こんにちは。茨木元町どうぶつ病院、獣医師の青木です。
外耳炎は普段の診察の中でも遭遇する機会のとても多い病気の一つです。
その症状は少し赤い、かゆみがあるといった軽度のものから、耳道が著しく腫れて痛い、泥のような耳垢で耳道が占拠されてしまい鼓膜が確認できないといった重度のものまで多岐に渡ります。
そして、重度の外耳炎は鼓膜を破損させ、中耳炎を引き起こすことがあります(鼓膜はあるのに中耳炎になっている場合もありますが)。
そのため軽症のうちからしっかりと治療することが大切です。
外耳炎には寄生虫感染や外耳道内への異物の混入が原因となる場合や、食物アレルギー・環境アレルギーが関与していることも多々あります。
特に治療すると良くなるのに、やめるとすぐに再発する外耳炎はアレルギーが隠れていることが多いです。
次に挙げる症例は1年ほど前から外耳炎を繰り返しており、ビデオオトスコープを希望されて来院されました。
外耳道内は膿で満たされていて観察できなかったため、繰り返し洗浄を行ったところ鼓膜の消失が確認されました。
赤い丸が本来鼓膜があったであろう箇所です。外耳炎が波及し、鼓膜を破損、さらに中耳炎を発症したと考えられます。
中耳腔内には炎症性ポリープ(矢頭の先端)も形成されていました。
さらにこの状態で洗浄を繰り返したところ、中耳腔の奥から膿の塊が浮き出してきました。
中央のうす黄色のもの全体が膿です。こういった膿を通常の(起きたままでの)洗浄で取り除くのは不可能に近く、また表面は細菌によるバイオフィルム(ぬめりによるバリア)を形成しているため、抗生剤を滴下するだけの治療では効果もあまり期待できません。従来は全耳道切除、鼓室胞切開といった外科的アプローチが必要でした。
ビデオオトスコープを用いて徹底的に洗浄する傍らで、外耳炎を繰り返す素因を調べるためアレルギー検査を行ったところ、複数の食物に対するアレルギーが確認されました。また、外耳炎治療を繰り返す度に耐性菌が出現するリスクが高まるため、抗生剤感受性試験も実施。やはり耐性菌の検出が認められました。
その後は
・通院および自宅での耳道洗浄
・感受性試験に基づいた抗生剤の使用
・食物アレルギーの管理
これらを行うことで改善状態が維持され、時間はかかりつつも鼓膜の再生も確認されました。
今回の症例は、発症から長引いていたものの外耳道の石灰化(骨のように固くなること)が見られなかったことが幸いでした。
石灰化が重度の場合、そもそもビデオオトスコープの挿入が困難となり観察できないためです。
そういった万能ではない側面はあるものの、従来は外科以外に選択肢がなかった外耳炎・中耳炎の治療においてもビデオオトスコープ療法は効果が期待できるものであると感じられた症例でした。
茨木元町どうぶつ病院 青木



