VMI (Virginia Military Institute) をご存知ですか?
Photo: Roanoke Times
VMIはアメリカ東海岸南部 (厳密には南部と北部の境界) のバージニア州レキシントンにある州立大学です。首都ワシントンDCから約150マイル(241km)南西にあります。
アメリカの公民権運動やフェミニズム運動と、このVMIは切っても切れない関係にあります。VMIは1839年の開校から割と最近(1997年)までずっと男子校でした。そして男女共学になって24年たった今年、VMIで史上初めて女性の士官候補生団長が誕生したということで(僕の周りでは)ちょっとした話題になりました。
現在のアメリカの公立大学は全て男女共学です。日本もたぶんそうだと思うのですが、ひょっとして違うのかな? (違っていたらだれか教えてください) 税金を使って運営しているわけですから、男だけ、あるいは女だけ入学可能と言うのは不公平ということですね。
そしてアメリカの公立大学で 最後の最後までゴネたのがこのVMI です。まあ1997年までゴネていたわけですから、日本やヨーロッパ、下手したら中国とかよりも遅れていたのかもしれません。
ちなみにご存知の人も多いと思いますが、アメリカに日本で言う国立大学というものは存在しません。公立大学は全て州立大学か市立大学、あるいは郡が運営するコミカレやトレードスクールだけです。
VMIはバージニア州の運営する州立大学なのですが、その名の通り、陸海空軍と海兵隊の士官 (オフィサー) を養成するための学校です。在校生は陸海空軍のうちどれかのROTCへの参加が義務づけられます。ただし参加義務のみで、任官・従軍義務はありません。(はぁ? 思われるかもしれませんが、ROTC参加、ROTC奨学金、そして卒業後の任官と従軍の契約はそれぞれ別のものなのですよ)。将来軍人になる意思が全く無い人でもVMIに通い、学士号を取得して卒業し、何のペナルティもなく普通の職業につくことも可能です。まあ軍人になる意思のない人にとってROTCは苦痛以外のなにものでもないので、普通は考えもしませんが。学費がタダになるわけでもないし。
VMIは上級軍事大学 (United States Senior Military Colleges) と呼ばれる大学群の一つです。士官学校、士官候補生学校とは違います。アメリカの士官学校はウエストポイント(陸軍)、アナポリス(海軍、海兵隊)、コロラドスプリングス(空軍)の3校ですが、上級軍事大学は、VMIを含め、州立大学、私立大学を合わせて現在アメリカに全部で6校あります。この上級軍事大学のシステムはまた後日暇なときにでもゆっくり書きます。