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ホテル・デルーナ호텔 델루나
【Episode8】(3)
マンウォルとチャンソンが、事態を整理しているところに、なにやら、階下で揉めているような声が聞こえてくる。
≪あんたたち、一体、何をしてるの?≫
≪お母さん、彼らは我々を助けにきてくれたんだ≫
≪どうするつもり?≫
≪お母さん、待って≫
年配の女性が部屋に入ってくる。
「私の部屋で何をしているのかしら?ここにあるものは全て、私のものですよ」
うわ~~~、キョンアそのものじゃん(笑)
顔を見合わせるチャンソンとマンウォル。
落ちていた日記帳を拾い上げると、「あなたのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか? 奥様」と丁寧に訊ねるチャンソン。
「イ・ボッキです」
思い当たることがあったのか、息子夫婦に、階下で待っているように告げる女性。
日記帳を差し出すチャンソン。
チャンソン「キョンアという名前のお嬢さんをご存じですか?」
日記を受け取り、「私がキョンアです」と答える女性。
ソファに移動し、事情を説明しはじめる、イ・ボッキ。
ボッキ「私は、22歳の時に、お見合いで、夫と結婚しました。誰ともお付き合いしたこともなかったんです。そんなこともあって、キョンアを作り出したんです。」
くだらない・・という表情を浮かべるマンウォル。
ボッキ「私は、まるで私のお気に入りの映画の主人公のように、キョンアとして、純粋で、刺激的で、情熱的な恋愛を経験することができて、とても幸せでした。」
マンウォル「あなたの強い妄想の念は、まだ、存在しています。古い映画のように」
頷くと、「そのようね」と答えるイ・ボッキ。
チャンソン「驚かれないようですね」
ボッキ「もし、あなたが(私の年齢まで)こんなふうに長く生きたら、そう簡単には驚かなくなるものですよ。そのうえ、かつて私は、キョンアを生み出した妄想患者だったんですから」
ボッキの率直な物言いに、微笑むチャンソン。
チャンソン「キョンアさんは、私をミンと呼んでました」
ボッキ「だって、あなたは、ミンそのまんまですもの。実は、彼女はミンのことを一番好きだったのよ」
呆れ果てるマンウォル。
マンウォル「先生様のことはどうだったんですか? 彼女は、相当、熱をあげてたようだったのに」
そう言って、ソファにふんぞり返るマンウォル。
少し、寂し気に、チャンソンたちに訊ねるボッキ。
ボッキ「私は、キョンアを手放す必要があるかしら?」
チャンソン「息子さんやお嫁さんは、彼女のせいで、ずいぶん、辛い時間を過ごされたようです」
ボッキ「・・・そうね。私は息子のおかげで、キョンアを忘れることができたの」
日記帳やはがきを火にくべるボッキ。
見守っているチャンソンとマンウォル。
チャンソン「彼女は、愛していない見知らぬ人と結婚したんですね。彼女にとって、それはとても辛かったんでしょう。空想にしろ、妄想にしろ、それらが、彼女の現実の状況に適応するための助けになったと思うんです」
マンウォル「彼女は、空想上の念を生み出すことで、現実を変えたのね。いい考えだわ」
チャンソン「彼女に食事を一緒に、と誘われましたけど、どうしますか?」
マンウォル「彼女は、キョンアに別れを告げたんだから、寂しく感じてるでしょう。だから、あんたはここに残って、一緒に食事に付き合ってあげなさい。スッキは悪役だから、退散したほうがいいでしょうね」
チャンソンの「そうしましょうか」
燃やされる日記帳。
チャンソン「きれいな炎ですね」
マンウォル「そうね、きれいね」
悲しいくらい・・・と続けそうなほど、炎を見つめ続けるマンウォル。
チャンソン「あの奥様・・・そんなにたくさんのお料理をご準備いただく必要はありません」
恐縮するチャンソン。
ボッキ「ミン、ちょっとここで待っててね」
手放したわりには、ふつうに、キョンアそのもののボッキ(笑)。
