─ 最終話 ─


あれから3年後...


美結の従姪(姉)「それ!」(美結の背中を押す)

美結「うわっ!...やったな〜?w待てー!」

美結の従姪(長女)「ひぃいー!」

美結の従姉「莉央〜、学校遅れるよ」

美結の従姪(長女)「行ってきまーす!」

美結の従姉「はーい」

美結の母「行ってらっしゃ〜い」

美結「行ってら!」

ランドセルを背負って家を出る従姪を

従姉の家から見届ける美結達。

美結「...もう小3か〜」

美結の母「早いな」

美結「この前、幼稚園だったよね?」

美結の母「それは前すぎじゃろ」

美結の従姉「(笑)」

美結の従姪(次女)「...」

美結「おっ、奈桜ちゃ〜ん、おはよ!」

美結の従姪(次女)「スマホかして」

美結「今日もゲームやるの?w」

美結の従姪(次女)「うん」


その後...

みかん「みゆ!次はコロナワールド行こ♪」

美結「えー、バリ遠くない?」

みかん「...あっ!こんなところにバラが!」

みかん「夏バラだ!」

美結「夏薔薇ってあるのかよ(笑)」

みかん「写メ撮ろっと♪」

スマホで薔薇の写真を撮影するみかん。

美結「...あちー」

美結はぐったりとしていると...

「こんにちは」

美結「?...」

みかん「こんにちは!」

女性の声に振り向く美結とみかん。

そこには...

美結「...っ」

みかん「あっ!」

微笑みの蘭が立っていた。

蘭「お久し振りですˆ ˆ」

美結「蘭!?」

みかん「お久だねぇ!」


久々に再会した美結達は、

目の前の緑町公園に入って行く。

みかん「会えて嬉しい!」

美結「...大人になったな〜」

蘭「大学生になりました(笑)」

みかん「えええ!大学?!」

美結「へ〜...すげえ」

みかん「どこの大学?」

蘭「〇〇大学です」

美結「え、俺の家の近くw」

蘭「え〜...!そうなんですね!」

美結「ってか...えっ、日本...?」

みかん「パリに住んでたのに!」

美結「そうそう...あれからどうなったの?」

みかん「お父さんは...?」

蘭「...あれから、お父さんは私に」

蘭「"好きにしなさい"って言ってくれたので」

蘭「できるだけ負担はかけないように」

蘭「公立高校へ転学して...」

蘭「バイトでお金を貯めて」

蘭「高校卒業後、日本へ帰りました」

美結「おぉ...良かったじゃん!」

みかん「許してくれたんだね...」

美結「じゃあ、今は一人暮らしか」

みかん「お家どこ?」

蘭「この近くです」

美結「えw」

みかん「今度遊びに行こうよぉ!」

蘭「ぜひˆ ˆ」

美結「豪邸なんだろうなぁ〜w」

蘭「いえいえ...コーポに住んでます!」

みかん「えっ!?」

美結「コーポ...?!」

美結「意外、オシャレな一軒家だと思ってたw」

みかん「あたしも!」

蘭「気楽がいいな〜...って(笑)」

みかん「分かる!」

美結「うん...それがいい...」

美結「ある意味、庶民的の方が幸せだよ」

蘭「うんうん...本当に」

蘭「ご飯に味噌汁が最高すぎる」

美結「だろ!?」

みかん「お腹空いてきたなぁ〜...」

時間を忘れるように話し込む美結達。


美結「...」

葵の人形を眺める美結。

みかん「このお人形、あおいちゃんだよ!」

みかん「みゆの手作り!」

蘭「お姉ちゃん?可愛いˆ ˆ」

みかん「だよね〜♪」

美結「店に忘れちゃったことあるけど...w」

美結「肌身離さないよ」

美結「今月、葵の命日だから」

美結「皆で墓参り行こう!」

みかん「うん!」

蘭「そうだね」

蘭「...今年で5年」

美結「やっぱり昨日のようだな」

みかん「...あの青空から見守ってくれてる!」

みかん「みゆとらんちゃんのこと」

美結「...」

蘭「...」

空を見上げる美結と蘭。

風が吹いた時、

美結の手から離れる葵の人形が飛ばされる。

美結「あっ!ちょ...待って」

美結は急いで追いかける。

みかん「どうしたの?」

蘭「?...」


木々の道に入った美結は、

やっと葵の人形を拾う。

美結「...良かった」

美結「ごめんね、ずっと一緒だよ」

人形のフェルトについた砂や葉を払う。

美結「...」

見慣れた緑の景色だが、懐かしく思う美結は

体が憶えているように芝生に座ると、

葵と過ごした記憶がよぎる。

美結「...」

美結「Lu...lu...lu...La...la...la...」

美結「Lu...lu...lu...La...la...la...」

あの歌を口ずさんだ時...

美結「...」

俯く美結の視界に横に座っている足が映る。

美結「っ...」

驚いて振り向いた目の前には、

優しく微笑んでいる葵の姿があった。

美結「...葵、」

美結「葵なの...?」

美結「...」

美結の右手には、

あの頃に見つけた小さな水晶玉が光っている。

美結「...」

握りしめて目を閉じると、葵の肩に寄り添い

幸せな笑みを浮かべる。

美結「葵...逢いたかったよ...」

美結「...」

そっと目を開けると、葵はいなかった。

美結「っ...」

右手の中にあった水晶玉も消えていた。

美結「...」

美結は微笑む。


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美結「...」

葵「...」

(向き合って目が合う)

美結「ヘヘっˆ ˆ」

葵「ふふˆ ˆ」

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