ドラマ「寵妃凰図」 第1集 | 江湖笑 II

江湖笑 II

中国ドラマ・小説の各話あらすじです。完全ネタバレしております。
夏バテのため(笑)、しばらくのあいだ更新は
月・水・金・土曜:短劇「玉奴嬌」(各1集)です。

ドラマ「寵妃凰図」

 

第1集

 

 

 

 

 

 

 

<1>

 

 

 大武歴三十七年、高宗が崩御し、嫡子の斎王、蒼雲澤が皇帝の座を継いだ。しかし残虐非道な彼は旧臣を粛清し、民に動揺が走る。

 そんな中、蒼雲澤の弟にして庶子の蒼寒聿が禁軍によって捕えられた。藍月国と結託して謀反を企んだ容疑だ。

 無論、でっち上げである。密書が屋敷から発見されたと言うが、明らかに蒼寒聿を陥れるためだ。

 そして彼の妻の南娰は藍月国の公主である。両国の和平協定のための縁組だったが、今ではお互いに深く愛し合っている。

 その南娰は、蒼寒聿の子を身ごもっていた。蒼寒聿は臨月の彼女を守るため、屋敷に戻って離縁状を叩きつけた。

「夫婦としての情はここまでだ」

「どうして…」

 南娰は戸惑う。

「もう愛していない。ほかの女を妻にするためだ」

「信じられないわ」

「今すぐここを出て行け! 二度と武国の領土に足を踏み入れるな!

 こみ上げる涙を見られないように、蒼寒聿は彼女に背を向けた。

 

 

 たったひとり屋敷に残った蒼寒聿を、兵士が取り囲んだ。

「南娰を離縁した。敵国と通じ、謀反簒奪を企てたのは私だ!

 兵士が囲みを縮める。

 

 

 同じ頃、雪が降りしきる中を、護衛に守られた馬車が走っていた。

 馬車の中では、産気づいた南娰が陣痛に苦しんでいる。斥候に出ていた護衛が、廃屋となった宿を見つけてきた。

「公主、もう少しの辛抱です!

 付き添うばあやと侍女が南娰を励ました。

 

 

 その夜のうちに赤子が産声を上げた。男児だ。

 生まれたばかりの赤子を抱え、ばあやが小走りで外に出る。

「私の子を返して!

 南娰が疲弊した体で追いかける。

 井戸を背後に、ばあやが立ち止った。

「公主、藍月国から書簡が届きました。この子は生きていてはいけないのです!

 武国が国境で藍月国に圧力をかけていた。南娰を差し出さなければ戦いを仕掛けると言う。藍月国には武国を相手にできるだけの軍事力が無い。強国に膝を屈するほか無いのだ。

「公主、あの世でお子様のお世話を致します!

 赤子を抱いたばあやが井戸に身を投げた。

「待って!! 私の子を返して!!

 南娰が泣き崩れる。

 禁軍を従えた蒼雲澤があらわれた。馬上から南娰を見下ろし、一緒に栄華を堪能しようと誘う。

「…すべてあなたの企みなのね」

「私は天下の王だ。望むものは全部手に入れてやる」

 蒼雲澤の目的は南娰だったのだ。

 南娰は短剣を振り上げ、自らを貫いた。口から血を流して倒れる。

 もしも二度目があるなら…

 

 

 愛妻の死を、蒼寒聿は牢の中で聞いた。

 解放された彼は宿へ走り、井戸のそばで亡くなっている南娰を発見する。

 蒼寒聿は遺体にすがって慟哭した。

 

 

「もう一度やり直すことは不可能ではない。しかし、あなたの望みすべてが叶えられるとは限りません」

 ひざまずく蒼寒聿にそう告げたのは大祭司の東華である。南娰を守るため、彼は兄が皇位に就く以前に時間を戻してくれと頼んだのだ。

「時間が戻るなら、構わない」

「よろしい」

 東華はその場で秘法を行った。地面のあちこちから黒い霧が噴き出す。

 娰児、次は権力を握ってきみを守る。

 

 

 

 

 

<2集に続く>