国立新美術館ができたのは、雑誌「美術屋・百兵衛」の創刊と同じ2007年
ほんの昨日のことのようですが、早いもので先週土曜日に開館10周年を迎えました。
それを記念し1月20日~30日の期間を「開館10周年記念ウィーク」として、
館内では様々なスペシャルイベントが実施されています。

その中でSNSなどで大きな注目を集めているのが「数字の森」。

日本で活動しているフランス人建築家エマニュエル・ムホーさんが手掛けた、
特別展示「NACT Colors」会場の、6万個の数字によるインスタレーションです。

紙で作った数字を10個つるし、2017~2026年までの10年の西暦を100列で表現。
黄・ピンク・茶・緑・青・紫のグラデーションで1列ごとに100色が使われています。

ムホーさんは延べ約300人のボランティアと一緒に7日かけて設営したそうです。

普段は館内撮影禁止の国立新美術館ですが、この展示に関しては撮影OK。
そのため、ツイッターやインスタグラムなどに投稿する人も多く、
ツイッターでは、2万リツィートを超えるなど、大きな話題になっています。

この「数字の森」を観ることができるのは、あと5日間だけなので、
まだご覧になってない方は、ぜひ六本木に急いでください。
私は残念ながら観る事が叶いそうにはありません。
同じ国立美術館である、大阪の国立国際美術館に巡回してくれればいいのに・・・

さて、作者のムホーさんについてもう少し詳しく紹介しましょう。

彼女は1971年フランス生まれ。
1995年に初来日し、東京の街に溢れる無数の色を見て衝撃を受け、東京在住を決意。
同年フランス国家建築家免許を取得し、翌1996年東京に移住し、
2003年一級建築士免許を取得して一級建築士設計事務所を設立しました。
emmanuelle moureaux architecture + design

彼女は東京の“色”と街並が成す複雑な“レイヤー”と
日本特有の空間構成である“仕切り”から着想を得て、
色切/shikiri」と呼ぶ独自のデザインを編み出しました。
その「色で空間を仕切る」というコンセプトから、
色を平面的ではなく三次元空間を形作る道具として扱っているのです。
下の写真は、ムホーさんが手掛けた巣鴨信用金庫の建物ですが、
金融機関の固いイメージとは対極にある、軽やかなイメージに仕上がっています。


老人福祉施設も彼女の作品となると、同じことが言えますね。


さて、1月27日発行の雑誌「美術屋・百兵衛」最新号では台湾を特集していますが、
ムホーさんは、日本だけでなく、台湾のプロジェクトにも参加されています。
それが、2018年に完成予定の台北市地下鉄(MRT)環状線のパブリックアート
総距離34.8kmとなる環状線のうち、
地上を走る14.5km部分を壮大なアート作品にしようというものです。

龍をイメージした5色のイエローをベースに街中にアートを展開するのが、
このプロジェクトの特徴であり、
その中に虹色が現れる特別な場所を1つだけ演出するのが、
ムホーさんが仕掛けたサプライズとのこと。
1年から2年先の完成が、今から待ち遠しいです。