例えば…
残念ながら亡くなってしまった 八代亜紀 さんの代表曲である「舟唄」
作詞は、かの 阿久悠 さんですが数々の傑作のうちの1曲と言えましょう
♪ お酒はぬるめの燗がいい
♪ 肴はあぶったイカでいい
この4小節だけで掴まれるではないですか
ストレートな感情表現や具体的な情景の説明は無くとも、寡黙な高倉健さんのような漁師がしっぽりと飲る情景が浮かんでくるのです
それを 八代亜紀 が情感たっぷりに歌うのですからなおさらです
やっぱり日本人には演歌だねぇ、などと言うつもりは毛頭ありません
あえて曲名は書きませんが大ヒットした演歌でも「なんだこりゃ、小学生の作文か?」という曲はあります(←「●国」)
演歌でもPOPSでも歌詞があっての曲なんです
だから琴線に触れるわけです
しかしながら、心を打つから、沁みるからこそ「良い」というわけでもないんです
例えば サザンオールスターズ の 「勝手にシンドバッド」を初めて聞いたとき、「沁みた」「さめざめと泣けた」という人はいないと思います
この曲は今までになかった斬新な日本語での「言葉遊び」をしました
これはこれで日本語を大切にしているとも言えます
そこにあのグルーヴ感のある曲が載って我々はある種の衝撃を受け、歌い継がれる曲になりました
もう1曲、言葉遊び で例を挙げると…
中山美穂 の 「色・ホワイトブレンド」
これは 竹内まりや の作曲です
アルバム「リクエスト」でセルフカバーが聴けますよ(持ってるんです 笑)
この曲では実に巧妙な日本語を聞かせてくれます
White Night → 眠れぬ夜
White Lie → あなたの嘘
White Page → 白い日記
取って付けたように英語で語呂合わせする歌は珍しくありませんが、
英語のイメージを膨らませるために日本語を使い、春の訪れを表現しているんです
なんと日本語の素晴らしいことよ
その日本語を大切にした曲が最近は少なくなっている気がします
そして日本語を大切に歌う歌手も少なくなりました(と、勝手に感じています。まあ歳を取ったんでしょう 笑)