水嫌い  | 天才伊藤浩士先生の末の世の憂鬱ブログ

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 水呑百姓を調べると、貧しくて水しか呑めないような百姓を指す、江戸時代の貧農の呼称と出てきますが、なにの代わりに水を呑んでいたのかが不明なのです。

 一説では、貧しくて飯が食べられないので水だけを呑んで暮らしていたとも言いますし、別の説では、飯を食べなければ死んでしまうから飯の代わりに水を呑んで生活していたということはあり得ない、農村だから食べ物はなんとか入手できても、現金収入がないので茶を買うことが出来ない、本百姓が茶を飲むときに水を呑んでいたから水呑と呼ばれたとも言います。

 今から思うと、子どもの頃の自分は春、秋、冬は水呑少年で、夏は水すら飲めない暮しをしていました。

 水より上の飲み物にサイダーがありました、暑い夏にサイダーが飲みたいと言うと、
「暑いときには絶対に水分は採ってはいけない、昔の京都の舞妓さんたちはどんなに暑い時でも一滴の水も飲まなかったから、暑い京都で着物を着ていても汗ひとつかかずに涼しく暮らしていた、水を飲むから汗をかいて暑くなるのだ」と言われました。

 今から思うと無茶苦茶な話で、発汗によって気化熱が奪われるから体温が下がるわけで、猛暑の中で汗をかかないように一滴の水も飲まなければ熱中症になるのですが、汗をかくから暑くなる、汗をかかなければ涼しくいられるという考えが過去の日本人のなかでは常識となっていました。

 それで夏はサイダーも水も駄目です、秋になって涼しくなってきてもういいだろうと思ってサイダーが飲みたいと言うと、
「これからの水は寒水と言って美味しくなる、水を飲んでおけば良い」と言われました。

 その話を信じて水を飲んでも全く美味しくありません、水なんて美味しくないと言うと、美味しいと思って飲めば美味しくなるのだ、お前は美味しくないと思って飲んでいるからいけないのだと言われました。水が大嫌いになりました。

 そういう思い出があるので子どもが育つ頃は、常に冷蔵庫の中に、サイダー、コーラ、ファンタなどを切らさないように入れておきました。その点ではもの凄く物分かりが良い親だったと思っています。

 そうしたら息子が、なんとかの天然水を大量に買ってきてそれを冷蔵庫に入れておいて飲むようになったのです、水なんてどこが美味いのかと思うのですがそちらを飲んでいます。

 息子に、水は体に悪い、酒を飲めと言ったことがあります、どうしてと息子が聞くので、酒に溺れても死なないが水に溺れたら死ぬと言ったら、アホかと言われました、これが太田蜀山人の有名な言葉だということも最近の若い者は知りません。

 人間とは皮肉な生き物で、好きなだけサイダー、コーラ、ファンタが飲めるようにしてあると、逆に水を買って飲むようになってしまうようです。


 
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