こんにちは

 

茨木元町どうぶつ病院 獣医師 松本です。

 

先日口腔内の悪性黒色腫の手術をする機会がありました。

 

悪性黒色腫(メラノーマ)は小型犬での発生が多く、悪性度が高いとされている腫瘍です。

 

近年では、より悪性度の低いメラノーマも報告され、様々なタイプがあることがわかっています。

 

治療としては、発生した局所での腫瘍の制御が重要であるとされます。

従って、手術や放射線治療などの局所治療が最も大切な治療となります。

 

左上顎第2前臼歯の頬側歯肉に黒色の腫瘤(有茎状)が認められます。

 

悪性黒色腫を疑い、悪性度を調べるため、まず全身麻酔下にて、組織生検と歯科レントゲン検査と口腔内の清浄化(スケーリング、ポリッシングなど)を実施しました。

 

組織生検の結果、「悪性黒色腫・有糸分裂指数3/10視」 と悪性度は高くはないメラノーマであると診断されました。

 

しかし悪性腫瘍であることには変わりはないため、左上顎切除を実施することとなりました。

 

手術直後の手術部↓↓

 

顎骨ごと摘出した腫瘍。マージンはクリアでした(完全に摘出できている)。

 

術後4か月目の手術部↓↓

 

 

手術後4か月目の外貌↓↓大きな外貌の変化はありません。

 

現在、手術後2年(2022)経過していますが、術後の抗がん剤等の治療は行わず、転移・再発なく元気ですごしています。

 

しかし、悪性黒色腫は、悪性度が低くても時間が経過してから、転移・再発する場合もあるため、継続的な診察が必要です。

 

 

別の症例です。上顎第一全臼歯部に発生した悪性黒色腫です。

1症例目とは違い、病理組織学検査で、悪性度が非常にメラノーマであると診断されています。

 

摘出後の写真です。犬歯を含め、1症例目より広範囲に上顎切除をおこなっております。

 

現在術後3カ月経過していますが、局所再発は認められておりません。

しかし悪性度が高いメラノーマであると診断されていることから、転移が起こる可能性が1症例目よりは高いと考えられます。

そのため本症例では術後の継続的な治療が必要であると考えれました。

 

 

茨木元町どうぶつ病院 松本淳