ミラの先輩に声をかけるチャンソン。
チャンソン「あの・・・ミラはもう帰りましたか?」
先輩「ええ、たぶん、病院に戻ったはずです」
チャンソン「ああ・・・」
先輩「そういえば、ホテルに私たちをご招待してくださって、ありがとうございました」
チャンソン「え?」
先輩「招待状をくださったんです、お宅の社長様が・・・」
チャンソン「招待状ですか?」
招待状と聞いて、嫌な予感しかしないチャンソン。
先輩「お伺いするのが楽しみです。待ちきれないわ」
チャンソン「もしかして、うちの社長は、ミラにも招待状を渡していましたか?」
あ~~~、既に、時遅し。
デルーナの正面入り口に立つミラ。
夜空に映える『ホテルデルーナ』を見上げる。
ミラ「ここにこんなホテルがあったなんて、知らなかったわ」
みんな、そういう感想を持つんです。。
ミラ「チャンソンたら、すごいホテルで働いてるのね」
招待状を持って、ホテルの入り口に入るミラ。
ヒョンジュン「いらっしゃいませ。お客様。社長がお待ちかねです」
「ああ、ありがとう」
「こちらです」
ロビー階に到着し、またまた、そのゴージャスなつくりに、感嘆のまなざしをむけるミラ。
近寄ってくるソフィ。
ソフィ「どうぞ、ご案内いたします。お客様のために、特別に準備をするように、と社長から申し付かっております。ご一緒にまいりましょう」
ミラ「このホテル、とても素敵です」
ホテル内の遊園地に案内されるミラ。
待ち受けているマンウォル。
マンウォル「いらっしゃい。ようこそ、ホテル・デルーナへ」
ミラ「ご招待いただいて、ありがとうございました」
マンウォル「こちらこそ、楽しみにしてたわ。待ちきれなかったくらい・・・。」
ミラ「ここは、本当に素敵ですね」
にこやかに笑うミラを見て、複雑なマンウォル。
ミラ「でも、どうして、ここは無人なんですか?」
マンウォル「無人じゃないわ。あなたには、ただ、見えてないだけ。そのせいよ」
マンウォルの視線を感じて、祖母からもらった魔よけのブレスレットを見るミラ。
ミラ「これの?」
マンウォル「そのせいで、彼らを見ることができないの。さっきも、何も聞こえなかったでしょ」
さっき、と言われて、先輩の家でのやりとりを思い出すミラ。
チャンソン≪今の音ですか?≫
先輩≪私たちがおかしいわけじゃないんですよね?≫
不思議そうに、上の階を見ているミラに気づいていたマンウォル。
ミラ「もし、これを外せば、他のものが見えるようになるんですか?」
にっこり笑って、手を差し出すマンウォル。
マンウォル「私に貸してくれない?」
不思議に思いながらも、腕からブレスレットを外すミラ。
ブレスレットを受け取り、マンウォルが握りしめると、火の粉となって、消えてしまう。
その途端、ミラの目には、華やかに動き出した遊園地が目に飛び込んでくる。
ミラの背後に回り込むマンウォル。
「気に入った?」
ミラ「ええ、私、この遊園地、大好きです」
マンウォル「そう? 私もそう思うわ」
ミラの家族写真を取り出すマンウォル。
マンウォル「この写真だと幸せそうね・・・」
ミラ「見つけてくださったんですね。ありがとうございました。私が小さかった頃、家族で遊園地に行ったときに、この写真を撮ったんです」
まるで、睡眠術にかかったように、呆然とした表情のミラの耳元に、囁きかけるマンウォル。
マンウォル「そうなのね。その日からあなたは、ずっとあそこに立っているのよ」
ミラ「あれは・・・私の両親と妹です。幸せだわ・・」
マンウォル「私は、あなたが幸せなのが嫌なの。だから、あなたに悲しみを吹きこむつもり。それが、あなたへの贈り物なの」
マンウォルが冷たく微笑むと同時に、一転、真っ暗になる遊園地。
次の瞬間、パッとスポットライトがついた時、正面に立つ幼いころの自分と向き合うミラ。
幼いミラにむかっていくマンウォル。
