こんばんは。
乳腺外科の 木村優里 です。
2022年6月2日~6日まで、ASCO(米国臨床腫瘍学会)が開催されました
このブログでも何度も紹介してきましたし、予告ブログも打ってきましたが、ついに、お待たせしました
HER2陽性乳癌をtargetとした、エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)というお薬が、HER2低発現乳癌においても治療効果が示されるのではないか、ということを検証した、DESTENY-Breast04試験という臨床試験の結果がついに発表されました
エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)は抗HER2抗体にリンカーという手を介して化学療法剤がくっついているお薬です。
HER2陽性乳癌領域で非常に有効な治療効果が示されています。
今回はHER2低発現という新たなジャンルをターゲットとして、転移性乳癌を対象としてエンハーツの治療効果を検証しています。
結果として・・・
ホルモン受容体陽性集団・全体集団でも
・無増悪生存期間(PFS)を有意に延長
・全生存期間(OS)を有意に延長
する、すばらしい効果が示されました
実際の会場では、スタンディングオベーションで、拍手がなりやまなかったそうです
残念ながらコロナの影響もあり、Web参加しておりましたが、鳥肌がたつような感動が、乳癌業界で大いに話題となりました
現在エンハーツはHER2陽性進行再発乳癌で既に保険適応として治療しておりますが、近いうちにHER2低発現にも適応拡大されます。
有害事象としての薬剤関連肺疾患のコントロールがポイントとなりますが、より多くの幅広い患者さんに、エンハーツによる治療がお届けできる日も近いです