こんにちは。
茨木元町どうぶつ病院、獣医師・阿部です。
今回は「猫の療法食」についてです。
尿路結石などの病気になってしまい、療法食を使用したことがある方もいると思います。
今回は中でも猫ちゃんで特に使用頻度の高い下部尿路疾患用療法食と腎臓病用療法食についてお話ししたいと思います。
■療法食を始めるタイミングは?
病院での検査で明らかな異常が認められ、獣医師が必要と判断した場合になります。
例えば
・ 血液検査で腎臓の数値に異常が見つかった時
・、尿検査で結晶が見つかった時
・ 腹部のエコー検査で腎臓や尿管、膀胱に結石が見つかった時
などです。
■療法食にはどんなものがある?
・ 腎臓病用療法食 (ロイヤルカナン腎臓サポート、ヒルズk/dなど)
…腎臓病に罹患している猫ちゃんは高たんぱく食を避ける必要があります。そのため、腎臓病療法食では食事中のたんぱく質が少く設定されています。またリンの含有量も制限されています。低たんぱくである代わりに脂質が多く含まれているので、一般食よりもカロリーが高いのが特徴です。
・下部尿路疾患用療法食 (ロイヤルカナンユリナリーS/O、ヒルズc/dなど)
…尿路結石や尿中の結晶を溶解および出来にくくするための食事です。尿のpHは食事の影響を受けやすいため、pHを正常に保つために最適なバランスに設定されています。ミネラルが適度に制限されていたり、飲水を促すタイプの食事もあります。こちらも一般食と比べるとカロリーが高いため、ダイエット用のものもあります。
いずれも市販されているものも多いですが、動物病院でしか取り扱いのない商品もあります。
また、最近では非常に高額で転売されているものもありますのでご注意ください。
■いつまで食べ続ける?
残念ながら腎臓病は治る病気ではないので、他の病気を併発しなければ、一生続けることになります。
下部尿路疾患用療法食は、結石や結晶が出来やすい猫ちゃんでは食べ続けても良いです。
ただし高齢期では切り替えた方が良い場合があるので、定期的な健康診断によって切り替え時期を見極める必要があります。
また、嗜好性(あまり好まない場合)や費用の問題で継続を悩まれることもあるかと思います。
それぞれの猫ちゃんの状態や状況によって適切な選択ができるよう、いつでもご相談していただければと思います。
獣医師・阿部