マンウォル「こんにちは。あなたには、幸せな家族はいなかった・・・。あなたのオンマは、あなたを側に置き、いつもこう言った。“あなたは生まれてはいけなかった。生んだことを後悔してる”って。あなたのアッパは、あなたを見るといつも怒ってばかり。“おまえのせいで、なにもかもうまく行かない。悪い子め・・”って。厄介な妹が生まれてからは、ご両親は妹だけを愛するようになった。さぁ、ここをごらんなさい。遊園地にやってきたあの日、あなたの家族はあなたを置いて、家に帰ってしまった。あなたの人生の中で、一番悲しかった日よね。」
ミラ≪オンマ~、アッパ~、私を捨てないで。。≫
幼いミラに囁きかけるマンウォル。
マンウォル「もういいわ。行きなさい。あそこに行って、生まれてきてはいけなかった女の子の悲しい記憶で、彼女の思い出を満たしてあげて・・・」
ゆっくりと歩きだすミラ(少女)。
涙をこぼす大人のミラにむけて、両腕を差し出す少女のミラ。
あ、もう・・・霊に変わってるちびミラちゃん。
ほくそ笑むマンウォル。
そこへ、飛び込んでくるチャンソン。
厳しい表情のまま、チャンソンを無視して通り過ぎようとするマンウォルの腕を掴むチャンソン。
こういう、純メロドラマチックなベタな雰囲気も、なんだかゾクゾクするくらい、好きだわ~~。
マンウォル「ありがとう、ク・チャンソン。あなたに感謝するわ、 彼女に会わせてくれて・・・。それに、あなたのおかげで、いい方法を思いついたわ。それで、少しだけ、私の恨みを和らげることができたわ。」
チャンソン「やってはだめです」
マンウォル「もう、やってしまったわ。 これは・・・」
ミラの家族写真を見せるマンウォル。
マンウォル「・・・ボッキが作り出した想像上の念よりも、もっと強いものよ。私がこれを作り上げたんだもの」
辛そうに、マンウォルを見つめるチャンソン。
マンウォル「これは呪いよ」
一方、手を差し出している幼いころの自分に対して、少しずつ、ゆっくりと手を差し伸べようとしてしまうミラ。
ポロポロと涙が止まらない。
チャンソン「やめてください」
マンウォル「耐えられない? 私から逃げなさい。ク・チャンソン! 手放してあげる・・・」
チャンソン「嫌です・・・。僕を守ってください」
チャンソンの言葉の意味が分からず、かすかに不安が浮かぶ。
マンウォルから離れ、ミラの方に、まっすぐ向かっていくチャンソン。
ミラが、幼い自分と手をつなごうとする瞬間、幼いミラを振り向かせ、自分自身の胸に抱きしめるチャンソン。
チャンソンの行動に、息をのむマンウォル。
気絶し、その場に倒れるるミラ。
マンウォル「ク・チャンソン、その子を放しなさい!」
細かな火の粉のチリとなって、消えていく幼いミラ。
最後に、その一部が、チャンソンの胸に取り込まれたように見える。
痛む胸を押さえながら、苦しむチャンソン。
チャンソン≪たとえ、あなたがどんなことをしようと、これを忘れないでください。あなたにとって、ここが刑務所なのか、囲いなのか、僕にはわかりません。 僕は、あなたとここにいます≫
マンウォル≪怖くないの?≫
チャンソン≪あなたがいるじゃないですか≫
とうとう、意識を失い、倒れてしまうチャンソン。
ショックを受けたマンウォルの手から、ミラの家族写真が滑り落ちる。
~車の中~
目を覚ますと同時に、猛烈な頭痛に襲われたミラ。
後部座席のミラを振り返るユナ。
ユナ「気が付きました?」
ミラ「どなた?」
ユナ「うちの社長が、あなたをおうちにお送りするようにと・・・。飲みすぎたようですね」
ミラ「私、飲んだの?」
ユナ「病院は、明倫洞でよかったですよね? アジョシ、出発してください」
動き始めるタクシーの中で、全く覚えのない頭痛に顔を歪めるミラ。
~マンウォルの部屋~
ソファに寝かされているチャンソン。
その傍らに座り、キャンドルに火をつけ、ミラの子供時代の写真を燃やすマンウォル。
マンウォル「もう、何もかも終わりよ。あなたが何もかも台無しにしてしまった・・・。」
目を覚まさないチャンソンを見ながら、瞳に涙を浮かべるマンウォル。
