太宰治「人間失格」01 | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

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この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

2、太宰治「晩年」、「人間失格」を読み(両方の作品を読むのが

望ましいが、困難がある場合はどちらか一作品でもやむを

得ない。)、それらから感じられる全体的なイメージについて、

思うことを書きなさい。


さて、もちろん今回も「困難がある」ので「人間失格」だけ。


「全体的なイメージ」だって!

印象でよいのなら何を書いたっていいじゃないか。


主人公の、なんだっけか。

大庭葉蔵、葉ちゃん。


葉ちゃんはみんなに愛されて、健康的で、なんでもそつなく

こなして、とっても幸せに生きたんだと思います。

うらやましいなあ。

なんてね。


しかしどうにもとらえどころのない作品であるかもしれない。


まず、第一に、本書を読んで「明るくて楽しい冒険小説」だと

考える人間はいないだろう。

本当は葉ちゃんがどう考えているのかはわからないものの、

表向きは一応「うんうん唸っている」ように見える。

この「暗くてめそめそじめじめじとじと」っていう第一印象は

大事にしよう。


一方で、最後の京橋の小さいバアのマダムのセリフ。

「神様みたいないいこでしたよ」


これは明らかに第一印象と対立する。

逆立って言っていいくらいだ。


ここをちょっと考えてみよう。