普通級移籍計画は着々と進んでいます。

順調過ぎて、怖いくらいです。

授業見学をして、社会(私も授業を見たのですが、すごく面白い)と技術が気に入ったということで、数学、社会、技術を軸に交流に行っています。例えば数学が1限目で社会が3限目なら、2限目はどの教科でも1限目から3限目まで通して南校舎で授業を受ける。ランチの時間を挟むならランチも南校舎で。

敷地の離れた校舎間の移動のために毎回付き添うのは先生も大変だというわけで、苦肉の策です。

その中で、あみは数学のテストを受けました。小テストではない本格的なテストを受けるのは、生まれて初めてです。

結果は散々で、14点。

でも、腐るでもなく癇癪を起こすでもなく、落ち着いた様子で、
「初めてだったから、答え方もわからなかった。次は頑張る」
と言いました。

小1のとき、進研ゼミの実力テストでたった1問間違えただけで、ひどい癇癪を起こしていたのが嘘のようです。6年も経っているのですから当たり前といえば当たり前なのですが、そんな成長も嬉しいものです。

その「次は頑張る」の言葉を聞いてすぐ、月一回のスクールカウンセラーさんとの面談の日が来ました。その話をしたとき、何故かふと思いつき、塾へ行かせるというのはどうかと聞いてみました。

あみの負担にならないなら、それもいいかもしれないとの返事でした。

また、まずは数学から始めたいという考えにも、「得意なものを頑張って成果が出ると、他の科目への意欲も湧くことがある」と肯定的。

ここにきて、普通級への移籍を考え始めたとき支援級主任の先生が、
「今だと、もう半年分遅れているわけですが、そこをどうするかなんですよね」
と言っていた意味がやっとわかりました。そのときは、そんなことよりとりあえず、あみの気が変わらないうちに話を進めたかったので、モヤモヤしながらも、深く考えずに流しました。先生も、
「まあ、それは追々」
と話を進めてくれたので、そのことは忘れていたのです。

その半年分の遅れは、塾に行くなどして補うようにしてほしいということだったのだとやっと思い当たりました。

思い当たって、少し腹が立ちました。支援級だからと、義務教育で無償で受けられるはずの教育が受けられなかったのは、学校の責任だと思うのです。そもそも、数学と国語と音楽の教科書は、支援級と普通級とでは内容が全く異なるのですが、支援級に在籍すると自動的に支援級の教科書を配布され、普通級の教科書は自費で買わなければなりませんでした。そして、その教科書を持っていたおかげで数学の先生がたまたたま気づいてくれたので中一の数学を勉強ができるようになったのですが、そうでなければ、時計の読み方や買い物でのお金の出し方などの学習しかできなかったのだ思うと、おかしな話だと思います。

でも、そんなことを今更ブツブツ言っても仕方がないので、塾探しをすることにしました。

あみに塾へ行く気があるか聞くと、予想以上に乗り気の様子。これは頑張らないと。

でも、「塾 発達障害 名古屋」と検索しましたが、なかなかヒットしません。あっても遠いとか、遠い上に「栄養が大事」なんて怪しいことが書いてあるところもあります。

その中で、検索結果に、高額なイメージがあって我が家とは関係ないと思っていた家庭教師のサイトがあるのに気づきました。参考のために「発達障害 家庭教師 名古屋」で検索すると、結構出てきます。そして指導料も個別指導塾の高いところとそこまで大きくは変わらない(ように見える)料金のところもいくつかありました。

あみに聞いてみると、実は家庭教師のほうがいいと思ってたけど、ダメと言われると思っていた、と言います。

それならということで、いくつかのサイトをじっくり読み、発達障害についての説明が的確で大げさな表現がなくて、指導料の目安が明確な家庭教師斡旋会社に無料体験を申し込みました。

火曜に申し込んでからというもの、あみは楽しみでしかたなくて、バタバタと部屋を片付けました。大嫌いな掃除機も耳栓をして頑張りました。


ところが、当日金曜日、エントランスのチャイムが鳴った途端に様子が変わり、
「恥ずかしい恥ずかしい。嫌だ嫌だ」
と言って、子供部屋のドアの陰に隠れてしまいます。

学習アドバイザーだという若い男性の先生を部屋に案内してもドアの陰になっていたその隅から出てこようとしません。

部屋全体にディスプレイしたコナングッズや漫画に先生が気づいて、
「コナン好きなんだ!!俺も映画、全部観てるよ!!」
と言ったところから、隅の方から徐々に狭い部屋の中央に置いたテーブルのほうに近づいて来るようになりました。指導法や独自の教材の説明が進むうちに、少しずつ距離が縮まります。
最初は頷くこともしませんでしたが、最終的には小さくですが、声も出るようになりました。

私は、初めての人と話すことと、娘のこの様子に付き合いつつ通訳の役目をすることで、本当に疲れました。

先生の出すちょっとした問題にも答え、この勉強法をやってみたいか聞くと大きく頷き、やる気充分な様子です。

一つ、面白かったというか、あー、やっぱりこの子は発達障害なんだなと思ったのは、勉強は階段を二段三段飛ばしに登るより、一段一段確実に登っていったほうがいいと、例え話をしたときに、本当にキョトンとしていたところです。

例え話は難しいと伝えたら、すぐに説明の仕方を工夫してくれました。苦戦はしていたけれども。

本当はもう一つ別の会社の無料体験も受けてみるつもりでしたが、この調子だとあみにも負担になりそう(私にも負担)なので、この会社にお願いすることにしました。

ただ、どの家庭教師の会社でも塾でも同じだと思うのですが、中学生相手の場合は高校に、高校生相手の場合は大学に合格させるのが第一目標としているようです。でも、うちではまず、少しずつ本当に少しずつ成果が出るだけでいいので、あみのやる気を削がない形で進めてほしいということを伝えました。

拍子抜けしたようなというか、怪訝なというか、不思議な反応をされましたが、それで大丈夫、元々教科書以上のことはしなくても高校受験はできるから、ということでしたので、ここは信じるしかないと思いました。

先生は合わなければ何度でも代えてくれるということですし、発達障害についても理解できる人を紹介してくれると言います。

独自のテキストがあって、それが結構な価格ですが、通常は月割で払い、一ヶ月あたり指導料と合わせてもこのくらいまでと決めていた金額におさまったのでよしとしました。1教科あたりの教材の分量が多いのがやや気になりますが、その辺のことは実際に担当してくれる先生と相談ということで。

家庭教師なんて、我が家には分不相応、金銭的にもギリギリなのですが、あみの特性と状況ではそうも言っていられません。

こらから相性のよさそうな先生を探して、必要な研修をしてから、紹介、授業開始となるそうです。

あみはとても楽しみにしています。また、慣れるところから始まりです。

相性のいい先生が見つかりますように。