機龍警察(ハヤカワ文庫JA)/月村 了衛
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月村了衛さんの機龍警察シリーズは、これまで3作が刊行されていますが、2作目の『自爆条項』は、日本SF大賞を受賞。 3作目の『暗黒市場』は、2012年のこのミス3位で吉川英治文学新人賞を受賞しています。
     
2012年のこのミスは、『64(ロクヨン)』と『ソロモンの偽証』という超弩級の作品が1位、2位を占め、それに続く3位の作品ということで非常に興味を持っていたシリーズ。
    
そこでまずは、シリーズ第1作の『機龍警察』を読んでみることにしました。
 
大量破壊兵器の衰退に伴い台頭した近接戦闘兵器体系・機甲兵装。 『龍機兵(ドラグーン)』と呼ばれる新型機を導入した警視庁特捜部は、その搭乗要員として姿俊之ら3人の傭兵と契約した。
     
閉鎖的な警察組織内に大きな軋轢をもたらした彼らは、密造機甲兵装による立て籠もり事件の現場で、SATと激しく対立する。 だが、事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた・・・・・・・
     
”至近未来”警察小説を描く実力派脚本家の小説デビュー作!(文庫裏あらすじ)
 
大規模な戦争よりも小規模なテロの方が主流になり、大量破壊兵器よりも近接戦闘兵器が重要になるという近未来は、半分くらい現実になりつつあるのですが、その近接戦闘兵器にパワード・スーツを持ってきたのがこの小説です。
     
パワード・スーツと言うのは、ガンダムや映画「マトリックス」でも登場したロボット型の強化服?のようなもので、この小説では機甲兵装と呼ばれ、冒頭からいきなりテロリストの機甲兵装が大暴れします。
      
しかし、この作品は単なる近未来のSFアクション小説ではなく、「警察小説」としても十分な内容を持っていて、警察内部のセクショナリズムや警察官としての矜持などが描かれ、元傭兵たちの過去も読み応えのあるものとなっています。
       
ここで描かれる事件はまだプロローグといったところなのでしょう。 2作目以降が非常に楽しみです。
      
ガンダム、パトレイバー、などのロボットアニメ好きの本読みさんや、ちょっと毛色の変わった警察小説が読んでみたいという人などにお勧めです。