蛍とオリゼー | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

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この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

□イッパツ・もやしもんなぞかけ

http://ameblo.jp/hyorokun/entry-10570749263.html


@亡霊さんのコメントに触発される。


どこでもいいから書こうとしていて、それで

たぶんまだどこにも書いていなかったことがある。


「固有性は単一性によってではなく、むしろその多様性に

よって反って強化される。」


「書かれたもの」の意味の揺れについての話である。


ここでは、もやしもんについて。


「じょそうのゆうきが大事です」とは、いくつかの意味を

読めるだろうけれど、ぼくが念頭に置いたのは、

実写版もやしもんの成否は蛍の女装に懸かってるんじゃ

ないかってことだ。


原作でも「蛍の女装」は、たしかに「大事」かもしれない。

もやしもんを「恋愛モノ」としてまなざしたとき、

女装の蛍の参画はそれによって女性陣のパワーバランスが

変化する「大事」なエピソードに見えてくる。


たとえばそれは蛍の「幼馴染属性」が効いてくるのかもしれない。

浅学にしてその効果の程度はぼくにはよくわからないけれど、

でもけっこう大きいのかもしれない。

また実際のところ、沢木がその気になるのか、とか、作者としても

ぼやかしてるところがあるかもしれない。


@亡霊の言う「謎」も重層的に意味がぶれたかたちで置かれている。

ぼくはこれを何かひとつの「うすっぺらい読み違い」に固着させようとは

思わない。ゲームは起動しない。


「それはこの文の真の意味ではない。」

「きみは読めていない。」

これは「不敗の構造」である。


□ナゲット・クリームパン・から揚げ

http://ameblo.jp/hyorokun/entry-10567094172.html


ここでぼくが書いた、発言者の優位性とはこのことで、

ふだんぼくがやっていることだ。

日々親しんでいるからよくわかってるつもりなんだけど、

これって「私は誰でしょう?」っていう、採点官=死神のポジション

なんだよね。


「えーと、みきちゃん?」

「ざんねん、はずれ。」

「あすかちゃん?まいちゃん?」

「はずれ、はずれ。」

「えりちゃん?よしちゃん?」

「ぜんぶはずれ。」


何が来ても「はずれ」って言っていればよろしい。

「不敗の構造」はたやすく「腐敗の構造」(@ATOK9)に転化する。


というわけで、ぼくたちはこのうんざりするアンパス(三度目)を

いかにして抜け出すかを考えたい。

もう答えは出ている。

蛍のふるまいはたしかに「謎」である。


でもそれはまだ今のところ書かれていないだけの、いずれわかる

ログ(行動の記録)ではない。

ぼくたちの前に、蛍の存在は謎としていつまでも留まり続けるだろう。


もうオネムなので結論を急ぐ。


「名前の不思議」というものを挙げたい。

名前には二種類ある。

すなわち「固有名」(ととりあえず呼ぶ)と「分類的名称」である。


オリゼーは「分類的名称」で、蛍は「固有名」である。


「分類的名称」は科学の道具であり、「わかる原理」に

位置づけられる。

「固有名」はどこまでも目的であり、「わからない原理」がその

特徴である。


「分類的名称」はその下に記述の束が重なっていく。

「分類的名称」は部分の指示であり、モデルだ。

だから予め整然と理解できるものとして構成されている。


一方、「固有名」は、不指示である。

蛍とは、「蛍」という音で捉えきれない、「それは蛍(という音)ではない」と

いうことを指摘するに留まる。


蛍は、蛍ってこんなこともするのか!という期待の裏切り、意味の揺れ

によって、むしろその固有性を強めていく。


「はいはい、もうみんなわかったよ」と「へえ、まだまだわかんないな」、

どちらが「もっと知りたい」という後段に繋がるだろうか。


存在は、その基本的性質として既に「謎」なのである。