W杯。言わずと知れた世界規模のフェスティバル。

普段からフットボールをこよなく愛す人もまたそうでない人も

国の威信を掛けて戦う選手の姿に皆熱くなる。

日韓共催のW杯から4年。

今回は一体どんなドラマが僕らを待ち受けているのだろうか。

今日はそんな日本代表選出に関する裏話。




私はジーコ。

悩みがある。

確かに私はサッカー選手としては天才的だった。

母国ブラジルでは生きた伝説となっている。

監督としても今までそこそこの成績を修めている。

しかし、何故か私は日本人に親しまれていない。

街中で若者に見つけられても遠くでヒソヒソと話しているだけで

誰も近づいて来ようとしない。

ましてやここ最近サインなんて求められた事もない。

何故だ・・・。

私は嫌われているのか?

トルシエの方が格好よかったのか?

いや。やっぱり日本人は岡ちゃんか?

それとも私は恐いと思われているのだろうか。

よし!それならば・・・。

代表発表当日俺は一つのサプライズを企てた。

確信があった。これが実行すれば私のイメージは一新すると。



午後2時。日本代表発表会見には多くの報道関係者が集まった。

流石の私もこれだけ多くの報道陣に囲まれると緊張する。

しかし、私はやらねばならない。

代表監督を引退した後も日本の芸能界で活躍する為に。

大きな決意を胸に私は

GK、DF、MFとゆっくり代表選手を読み上げた。

ここまでは大方の予想通りだったのであろう。

大したリアクションは起こらなかった。

しかし、驚くのはここからだ。

最後に私はFWの代表選手の名を読み上げた。

「高原、柳沢、玉田・・・大黒摩季。」

どーだ。日本のマスコミよ。私だって日本流のギャクの一つくらい言えるんだ。

爆笑だろ?えっ?面白いんだろ?さぁ笑えよ。

これで明日からお茶の間のスターだ。

明日のスポーツ紙の一面は

「ジーコ、采配、ギャグ共に冴える。」

とかだったりしてww

私は自信に満ちた目で会場を見渡した。

しかし、一粒の笑いも起きなかった。その代わりに会場がどよめきに包まれた。

Why?面白くなかった?そんなにどよめく程のダメ出しかよ~~~。

きっついなー。日本ハードル高すぎやん。

ブラジルだったらみんな大爆笑でサンバ踊るでしかし。

代表監督辞めてブラジルに帰りたいわー。恥ずかしぃ~~~。

死にたいわ~~~。

でも言ってしまったものはしょうがない。

軽く咳払いをし私は代表の発表を続けようとした。

しかし、マスコミ各社は私の最後の一人の発表を待つことな慌しく動き出した。

えっ?そんな~~~。えっもう帰るん?

ちょっと寒い事言うたからって帰らんでもええやん。

日本代表の発表だよ。まだ最後の一人言ってないよ?

うわ~~~。

明日のスポーツ新聞の一面の見出しが思いやられるわ~~~。

「ジーコジャパン黒星発進。会見でスベる。」

こんなんやろ~~~。ホンマもう辞めてブラジルに帰りたいわ~~~。

茫然自失の俺に会見場では罵声が飛び交う。

やってもっこりブロッコリーやわ~~~。

イメージアップのつもりが思いっきりイメージダウンやん。

後悔の念に駆られていると、

各社の報道陣が一斉に私に向いなにやら捲し立て始めた。

えっなんて言ってるの?もしかして辞めろとか言ってるの?

代表発表会見が辞任会見かよ~~~。勘弁してよ~~~。

私は通訳に助けを求めた。

ジ「ねー。何アイツらやめろとか言ってんの?」

通「いいえ。何故久保ではなく巻を選んだのか?と聞いてますが。」

はぁーーー?

巻なんて選んでないよ?ってゆーかー。

久保って最後に言おうとしたんですけど。

・・・。

はっ!!!!

もしかして・・・。

大黒摩季→大黒、巻

ってことか!!!!!

私としたことがなんて解り難いボケをかましてしまったんだーーーー。

しかし、これなら私がスベった事にならない。

久保ごめーーーん。心の中でそう呟き

「以上。」

それだけを言うと私は会見場を後にした。




これが日本代表選出の真実。