企業の女性管理職が増えない。その理由の一つに、管理職候補としてキャリアを積む時期が出産や子育てと重なり、先々のキャリア形成に見通しが立てにくい事情がある。両立支援の一方で、「子育て後」のキャリア形成も視野に仕事への意欲をいかに伸ばすか。この課題を乗り越えようとする取り組みを探った。(津川綾子)
◇
◆まずは意思表明を
「あなたのキャリアプランの阻害要因を左側に、解決策は右側に書いてください」
5月、都内で行われた人材サービス「マンパワー・ジャパン」(横浜市西区)の研修会場。「時短勤務が難しい」「(出産など)転換期の不安」「家庭との両立」…。30代前後の女性社員22人が模造紙に次々と書き込んだ。
女性管理職を増やそうと、同社が今年始めた「ロールモデルセミナー」。ある場面では、悩みを抱えた女性社員を前に、2歳の息子を持つ田中直美・首都圏西統括部長(39)が「今は現実的でなくても自分で管理職になりたいかを決め、意思表明して」と語りかける。一方で、「(管理職をこなすには)家族かベビーシッターなど誰かの手を借りるのが必要」との現実も示した。
セミナーの狙いは、女性社員の管理職への動機付けだ。同社は女性管理職数をこの先1~2年で5%増やしたいという。社内業務改善プログラム担当の井桁(いげた)光一郎さんは「女性は出産など転換期があり、管理職を目指そうと踏み切れない。女性管理職と語り、活躍する姿を見て意欲が高まれば」と期待する。参加した大須賀彩さん(35)は「両親が近くにいない場合、子育てをしながら管理職に、というのは難しい気がした。田中部長の話で前向きにもなれた」。
◆企業内風潮見直しを
女性管理職が多く、「ポジティブ・アクション」(女性社員の活躍推進)の先進企業として知られるベネッセコーポレーション(岡山市)は課長以上の管理職の32・5%(平成22年度)が女性で、女性管理職の3人に1人がワーキングマザーだ。
そんな同社も「将来的にどんな仕事を担うのか。子育て中は仕事がペースダウンし成果を出しにくいが、その間も社員自身が意識を高め、計画を立てておく必要がある」(池田和・ワークライフマネジメント推進担当課長)と課題がある。そのため、昨年10月には妊婦・ワーキングマザーがキャリアプランを考える場として月に1度、ランチタイムに集まる機会を設けた。今後はワーキングマザー社員対象にメンター(助言者)を充てる制度も構想中だ。
日本で管理職のうち女性の比率は10・6%(21年の労働力調査)。徐々に高まりつつあるが、仏独(37・9%)やシンガポール(30・5%)と比べると低調だ。このため、政府の男女共同参画会議の「基本問題・計画専門調査会」は今年4月、女性の管理職や役員登用の数値目標を、第3次男女共同参画基本計画に盛り込むよう提案した。
しかし、実現には個々の企業努力しかない。池田課長は「女性社員の意欲や動機を高める取り組みのほか、接待ができるなどの付き合いの度合いや、長時間残業で挙げた成果が評価されるといった企業内風潮を見直さないと女性の活躍は広がらない」と指摘した。
◇
■管理職の理解も課題
女性管理職を増やす鍵は女性社員の意欲向上だけではない。昨夏、日本生産性本部(東京都渋谷区)が129社の人事担当者らに行った調査では、管理職の理解も課題に挙がった。同本部の長谷川真理ダイバーシティ推進室長は「女性部下は難しい課題を敬遠するとの思い込みから、与える仕事に男女差をつけている可能性がある。企業トップや管理職も意識を変えて」と訴える。
・ 九州北・南部が梅雨入り、平年より1~2週遅く(読売新聞)
・ <民主党>小林千代美議員が辞職表明 北教組事件で引責(毎日新聞)
・ <中国電力>島根原発点検不備で厳重注意処分(毎日新聞)
・ 最小不幸社会は弱者切り捨て=社民党首(時事通信)
・ 中畑氏「石井浩郎をよろしく」秋田で初遊説(スポーツ報知)
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◆まずは意思表明を
「あなたのキャリアプランの阻害要因を左側に、解決策は右側に書いてください」
5月、都内で行われた人材サービス「マンパワー・ジャパン」(横浜市西区)の研修会場。「時短勤務が難しい」「(出産など)転換期の不安」「家庭との両立」…。30代前後の女性社員22人が模造紙に次々と書き込んだ。
女性管理職を増やそうと、同社が今年始めた「ロールモデルセミナー」。ある場面では、悩みを抱えた女性社員を前に、2歳の息子を持つ田中直美・首都圏西統括部長(39)が「今は現実的でなくても自分で管理職になりたいかを決め、意思表明して」と語りかける。一方で、「(管理職をこなすには)家族かベビーシッターなど誰かの手を借りるのが必要」との現実も示した。
セミナーの狙いは、女性社員の管理職への動機付けだ。同社は女性管理職数をこの先1~2年で5%増やしたいという。社内業務改善プログラム担当の井桁(いげた)光一郎さんは「女性は出産など転換期があり、管理職を目指そうと踏み切れない。女性管理職と語り、活躍する姿を見て意欲が高まれば」と期待する。参加した大須賀彩さん(35)は「両親が近くにいない場合、子育てをしながら管理職に、というのは難しい気がした。田中部長の話で前向きにもなれた」。
◆企業内風潮見直しを
女性管理職が多く、「ポジティブ・アクション」(女性社員の活躍推進)の先進企業として知られるベネッセコーポレーション(岡山市)は課長以上の管理職の32・5%(平成22年度)が女性で、女性管理職の3人に1人がワーキングマザーだ。
そんな同社も「将来的にどんな仕事を担うのか。子育て中は仕事がペースダウンし成果を出しにくいが、その間も社員自身が意識を高め、計画を立てておく必要がある」(池田和・ワークライフマネジメント推進担当課長)と課題がある。そのため、昨年10月には妊婦・ワーキングマザーがキャリアプランを考える場として月に1度、ランチタイムに集まる機会を設けた。今後はワーキングマザー社員対象にメンター(助言者)を充てる制度も構想中だ。
日本で管理職のうち女性の比率は10・6%(21年の労働力調査)。徐々に高まりつつあるが、仏独(37・9%)やシンガポール(30・5%)と比べると低調だ。このため、政府の男女共同参画会議の「基本問題・計画専門調査会」は今年4月、女性の管理職や役員登用の数値目標を、第3次男女共同参画基本計画に盛り込むよう提案した。
しかし、実現には個々の企業努力しかない。池田課長は「女性社員の意欲や動機を高める取り組みのほか、接待ができるなどの付き合いの度合いや、長時間残業で挙げた成果が評価されるといった企業内風潮を見直さないと女性の活躍は広がらない」と指摘した。
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■管理職の理解も課題
女性管理職を増やす鍵は女性社員の意欲向上だけではない。昨夏、日本生産性本部(東京都渋谷区)が129社の人事担当者らに行った調査では、管理職の理解も課題に挙がった。同本部の長谷川真理ダイバーシティ推進室長は「女性部下は難しい課題を敬遠するとの思い込みから、与える仕事に男女差をつけている可能性がある。企業トップや管理職も意識を変えて」と訴える。
・ 九州北・南部が梅雨入り、平年より1~2週遅く(読売新聞)
・ <民主党>小林千代美議員が辞職表明 北教組事件で引責(毎日新聞)
・ <中国電力>島根原発点検不備で厳重注意処分(毎日新聞)
・ 最小不幸社会は弱者切り捨て=社民党首(時事通信)
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