何のために生まれて、何をして喜ぶ?
分からないまま終わる、そんなのは嫌だ。
子どもの頃、アンパンマンというアニメの中でこんな歌が使われていた。この歌詞だけは、とても印象的で今でも忘れられない。
突きつけられた言葉は、刃のように鋭く、鉄のような冷たさを持っている。
この前、東京の駅で、老婆とその老婆よりも少し若い…息子だろうか。若いといっても40~55くらいだったろう…頭髪は薄く、白髪がかなりを占めており年齢は正確に判断つかない。
二人とも服装は汚く、髪の毛も汚れて洗われた雰囲気がない。母親と思われる老婆は穴だらけの紙袋を、息子と思われる老人は、大きくボロボロのスーツケースを持っている。
そんな親子が、プラットホームの行き交う人混みに紛れ、息子がぎゅっと母の手をつなぎその体を引いている、どこへ行けばいいかもわからないのか…二人は、キョロキョロと辺りを見渡してる。
僕は、向かいのホームから二人をじっと見ていた。
突き刺さる人々の視線…卑下、同情、蔑みを帯びた黒い瞳だ。
何のために生まれて、何をして喜ぶ。
この言葉は、怖い。