タクシーに無賃乗車したとして、詐欺罪に問われた千葉県香取市の無職男性(52)に対し、東京高裁が1審の有罪判決を破棄し、無罪を言い渡していたことが分かった。金谷暁(かなやあきら)裁判長は「1審は精神障害を考慮せずに詐欺の故意を認めた点で誤りがある」と指摘した。検察側は控訴期限の26日までに上告せず、男性の無罪が確定した。

 男性は08年3月、千葉県成田市でタクシーの運転手に「今持ち合わせがない。目的地に着いたら、おじさんが払ってくれる」と虚偽の説明をして乗車、同県香取市まで移動し、料金1万7710円の支払いを免れたとして起訴された。

 千葉地裁判決(09年11月)は「(男性は)支払いの確実なあてがないことを認識しながら虚偽説明をした」と詐欺の故意を認定。そのうえで「男性は統合失調症を患っており、事件への影響は極めて大きい」とした精神鑑定を踏まえて心神耗弱だったと認め、懲役1年6月、執行猶予5年を言い渡した。

 これに対し、高裁は今月12日の判決で、男性が実際にタクシーでおじの家に立ち寄ったことや、他の親せきにも肩代わりを依頼して断られた経緯から「支払いを免れようとする行動は認められない」と指摘。障害があることを前提に男性の行動を検討した結果、詐欺の故意は認められないと結論付けた。【伊藤一郎】

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