今回は歯周組織再生剤(リグロス)を用いた歯周組織再生療法について説明したいと思います。
歯周病に罹患しているが、できるだけ歯を残したと飼い主様がご希望される場合があります。
当院では、①プラークコントロール(ハミガキ)をしっかり丁寧に毎日必ず実施することができ、②最低一年に一回は全身麻酔下での歯科処置(スケーリング・ルートプレーニングなど)を実施できる(飼い主様のお気持ちと患者様の健康面から)と約束していただいた患者様にのみ、リグロスを用いた歯周組織再生療法を実施しております。
FGF-2製剤(リグロス® 科研製薬、東京、日本)とは
塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)で、遺伝子組み換えにより人工的に合成された増殖因子で、未分化間葉系細胞、歯根膜由来細胞に対して増殖作用を示すとともに血管新生を促進する作用を有するお薬です。2016年12月から人歯学において保険適用となりました。
(※本症例は2019年の症例で、現在(2024年)はリグロスとβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を併用した治療を行っております)
↑↑このような流れで使用します(人歯学のリグロスの教科書から)。
↑↑上顎・下顎の臼歯の2度・3度の根分岐部病変に対してリグロスを使用しました。
フラップ手術で歯肉を剥離し、不良肉芽の掻把、キュレッタージ、ルートプレーニングを行い、リグロスを投与した後、縫合しています。
↓↓左から、歯周組織再生療法を行った当日⇒1年後⇒2年後のレントゲン像です。
108 右第4上顎前臼歯
208 左第4上顎前臼歯
201 左上顎第1切歯
409,408,407 右下顎第一後臼歯、第4前臼歯、第3前臼歯
全ての部位に明らか改善(新生歯槽骨の増加)が認められました。
改善が認められた要因として、飼い主様がハミガキを毎日しっかり行っていた事が大きく関係していると思います。
従って最初に書かせていただいた①と②の条件に了承される場合のみ、歯周再生療法を実施しております。
ご希望の方は当院までご相談ください。
茨木元町どうぶつ病院 松本淳
(※本症例は2019年の症例で、現在(2024年)はリグロスとβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を併用した治療を行っております。以下↓↓がその症例です)
一年後↓↓ 切歯の動揺は消失し、上顎前臼歯部の根分岐部病変の改善が認められました。