疾患です。

 

呼吸が苦しそうな動物は、一度レントゲンを撮影することをおすすめします。

 

松本 淳