僕は寺掃除をやってみました。18歳の時でした。
近くに大きな寺があって、坊さんが30人はいました。
通りがかりに、ふと門を見ると、ハトのフンで白く汚れていました。
(掃除でもするか)と、ただ思い、坊さんから道具を借りて掃除をしました。
寺掃除には毎日通って、一ヶ月続けました。でもある日、突然辞めました。ただ(辞めよう)と思ったのです。
その旨を坊さんに告げると、
「きみ、坊主にならないか?」
と言われました。僕は即座に、
「なりません」
と答えました。すると坊さんは、「残念だなあ」
と言って、いつまでも僕の後ろ姿を目で追っていました。