こんにちは。茨木元町どうぶつ病院 松本 淳 です。
椎間板ヘルニアはミニチュア・ダックスなどの軟骨異栄養犬種(ペキニーズ、シーズーなど)に発生が多く認められる疾患です。
急性に発症し、後肢(頸部なら前肢)麻痺から起立困難になる怖い病気です。
先日(2018年の話です)、他院からミニチュア・ダックスの椎間板へニルアの手術を依頼され、執刀する機会がありました。
私自身、椎間板ヘルニアの手術の執刀数は、頸部、胸腰部併せて50例程度あります。
今回は、第1~2腰椎の脊柱管内の60%を占める椎間板の脱出の症例で↓↓
完全な後肢麻痺でしたが、片側椎弓切除で取り除くことができました。
片側椎弓切除の術式です↓↓
皮膚切開を行い、背骨(椎骨)がしっかり見えるようになるまで、筋肉を分けていきます。
椎骨が露出し、椎弓と呼ばれる部分にある関節突起を切除します。
関節突起を切除すると脊髄が露出します。脊髄の下にヘルニア(脱出)を起こした椎間板物質が見られます。
そのため、脊髄が上側に湾曲しています。
椎間板物質を取り除くと、脊髄は正常な位置に戻りました。
後は、筋肉・皮膚を縫合し手術は終了です。
そのダックスさんは順調に回復しているとの報告を受けています。
【※追記(2023年)当院でも椎間板ヘルニアの手術を実施しております。MRIのある施設(他院)で画像検査を行い、手術は当院で行うという方針で、椎間板ヘルニアに対処しております】
椎間板ヘルニアでも、内科的な治療で症状が良くなる場合も多く、手術するかどうかの見極めが、非常に重要となります。また椎間板ヘルニアでも脊髄軟化症という予後が非常に悪いタイプであったり、椎間板ヘルニアを起こしやすい犬種が腰痛、頸部痛で来院したとしても違う病気であること(椎間板椎体炎、腫瘍、脊椎すべり症、脊髄炎など)の場合もあります。したがって、術前のMRI検査は、現在の獣医療では必須であると考えております。
腰部・頸部椎間板ヘルニアの内科・外科治療について、多くの経験がありますので、お気軽にご相談ください。
茨木元町どうぶつ病院 松本 淳