チャンソン≪よくわかりません。私が夢で見た時、あなたは確かに恋をしていました≫
~1000年前~
月夜の入り江に、隣同士で座るチョンミョンとマンウォル。
マンウォル「こんな風に一緒に、景色を見たりできるのも、これが最後だな。我々は出発する。」
チョンミョン「反乱軍に参加するつもりなのか?」
マンウォル「この国が死に直面していることを再発見したいのさ。ここで、盗賊として生きるより、はるかにましだろう。最終的には、捕まって殺されたとしても。」
チョンミョン「城に来い。俺なら、お前を守ってやれる」
マンウォルを見るチョンミョン。
マンウォル「私に、うちの連中を捨てて、お前のところに行けと言ってるのか?・・・出来ない」
立ち上がるマンウォルの手を掴むチョンミョン。
チョンミョン「なら、俺がお前のもとに行くか?」
立ち上がるチョンミョン。
チョンミョン「お前が俺に来てほしいと願うのなら、俺は命をかけても、そうしてやる」
チョンミョンの熱い言葉に目を見張るマンウォル。
マンウォル「よせ。我々が共に歩く道は、どこにもない・・・」
その言葉を聞き、ゆっくりと、マンウォルの腕を話すチョンミョン。
チョンミョン「・・・そうだな。もう、二度とここに来ることはないだろうな。」
マンウォルの酒瓶を手に取るチョンミョン。
チョンミョン「お前は、いい飲み仲間だったから、寂しくなるだろうな。」
そう言って、去っていくチョンミョンの後ろ姿をじっと見つめ続けるマンウォル。
必死に、必死に涙をこらえ、ようやく、自分の酒瓶を手に取ると、たった一筋、涙をこぼす。
旅立つ朝、大木の枝に、チョンミョンが持ち去ったはずの酒瓶が吊るされているのに気づくマンウォル。
ヨヌ「みんな準備は出来てる。いつ、出発する?」
マンウォルを呼びに来たヨヌ。
マンウォル「あいつがここに来たんだ・・・。たぶん、あそこにいる」
ヨヌの言葉よりも、チョンミョンのことで頭がいっぱいのマンウォル。
マンウォル「最後に一度だけ、会いに行ってくる」
引き留めるヨヌ。
ヨヌ「マノォラ!・・・戻ってくるよな?」
マンウォル「もちろんだ。戻ってくるよ」
手を離すと、マンウォルを笑顔で行かせるヨヌ。
ヨヌ「・・・戻ってくる必要なんかないぞ。俺なら大丈夫だから、お前の望むとおりにしろ」
マンウォル「バカ言うな。戻ってくるから・・・」
ああ、もう駄目だ。。。ここ、何度見ても泣いてしまうよ。
マンウォル「一目、あいつに会ってくるだけだ。待っててくれ」
駆け出すマンションの後ろ姿をじっと見送るヨヌ。。。
入り江に馬で向かうマンウォルの表情にあふれるチョンミョンへの思慕の強さ。
到着するなり、チョンミョンの姿を求めて、周囲を探しまわるマンウォル。
気配に振り返ると、無数の剣に囲まれる。
ここ、振り返った時はチョンミョンを期待して笑みを浮かべているのに、だんだん、顔が強張ってくるんだよね。。(涙)
兵士たちの後ろから、ゆっくりと近づいてくるのは、ソンファ公主。
「お前のせいで、お前の一党の全ては死んでいる頃だろう・・・」
顔色を変えるマンウォル。
手から滑り落ち、粉々に割れる酒瓶。
マンウォルの戻りを待って、出発するはずだった盗賊団のもとに、兵士たちが襲い掛かる。
応戦するヨヌら、盗賊団たち。
ヨヌに刃を向けるチョンミョン。
にらみつけるヨヌ。
捕らえられたマンウォルが、縛られ、牢の床の筵の上に転がされている。
様子を見に来たチョンミョン。
チョンミョン「お前のおかげで、大手柄をたてられたよ」
その声に、ゆっくりと目をあけるマンウォル。
チョンミョン「お前はあの場所に俺を連れていき、俺に時間を稼がせてくれた。だから、お前の命は助けてやる。」
マンウォル「殺してやる・・・お前を殺してやる・・・なんとしてでも・・・」
チョンミョン「もし、俺を殺したいなら、生き続けろないとな・・・」
どんなことをしても、どんなにマンウォルに恨まれようと、マンウォルの命を助けたい一念のチョンミョン。
自分の欲心から、ヨヌばかりか、自分の一党を全滅に追い込んだことを責めるマンウォル。
