コロナワクチンと乳がん検査の時期 | 広島大学病院乳腺外科ブログ ~広島の乳がん医療に取り組みます~

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広島大学病院乳腺外科スタッフが、乳がんのこと、日常のこと、感じたことなどを交代で綴っていきます。ぜひ、気軽にコメントもいただければうれしいです!
注:このブログは広島大学公式ブログではありません。発言内容は個人の見解であり、広島大学とは一切関係ありません。

こんにちは。

広島大学病院乳腺外科の舛本です。

いかがお過ごしでしょうか。

 

コロナワクチンの接種体制がだいぶん整ってきているようです。

今週は1日40万人以上の方が接種なさった日もありました。びっくり

接種希望者の方が早く接種できると本当によいですね。ニコニコ

 

ところで、コロナワクチンを接種した際に乳腺の検査をする上で注意することがあります。

下記はSociety of Breast Imaging Patient Care and Delivery Committee(SBI)からの引用です。SBIはアメリカの乳房画像診断に関する学会です。

 

https://www.sbi-online.org/Portals/0/Position%20Statements/2021/SBI-recommendations-for-managing-axillary-adenopathy-post-COVID-vaccination.pdf

 

ワクチンを接種しますと、自分の持っている免疫の影響でリンパ節が腫れることがあります。

モデルナ社のワクチン(2回接種必要)ですと1回目の接種後 に11.6%くらいの方が腫れます(自己申告だと1.1%)。ワクチン接種後、リンパ節の腫れは、2~4日後に発生し、1-2日続くそうです。

ファイザー社のワクチン(2回接種必要)は自己申告のみの報告データになりますが、プラセボよりも多くリンパ節が腫れることが報告されています(64人vs 6人)。リンパ節の腫れは、ワクチン接種後2~4日以内に発生し、平均10日間持続したそうです。

 

乳房検査のマンモグラフィや超音波検査(エコー)では乳房に異常がないかをみますが、同時にわきのリンパ節が腫れていないかをみることもあります。乳がんはわきのリンパ節に転移をすることがありますので、これらの検査の際に、同時にわきのリンパ節をみることができます。

 

ですので、ワクチン接種後すぐに検査すると、わきのリンパ節の腫れが見つかった際に、ワクチンの影響なのか? 乳がんのリンパ節転移などの異常なのか? 見分けることが難しくなります。ショボーン

 

SBIでは検診ではワクチンの1回目の接種前、もしくは2回目の接種から4~6週間後に乳がんの検査することを推奨しています。

日本癌治療学会でもCTやPET-CTなどの画像検査は、できればワクチン接種から4~6週間の間隔をあけることを推奨しています。

http://www.jsco.or.jp/guide/index/page/id/300#qa

 

ワクチン接種終了後ですと、1か月半たってから検査をすると診断が容易になりやすいです。

でも、乳房にしこりを触知するなどの症状に気づいた際は早めに医療機関を受診しましょう。ウインク

 

良い週末をお過ごしください。

 

広島大学病院 乳腺外科 舛本法生