少し過去の話だ。ある日、女子生徒の山本一華から、

「先生!最近さ。ツインテールが流行ってんねん!」

と、唐突に言われた。

…ツインテール…!!

「マジで……!ってか、今、そんなもんが…流行ってんの!?」

僕は驚きを隠せなかった。今時の……しかも女子生徒からそんな事を聞くとは夢にも思っていなかったからだ。僕のその反応に驚いたように

「先生、ツインテール好きなん……!?」

と、微妙な顔をして彼女は尋ねる。

 

 

「ツインテール……、ああ……まぁ…好きなんかな……。あ、そう言えば、昔……」

 

 

 
 


あれは……まだ幼い頃、家族で福井県の海に行った時の事だ。

毎年、海に行くときには前夜に家を出て、向こうには朝方に到着というのが通例だった。

その日は予定よりも早く進んでいたのか、暗い早朝…、というよりも夜中に、車は高速道路から降り、海へと繋がる山道を走っていた。

そんな時、突然、尿意を催した僕に、母親は、

「その辺でしてきなさい」

と、車を停めた。

…どこでしようかな…

と、とりあえずガードレールを越えて、暗い山道に少し入り…、用を足していると、山の少し上方から何か…妙な…木がミシミシいうような音が聞こえた。

…なんだ…?

 

 

用を足しながら見上げると、山々の黒い木々の影に……、何か……妙なものが混じっているように見えた……。

 

 

 
目を凝らして見ると、それは朧月夜を背景として、暗い山木の間に、何か……周りの木々よりも遥かに巨大なものが聳え立っているように思える……。


…あれは……木か……?

 

 

巨大な祭りやぐらのようにも思えたのだが……、それは左右に揺れるように……動いている

 

 

 
…生き物…か…?
 
そう思ったが、何よりもそれは周りの木々と比べて、太さも高さも倍以上違うのだ。そんな巨大な生物がいるだろうか…?そして……


…なんだ?てっぺん近くで何かが光っている…?

その頂点には……薄くだが…蒼く……輝く光が見えた……。

「こら!何やってんの!!」

と、ガードレールの向こうから、帰りの遅い僕を心配した母に、僕は呼び戻された。僕は母にそれを伝えたかったのだが、手前の木々に遮られ、ガードレールの位置からはそれは見えなかった……。



「あれが何なのかはわからない……。だがな……、あの時みた何かは……ツインテールにそっくりやった……。」

と僕はその生徒に伝えたが、彼女は何か……考え込むような様子をしている。

「ん?どうしたん!?」

と、僕が尋ねると、彼女は

「その話は普通に面白いけど……、ツインテールに繋がる意味がわからん……。先生……、ツインテールって……知ってる?」

と、彼女は自分の髪を両手で握り、二つくくりを作って、「これ、これ」と僕に伝える。

…ツインテール……?直訳すると……二つの尻尾……?ひょっとすると……ポニーテールと同じように……髪型のことなのか……?

 

芸能界や流行に全く興味のない僕は、いまだに嵐やAKBメンバーの名前一つ知らない。(2019年現在(笑))そんな僕が流行の髪形など知るわけがない…。


僕は絶望と同時に

…おかしいと思った…。あんなもんが流行ってるわけないか…

と、全てを納得したが……、この場を乗り切る為には押し通すしかない!と判断した。

「んなわけあるかー。ツインテールって言えばな!どう考えても……」

 

僕はすぐにコンピューターで検索する。

 

「これしかないやろ!!」

 

 

古代怪獣ツインテール!
 

 

強引だったが、結構ウケた(笑)

 

 

 

PS 

 

今回これを書くに当たっってツインテールを調べたところ、ツインテールという女性の髪形の語源は、どうやらこの怪獣かららしいです(笑)