おととい

ちび子を自転車の後ろに乗せての帰り道。

かーさんが

「今日はお父さんとシャワシャワ(風呂)してねー」

って言ったら

ちび子が衝撃的発言

「やだー。
ちび子ちゃん、お母さんとシャワシャワしたいー」

えー?なんでよー?
お母さんもたまには一人で入りたいよー

『だってー。お父さん、気持ち悪いんだもーん!』





お父さん…

気持ち悪いんだもーん…

気持ち悪いんだもーん…

気持ち悪いんだもーん…








あらまー。

4歳の娘にとーさん

気持ち悪い言われちゃったわ。

恐るべし

大きなお姉ちゃんの影響をモロに受ける末っ子。

おねーさんずは

超パパ大好きっ子だったのになー。

超パパ大好きっ子だったけど

今はすっごい煙たがって、ウザがって、反抗して

無視して、陰ではアイツ呼ばわりして、喧嘩して

気持ち悪がって、一緒に歩きたがらなくて

お父さんの後にお風呂入りたくないって言って。

でも

時々仲良く話したり

遊園地のプールにとーさんと行ったり
(かーさんとちび子はお留守番)

とーさんが来ていたTシャツを

「可愛い!ちょっと脱いでー!」って脱がせて

その場で着てみたり。

好きなんだか、毛嫌いしてんだか

かーさんにはわからない。

うらやましいような

全然うらやましくないような。

うちの場合はこんなもの…なんだろう

って思ってるだけ。

だってホントにわかんないんだもん。

ちび子と同じ4歳のあたしも

おねーさんずと同じ13歳のあたしも

パパっていうのは

離れて住んでて

たまあに会う人だったんだもの。

しかも4~5歳のあたしには

パパに会った記憶が全くないし

どんなにがんばっても

どうしても

ほんの欠片も思い出せないんだもの。

だから

好きも嫌いも、ウザいもキモいも

仲がいいのも喧嘩するのも

怒られたり叱られたりも

誉められるのも…

なーんもわかんない。

この歳になって

一度パパの話を聞いてみたいと思って

お願いしてパパと二人きりで会って

今まで聞いたこともなかったパパの事実

言っておきたかったパパの知らないこと

いっぱい聞いて

いっぱい話して

あー、パパって

ママから、おねえから聞いていたパパより

もっともっと

ずっとずっと

いいパパじゃなくても

悪い人じゃなかったんだー

って思ったし

あたしと話してる時のパパは

一生懸命思い出そうとしていたし

パパの記憶の中にも

あたし

ちゃんといたんだー

って思って

とっても嬉しかった。

本当はもっと

『言ってやりたいこと』もあったけど

ここまでしてくれただけで

まあ、いっかー

もう、いっかー

って思って

言うのをやめた。

今ではとってもいい関係で

適度に距離もあって

子どもたちに甘いおじいちゃんとして

あたしもちょいちょい恩恵に預かりながら

結構甘えさせてもらって

パパとも、パパの奥さんとも仲良しで

気楽なお付き合いができるようになった。

その代わりにあたし

大きな何かを失った。

…って表現が正しいのかはわからないけど

戸籍上以外の

…いや、実の子ではあるんだけど

"パパの娘である実感"や

良くも悪くも

"思い描いていたパパ"を

捨ててしまった。手放してしまった。

うーんと

これもなんだかしっくりこないなー。

なんだろう

やっぱり失った…かなあ?

そもそも、そんなもの

あたしの"幻想"に過ぎなかったと気がついて

消えちゃった…そうそう!

"消えちゃった"が一番しっくりくるかも。

パパは悪い人じゃなかった。

パパはいい人だった。

それだけに気づいていたら…

そうだったらよかったのかもしれない。

でも同時に

パパにはありがとうでいっぱいだけど

あたしなんか生まれてこなきゃよかった

なんてことも言われてないけど

"あたしが生まれてきてよかった"

って思っていなくて

あたしが生まれてきちゃっただけのことだったんだ

あたしの存在はパパにとってはそんなもの

それなのによくパパでいてくれたなー

それなのによくパパでいてくれてるなー

って

残酷なくらいに感動して

心底、パパってすごいと思った。

元々絆のなかったパパとあたしが

捨て子と捨て親になった途端

良好な関係になるなんて

なんとも皮肉で不思議な話ね。

でもそれで充分。

あたしはパパの孫の親

パパはあたしのおじいちゃんの長男で

新しい奥さんの旦那さん。

これがパパとあたしの

父と娘の"こんなもの"

あたしは両親を捨ててしまったのに

今がちょうどいい

って思う。

いろんな形があるもので。

子どもたちには

あたしと同じようにはしたくないけど

自分自身のためになら

どうぞどうぞ

とーさんも、かーさんも

捨てちゃっていいよー

って思ってる。

それで

さみしくなっても

かなしくなっても

かーさんは怒んないから。