花蓮で初めての道の駅「慢城鳳林館」をオープンするまで、いろいろなことがあった。建物は鎮公所(日本の役場)のものであったので、建物に関する様々な交渉は役人が相手になる。

この建物、ここしばらくは誰も使っていなかったのでいろいろな場所にガタが来ていた。極めつけは、窓ガラスに設置されている電動シャッター。すべての窓ガラスに電動シャッターが設置されているのだが、すべてのシャッターが開かない。完全に故障している状態だった。

当然、家主である役場が修理しなければならないものだったが、すべてを修理した場合、かなりの高額になるため、役場側は修理を渋った。しかし、シャッターが開かなければ営業など出来ない。話が行ったり来たりを繰り返し、結局、わたくしの妥協案で、すべての電動シャッターを取り除くことで決着した。

役場側はこちらに対しては様々な書類を要求し、しかも、朝に連絡があって、その日のうちに提出しろという、かなり上から目線での要求が続いた。私も最初のころは我慢していたが、こちらが我慢すればするほど、相手方の要求はエスカレートしていったので、遂に私も妻もブチ切れ、「もう止め!」と怒鳴りつけた。そうすると、相手の態度は一変。まあ、どこの国でも役人というのは、そういった生き物なんだろう。

(もしも読者の中に役人の方がいたら、ごめんなさい)

 

昨年10月末にオープン予定だった道の駅。結局は3月23日のオープンになった。まあこの日数を見ていただいただけでも、どれだけいろいろなことがあったかは予想していただけると思います。

正直、私は道の駅は提案しただけで、まさか自分が運営していくことになるとは思ってもいませんでした。

鳳林という場所は観光地としても十分に観光客を呼び込める場所なのに、実態は花蓮観光の場合、昼食の場か通過地点でしかない。

故に、旅客センターの機能も兼ね備えた道の駅を作るべきだと鎮長(町長)に提言したことがすべての始まりだった。

 

おかげで今後、毎月の家賃が私の肩に重くのしかかることになってしまった。

 

さて、今日の過去を振り返るは、昨日の続き。

台北の経営コンサルティング会社の社長が顧客のお金を使い込んでいることを見つけてしまった私。犯罪の片棒を担ぐ様なことだけはしたくなかったので、退職した。そして、被害者だった日本の会社の社長が私に連絡をしてきたところまでは昨日、お話した通りだ。

その日本の社長は私からの忠告を聞き入れ、直ぐに、経営コンサルコンサルティング会社の社長に、預けている資金の返却を求めたそうだ。かなり相手方は焦っていたようだが、何とか、全額返してもらえたと連絡があった。ただ、通帳だけは紛失したとのことで返してもらえなかったそうだ。

その社長は、当然のことながら、コンサルティング契約を解約、台湾での事業展開に関し、再度、仕切りなおすことを決められた。

そして、そのビジネスパートナーに、私を選ばれた。「一緒にやりましょう」とお声がかかった。

経営コンサルティング会社を退職した私は、これからどうしようかと考えていたときだったので、そのお誘いに関し、どうするべきかを妻と話し合った。前にも言ったかもしれないが、私は常に妻には何でも相談するようにしている。女性の意見は非常に大切だ。男は情に流される部分があるが、女性はいざというときは非常にシビアな眼を持っている。

妻との話し合いの結果、相手の社長さんに、まずは私がやりたいことをお話しし、それを理解してもらえるならばということにした。

私がやりたかったことは、日本・台湾の両国の知的財産をデーターベースに落とし込み、双方の国でビジネスパートナー(ライセンス契約)を見つけることだった。特に、大学に眠っている素晴らしい技術、中小企業が持っている素晴らしい技術、そして、店舗拡大を目指しているものの、それだけの資金がない飲食店で独自のレシピを持っているお店の発掘を行い、ライセンスビジネスとして成立させたいと思っていた。

 

先方の社長に説明したところ「非常に面白いビジネスだ。是非、一緒にやりましょう」と正式にビジネスパートナーとして手を組みことになったのです。

この社長の会社は日本の中国地方で飲食店を展開しており、その種類も多岐にわたっていた。

まず最初に取り掛かったのが、この社長の会社でやっているラーメン店のレシピを台湾に委嘱する仕事から始めることになった。

同時に、台湾の大学、日本の大学の様々な知的財産の発掘も開始した。

 

さあ、これからどうなるか。当時としては「ライセンスビジネス」という言葉自体もまだまだ浸透しておらず、それをコーディネートする会社は台湾にはなく、後でわかったことが、日本でも東京に一軒あるだけだった。

なんだか、今の道の駅と似ているよね。誰も知らない、まったく新しいビジネス形態。受け入れてもらえるまでには、それ相応の時間が必要になるだろう。

 

つづく