マンウォルの盗賊団の処刑が行われる。
太縄を首に掛けられるヨヌ。
感情を失ったように、最前列に座るマンウォルのほうを見つめ、微笑みかける。
耐えられないマンウォル。
足を支えている台が外される。
「ヨヌや・・・ヨヌや・・・」
半狂乱になって、ヨヌの名前を呼び続けるマンウォルを、容赦なく、押さえつける兵士たち。
「放せ!ヨヌ・・・」
マンウォルの悲鳴と共に、息絶えていくヨヌ。
ヨヌだけでなく、大切な自分の仲間たちも、刑場で同じように、一斉に処刑されていく。
チョンミョンを後ろに従えた、ソンファ公主が、捕らえられたマンウォルたちの様子を見に出てくる。
公主「将軍が大きな貢献を果たすのを助けたそうだな。よって、そなたに慈悲を示そう。」
自分だけが助けられたのだ、とわかり、更に、怒りを内に秘めるマンウォル。
婚礼の夜、一刀両断に、公主にむけて、満月の剣を振り下ろす。
公主の婚礼衣装をかぶり、チョンミョンが入ってくるのをじっと待っているマンウォル。
マンウォルの命を助ける代償として、公主との婚礼を受け入れたチョンミョンが、寝室に向かってくる。
マンウォル「殺してやる、なんとしてでも・・・」
被っていた衣を外し、顔を見せるマンウォル。
対峙しても、一切、動揺を見せないチョンミョン。
どこかで、予想していたのかもね。
剣を掴み、チョンミョンの前に進み出るマンウォル。
~チャンソンの部屋~
そこで目を覚ますチャンソン。
呼吸を整えていると、サンチェスが様子を見に入ってくる。
サンチェス「チャンソン・・大丈夫か?」
頭を押さえるチャンソン。
チャンソン「一体、なにがあったんだ?」
サンチェス「マノォリが、お前を連れてきたんだ・・・。数日間、ずっと眠り続けてたんだぞ」
チャンソン「数日間? どういうことだ?」
サンチェス「3日間ほど、ひたすら眠り続けてた」
混乱するチャンソン。
部屋に置かれた白頭山の絵に気づく。
チャンソン「なんで、これがここにあるんだ?」
サンチェス「マノォリがここに置いていったよ」
チャンソン「そんな・・・」
サンチェス「場所を取るからって、ここに置いて行ったんだ。ところで、マノォリはどこかに行ったのか?」
ホテルデルーナに駆け付けるチャンソン。
門を開けると、看板が外された建物がツタに覆われている。
建物の中に入ってみると、そこは、いつもヒョンジュンが控えていたフロントではなく、もぬけの殻状態。。。
呆然と見回すチャンソン。
ソフィ≪社長様が行くところならばどこでも、月の木は、根を下ろすことでしょう。そして、そこに、月の宿屋を建てるのです。≫
チャンソン「消えてしまった・・・」
力なく、建物から出てきて、再度、振り返るチャンソン。
マンウォル≪私がいなくなっても、寂しく思わないで。≫
チャンソンが倒れたあの晩・・・
マンウォル「ク・チャンソン・・・」
そっと、額にかかったチャンソンの前髪を優しく指でかきあげ、頬に手の平を添えるマンウォル。
この仕草だけでも、どれほどマンウォルがチャンソンを愛しく思っているか、明白です。
マンウォル「ここが私にとって、囲いであろうと、刑務所であろうと、拷問に変わりはない。あんたは、私と一緒に、拷問を受けたりしなくていいのよ。じゃあね、ク・チャンソン」
ホテルデルーナであった建物の前に、ひとり、佇むチャンソン。
★『ホテルデルーナ』8話(3)雑感★
1000年もの間、記憶が薄れず、そのことを思い出す日々や時間もまた、蓄積していくっていうのも拷問だよね。
マンウォルにとっては、チャンソンが夢で見た光景は、遠い過去の話ではなくて、つい昨日の出来事のように生々しいものだから。
しかも、自分のせいで、家族同然のヨヌや仲間を死なせてしまったという残酷で重すぎる罪の意識。
1000年たって、また、自分の復讐心のせいで、愛するチャンソンの命を奪うかもしれなかったマンウォルには、これ以上は耐えられなかったのか、ホテルデルーナ、お引っ越しです。