ある日のシミ診療

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医療関係者の間には、「後医は名医」という言葉があります。

 

 

 

 

同じ患者さんを診る場合、時間が経って症状が揃ってからの方が正しい診断がつけやすいので、最初に診た医者よりも後から診た医者の方が名医と受け取られやすいことを意味しています。

 

例えば、いろいろな感染症の初期症状は上気道炎症状(すなわちカゼ症状)のことが多く、カゼと診断された患者さんの中には、肝炎や腎炎、心筋炎などの他の病気が紛れ込んでいる可能性があります。

 

しかし、これらの病気の初期はカゼと同じ症状しか認められないことも多く、最初に診た医者が間違えて「カゼ」と診断したとしても致し方ないこともあります。

 

ところが時間が経つにつれてカゼ以外の症状が次第に明らかになってくるので、後から診察した医者は本当の診断を下しやすくなり、名医とされるのです。

 

 

 

 

TV番組で、なかなか診断がつかなかった患者さんの病名を名医がピタリと当てるというのがありますが、正しい診断を下すには、いろいろな情報が出尽くした最後に診る医者が一番有利なのは言うまでもありません。

 

 

 

 

「後医は名医」というのは、後から診た医者が前に診た医者の診断の誤りを絶対に批判していけませんよという、我々医者の間での戒めの言葉でもあります。

 

 

 

 

先日、同じ日にシミの治療をしたけれど全然よくならないという患者様が何人かいらっしゃいました。

 

お一人は両側の頬のシミで、複数の皮膚科を受診してその全てで「肝斑」という診断を受け、薬を処方されたけど良くならなかったということでした。

 

 

 

これは、典型的なADM(後天性真皮メラノサイトーシス)であって、肝斑ではありません。

 

 

 

確かに肝斑やADMの特徴が表れていない時は両者の鑑別が難しいことがよくあるのですが、この場合は典型的なADMであって、肝斑を思わせる部分はありません。

 

この患者様において私は後医ですが決して名医ではなく、教科書通りに診断しただけです。

 

 

 

同じように、典型的なADMに対して肝斑と誤診されている例は珍しくはなく、肝斑と診断されたけど実はADMだったという患者様が来院されるのは日常茶飯事です。

 

 

 

また、肝斑という診断のもとに前医では保険診療によって飲み薬が処方されていますが、これは保険の不正請求に当たります。

 

美容医療に対しては保険の使用は一切認められておらず、保険薬とはいえ、適応が認められていない肝斑に対して保険を使って薬を処方することはできません。

 

 

 

もう一人は、レーザーを完備した皮膚科で「ニキビ後の色素沈着」と診断されて、やはり薬の処方だけがなされていた患者様です。

 

 

これは、典型的な老人性色素斑だと思われます。

 

基本的にニキビ後の色素沈着なら1年以内に自然消退することが多く、少なくとも数年の経過で大きくなってくることはありません。

 

 

 

 

診断に迷うのであれば、面倒くさがらずにシミを拡大鏡で観察すれば違いが判ることがあります。

 

老人性色素斑は表皮細胞の異常を伴っているので、シミを拡大して見ると表皮の肥厚を認めることがあります。

 

 

 

この場合も私は後医ですが決して名医ではなく、普通の診断をしただけです。

 

 

 

 

シミの診断は難しいことも多く、特徴が明らかでない場合は診断に自信が持てない時や、治療によって悪化させてしまうこともあります。

 

しかし、典型例に関しては自信をもって診療できるように経験を積み重ねていくつもりです。

 

 

 

シミについてはこちらも参照して下さい。

シミ治療(シミの種類)

https://www.ibaraki-biyo.com/menu/skin/shimi_type/

 

 

いしい形成クリニック 公式HPはこちらへ

https://www.ibaraki-biyo.com/