今回は、一つ前の記事の「ありがとうと言いなさい」事件があった後、3回目の火曜日の話です。

2回目だった前の週は、丸一日休みました。

今朝もグズグズ言って起きてこないので、学校に電話しました。今からでも来られないか、3、4限の美術の時間は隣の教室で過ごしてもいいから、と先生はおっしゃいます。

でも、私は午前中に泌尿器科クリニックの予約(過活動膀胱)があり、あみの準備を待って学校へ送って行って間に合う自信がなかったので、午後から登校させることにしました。

暑い中、行ったり来たりして疲れてしまったのか、少々目眩もしていたのでゴロゴロしているとすぐに、あみが息を切らせ、慌てた様子で帰ってきました。

「蹴られてた!Dくんが蹴られてた!何回も!足も踏まれてた!」

恐れていたことが起きてしまいました。

いじめっ子たちとDくんは、我が家から300mほどのところまで一緒です。あみが彼らの後から歩いてきて、追い抜くときにかがんで靴紐を結んでいるDくんの反対側の足のかかとが踏まれ、そして蹴られたのを見たようです。その後、蹴られる音を聞きましたが、振り返り振り返りしながらゆっくり歩いたそうです。

一瞬、自分で注意しようかと思ったけど、それはマズイと思って、D君が彼らと別れるのを待って話しかけました。

「何回蹴られた?」
5回か6回。
「自分で誰かに言える?」
うーん、言える……。
「こっちからも言っとくから、自分でも言ってね」

そんな会話をしたらしい。

「あの子たち、優しいからいろいろ言ってくるんじゃないよ」
と、Dくんに話したと言います。
「そんなこと、言わないほうがよかったかな?」
と私に聞きます。

よかったんだよ。Dくんも知っておいたほうがいいし、と返事をしたのだけど、どうなんでしょう?今後の被害を最小限にするためにはDくんが自覚してくれるのが一番だとは思うのです。でも、Dくんはそんなことはわかっていて、その上で一緒にいたいのかもしれません。それなのにゴチャゴチャ言って、気を悪くしていないか心配になったようです。

私が先生に電話すると言うと、あみは少し悩んでいるようでした。自分が告げ口したのが丸わかりだと思ったのかもしれません。でも、経緯がどうあれ暴力が出たことがわかった以上、学校への報告を怠るわけにはいきません。

ただ、どの先生に話せばいいのか少し悩みました。既にそれまでの経緯をお話ししてあるスクールカウンセラーのR先生に伝えたいところなのですが、この場合、翌日の下校時までに早急になんらかの対処をしてもらわなくてはならないので、適任とは言えないと判断しました。

そこで、あみの担任のO先生にするかDくんの担任で特別支援学級主任のS先生のどちらか迷ったのですが、S先生にお話しすれば当然S先生に伝わるわけだから、担任のO先生にお伝えすることにしました。

繊細な話なのですけどとことわった上で、一通り、あみから聞いていた状況とあみとDくんのやり取り、先生の方から聞かれた加害者側数人の名前をお話しました。

すると、O先生の第一声は、
「まだD君のほうからは何も聞いていないので……」
でした。私には予想もしなかった言葉だったので、ガックリ……。
あみですら、D君は自分では親にも言わなそうだと予測できるのだし、そうでなくても、いじめ被害者が「親に言えない」というのはよく聞く話。そこは想定できないのでしょうか。それに、D君からの訴えがなければ動けないというのは、おかしい気がします。

最後は、
「対応を検討します。ご連絡ありがとうございました」
とおっしゃったし、ということはもちろんS先生とも話し合うのでしょうから、とりあえず、お任せすることにしました。というよりお任せするしかなかったのですが。

電話の終りに、
「話が変わりますが。これからの火曜はどうするか、話し合っておいてください」
と言われました。そういう意図はないとは思うのですが、「他所の子の心配より、自分の子はどうなの?」と言われたような気がして、勝手にムッとしてしまいました。

次の日、水曜は連絡も何もなくすぎ、木曜、あみが帰ってきて言いました。
「いじめっ子たち、今日来たよ。D君に何か言ってた。シュンとしてたよ。何かスッとした」
私はあまりスッとしません。謝らせて終わりで大丈夫なのか心配です。今度は隠れてやるかもしれないと思うからです。でも、私にはもうどうすることもできません。

6月28日(金)、希望者親子数組で県立特別支援学校へ見学に行きました。電車の中で、ちょうど他の方たちと離れたので、S先生が言いました。
「ご連絡ありがとうございました。彼らが認めたので、D君に謝らせました。『先生が見ている』と伝わって収まると思います」
そうかなぁ……。本当に何もなければいいけど。

その後、あみは、放課後等デイサービスへ行く日以外は、できるだけ一緒に帰るようにしているそうです。男子と一緒に帰ると冷やかされるかもしれないけど、それよりD君のことが心配だと。

今回のことで、また、あみの成長を感じることになりました。

自分で注意しない判断をし、様子を見てD君に声をかけ、すぐ私に話したこと。
それだけでなくD君に自分でも誰かに伝えるようアドバイスし、自分も親に伝えることを告げたこと。
D君に話した内容で、D君を傷つけていないか思いやることができたこと。
冷やかされるかもしれなくても、D君と一緒に帰ることを誰に言われることもなく選んだこと。

私の知らないところで、どんどん大人に近づいているようです。


それはそれとして。
昨日は火曜日でした。月曜の連絡帳で、美術の時間はあみだけ隣の教室で受けるということを打ち合わせしたので、普通に登校することができました。この状態がいつまで続くかはわかりません。でも、とりあえず、1科目のために週に一度、欠席遅刻になることは避けられそうなので、よかったと思います。