呼び止めてきた人物が
あさみさんだと思っていた私たちでしたが
そこにいたのはあさみさんではなく
向井さんの元奥さんの姿でした…
私も向井さんも焦って言葉が出ませんでした
「え?どゆことー?」
「偶然?」
頭の中が一瞬でパニック
向井さんの元奥さんが最後に関わったのは
リオに私の妊娠がバレて
リオが向井さんの元奥さんに情報を流した為、
向井さんが対応した時、
↑この時が最後でした。
自殺をほのめかし、
話し合いの途中で何処かに行ってしまった
あの時以来
どーゆーこと?
ここにおるのは偶然?
向井さんは
元奥さんに向かって言いました。
元嫁
なんであの後放ったらかしにするの?
私が本当に死んでたらどーするのよ!
そんなんどーでもいい、
ここにおるのは偶然かって聞いてんねん
元奥さんが
近づいて来ようとする素振りが見えました
それを見た向井さんは、
再度、私を車に乗せました
すぐロックかけて、
何があっても出てきたらアカンで?
ヤバくない?
なんでおるん?
もし、ヤバそうな雰囲気やったら
一人で運転して逃げて
向井さんはそう言い残し車のドアを閉めました。
鬼気迫る向井さんの表情に
私は
止めることは疎か、返事さえもできずにいました。
向井さんは自ら
元奥さんの方へと歩み寄っていきました
私は車の中に乗ってしまったので
二人の会話も聞こえず
車内からただただ
二人の姿を眺めるしかありませんでした
向井さんの元奥さんは
向井さんの腕を掴んで揺さぶりながら
何かを必死に訴えている様子。
向井さんは向井さんで
掴まれた腕を振りほどきながら
ずっと険しい表情で
元奥さんに何かを言っているようでした。
私はもう
どうしたら良いのかわかりませんでした
すると向井さんは
ケータイで誰かと話しはじめました。
時間を見ると
あさみさんの旦那さんとの約束の時間を
少し過ぎてしまっていました
電話はあさみさんの旦那さんからなのだろうと
予想がつきました。
ですが、どう考えてもこの状況…
「受け渡しどころではない」
もうこの時には
あさみさんの旦那さんにデータを渡す事は
中止にするしかありませんでした
車からも出られず
向井さんに電話をかけてみようと思った時、
向井さんが私に向かって
ジェスチャーをしてきました
口元の動きを見ると
それは
“行って”
向井さんを置いて一人で逃げろという
GOサインでした